【完結・外伝更新】 「貴様との婚約は破棄する」から始まった私達

紬あおい

文字の大きさ
11 / 61

11.婚約破棄 ③

しおりを挟む

「あの夜の証人とは私のことかな?」

「「「「「「クリストファー第三皇子殿下!!!」」」」」」

チカプリオン伯爵家、ポペス侯爵家の全員が一斉に叫んだ。

「何で!?殿下だったのか、あそこに居たのは?」

「そうなの。たまたまだけど。」

慌てるテオナルドに、私はしれっと微笑む。

「チカプリオン伯爵には気の毒だが、テオナルド令息とジェニファ令嬢は、確かに体を繋げて腰を振っていたぞ?ド派手に達した場面を見せられて、私も驚いたよ。リーチェ嬢の嫌がらせや暗殺計画に加え、嘘吐き呼ばわりする私への不敬罪も追加するか?」

氷のように冷たい微笑みのクリストファー殿下に、チカプリオン伯爵も遂に認めざるを得ない。

「申し訳ございませんでした…婚約破棄を受け入れます。」

クリストファー殿下の登場で、父は何度目かの正気に戻る。

「慰謝料は、チカプリオン伯爵家とポペス侯爵家の双方に請求するということで良いですかな?」

「娘の仕出かしたことの責任は、取らせていただきます。」

ポペス侯爵は即答した。

「チカプリオン伯爵家としても、その気持ちはありますが…しかし、我が家にはそこまでの資産が…」

「チカプリオン伯爵家は、牧場をお持ちだそうだが?」

「はい。馬と羊が…あんなもので宜しいのでしょうか…?」

「無論、それだけではないが、牧場も含めての慰謝料でも構わないという話だ。」

「そうしていただけますと助かります。息子の処遇は、如何致しましょう…」

チカプリオン伯爵は、これでもまだテオナルドを守りたいのだろう。

「テオナルド様、ジェニファ様。」

私が二人に声を掛けると、びくっと体を弾ませた。

「私、まだお二人から謝罪の言葉を聞いておりませんが?それに、お二人が愛し合っているのなら、何故そう仰いませんでしたの?私、テオナルド様には全く気持ちはありませんでしたので、婚約解消という道があったのに…」

「僕はリーチェが好きだった!でも、触れることも出来なくて…だから、ジェニファと…ジェニファが最初近寄って来たんだ!」

「ちょっと、待ってよ!声を掛けてきたのは、テオナルド様よ?私のことを好きだって、愛しているって言ったじゃない!?」

「嘘だっ!ジェニファから!!」

くだらない痴話喧嘩が勃発した瞬間、私は言った。

「そういうのは、お二人でどうぞ。私は、無実の罪をチカプリオン伯爵家とポペス侯爵家の名で訂正し、慰謝料をいただけましたら、それでいいですわ。この後、お二人がご結婚なさろうと別れようと、私は一切興味がございません。」

「重ね重ね申し訳ありません。チカプリオン伯爵家としまして、慰謝料は後日お届けに参ります。我が家の財政を考慮していただき、ありがとうございます。テオナルドにつきましては、嫡男ではありませんので、ポペス侯爵家様が引き受けてくださるようでしたら、婿に出したいと思います。」

「チカプリオン伯爵、それはまた別の日に話そう。この場は謝罪を受け入れていただいたことに感謝し、リーチェ嬢の名誉の回復を先に考えなければ。ヴァーミリアン侯爵殿、この件は私に預けていただきたい。」

「承知した。ひと月だ。ひと月経ってもリーチェの名誉が回復しない時は…ポペス侯爵殿も娘を持つ父として、分かるだろう?」

「はい、娘の所業は親の責任でございます。逆の立場も理解出来ます。この程度でお許しいただけること、感謝しかございません。今この場にいらっしゃるクリストファー殿下には、本日の証人にもなっていただければと。」

「いいだろう。その言葉、忘れるな。」

クリストファー殿下は、にやりと笑った。
そして、力なく項垂うなだれたテオナルドと、まだ不満げな顔をしていたジェニファを、その親達は引き摺って帰って行った。
しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

(完)なにも死ぬことないでしょう?

青空一夏
恋愛
ジュリエットはイリスィオス・ケビン公爵に一目惚れされて子爵家から嫁いできた美しい娘。イリスィオスは初めこそ優しかったものの、二人の愛人を離れに住まわせるようになった。 悩むジュリエットは悲しみのあまり湖に身を投げて死のうとしたが死にきれず昏睡状態になる。前世を昏睡状態で思い出したジュリエットは自分が日本という国で生きていたことを思い出す。還暦手前まで生きた記憶が不意に蘇ったのだ。 若い頃はいろいろな趣味を持ち、男性からもモテた彼女の名は真理。結婚もし子供も産み、いろいろな経験もしてきた真理は知っている。 『亭主、元気で留守がいい』ということを。 だったらこの状況って超ラッキーだわ♪ イケてるおばさん真理(外見は20代前半のジュリエット)がくりひろげるはちゃめちゃコメディー。 ゆるふわ設定ご都合主義。気分転換にどうぞ。初めはシリアス?ですが、途中からコメディーになります。中世ヨーロッパ風ですが和のテイストも混じり合う異世界。 昭和の懐かしい世界が広がります。懐かしい言葉あり。解説付き。

(完結)その女は誰ですか?ーーあなたの婚約者はこの私ですが・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はシーグ侯爵家のイルヤ。ビドは私の婚約者でとても真面目で純粋な人よ。でも、隣国に留学している彼に会いに行った私はそこで思いがけない光景に出くわす。 なんとそこには私を名乗る女がいたの。これってどういうこと? 婚約者の裏切りにざまぁします。コメディ風味。 ※この小説は独自の世界観で書いておりますので一切史実には基づきません。 ※ゆるふわ設定のご都合主義です。 ※元サヤはありません。

(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)

青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。 だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。 けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。 「なぜですか?」 「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」 イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの? これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない) 因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。

(完)イケメン侯爵嫡男様は、妹と間違えて私に告白したらしいー婚約解消ですか?嬉しいです!

青空一夏
恋愛
私は学園でも女生徒に憧れられているアール・シュトン候爵嫡男様に告白されました。 図書館でいきなり『愛している』と言われた私ですが、妹と勘違いされたようです? 全5話。ゆるふわ。

行き場を失った恋の終わらせ方

当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」  自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。  避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。    しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……  恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。 ※他のサイトにも重複投稿しています。

(完結)元お義姉様に麗しの王太子殿下を取られたけれど・・・・・・(5話完結)

青空一夏
恋愛
私(エメリーン・リトラー侯爵令嬢)は義理のお姉様、マルガレータ様が大好きだった。彼女は4歳年上でお兄様とは同じ歳。二人はとても仲のいい夫婦だった。 けれどお兄様が病気であっけなく他界し、結婚期間わずか半年で子供もいなかったマルガレータ様は、実家ノット公爵家に戻られる。 マルガレータ様は実家に帰られる際、 「エメリーン、あなたを本当の妹のように思っているわ。この思いはずっと変わらない。あなたの幸せをずっと願っていましょう」と、おっしゃった。 信頼していたし、とても可愛がってくれた。私はマルガレータが本当に大好きだったの!! でも、それは見事に裏切られて・・・・・・ ヒロインは、マルガレータ。シリアス。ざまぁはないかも。バッドエンド。バッドエンドはもやっとくる結末です。異世界ヨーロッパ風。現代的表現。ゆるふわ設定ご都合主義。時代考証ほとんどありません。 エメリーンの回も書いてダブルヒロインのはずでしたが、別作品として書いていきます。申し訳ありません。 元お姉様に麗しの王太子殿下を取られたけれどーエメリーン編に続きます。

(完結)だったら、そちらと結婚したらいいでしょう?

青空一夏
恋愛
エレノアは美しく気高い公爵令嬢。彼女が婚約者に選んだのは、誰もが驚く相手――冴えない平民のデラノだった。太っていて吹き出物だらけ、クラスメイトにバカにされるような彼だったが、エレノアはそんなデラノに同情し、彼を変えようと決意する。 エレノアの尽力により、デラノは見違えるほど格好良く変身し、学園の女子たちから憧れの存在となる。彼女の用意した特別な食事や、励ましの言葉に支えられ、自信をつけたデラノ。しかし、彼の心は次第に傲慢に変わっていく・・・・・・ エレノアの献身を忘れ、身分の差にあぐらをかきはじめるデラノ。そんな彼に待っていたのは・・・・・・ ※異世界、ゆるふわ設定。

(完結)私はあなた方を許しますわ(全5話程度)

青空一夏
恋愛
 従姉妹に夢中な婚約者。婚約破棄をしようと思った矢先に、私の死を望む婚約者の声をきいてしまう。  だったら、婚約破棄はやめましょう。  ふふふ、裏切っていたあなた方まとめて許して差し上げますわ。どうぞお幸せに!  悲しく切ない世界。全5話程度。それぞれの視点から物語がすすむ方式。後味、悪いかもしれません。ハッピーエンドではありません!

処理中です...