【完結・外伝更新】 「貴様との婚約は破棄する」から始まった私達

紬あおい

文字の大きさ
13 / 61

13.求婚

しおりを挟む

応接間にクリストファー殿下と二人きりになった私は、急に恥ずかしくなってきた。
クリストファー殿下に握られた手がぬるりとしてきて、手汗が気になって仕方ない。

「リーチェ、どうした?」

(リ、リーチェって!?呼び捨て!)

動揺する私を見透かしたように、クリストファー殿下は更に強く手を握る。

「リーチェ?」

「手、手汗がっ!!」

叫んで手を振り払う私を、クリストファー殿下は抱き寄せる。

「リーチェ、手汗すら愛おしい。」

私の手を取り、手のひらをぺろりと舐める。

「ひ、ひぃぃぃっ!へ、変態!!」

身を捩れば捩る程、クリストファー殿下は距離を詰めてくる。

「殿下、ち、近いっ!てか、手のひら、舐めないでーーーっ!!」

やっと手のひらから唇を離したクリストファー殿下は、更に強く抱き締め、耳元で囁く。

「リーチェ、改めて言わせて?君が好きだ。俺と結婚してください。」

(手のひら舐めからの求婚て!?)

「はいぃぃっ!?」

「ありがとう。必ず幸せにする。」

(いやいや、良いお顔で笑ってるけど、違う、今のは承諾の『はい』じゃない!)

「リーチェ、俺のリーチェ。君は何て愛らしいんだ。奇想天外なのにナイーヴで、不思議な人だ。もう俺は、君に夢中なんだ。今直ぐ、リーチェの全てを奪ってしまいたいけど、結婚式や初夜への憧れは叶えてあげたいから、我慢するよ。その代わり、口付けてもいいか?」

真紅の瞳に熱が篭り、クリストファー殿下の本気が伝わる。

「嫌なら突き飛ばして?いいなら目を閉じて。」

近付く視線に、私は口から心臓が飛び出す勢いで緊張し、思わず目と口をぎゅっと結んだ。

「ああ、リーチェ…」

クリストファー殿下の柔らかい唇が私のそれに重なる。
ふわふわと、時に吸い付くように、ちゅっちゅと唇を伝う。
時折、んっと漏れるクリストファー殿下の声に私は昇天しそうだ。

あまりに長く唇が触れているので、恐々と目を開けると、クリストファー殿下は目を閉じて………いなかった。

「で、殿下、何で目開いてるんですか!?」

クリストファー殿下は、くつくつと笑っている。

「リーチェ、気になるの、そこ?俺、勢いで進めてしまったから、今、一世一代の大仕事位の気持ちで、改めて求婚してるんだけどなぁ。だから、リーチェの表情を一瞬でも見逃したくない。でも、俺も凄く緊張してる。ほら、心臓が破裂しそうにドキドキしてるんだぞ?」

そっと耳を当てると、クリストファー殿下も鼓動が早い。

「ほんとだ…殿下はいつも余裕があるから、もしかしたら…揶揄われているのかもって思ってました…」

「ねぇ、リーチェ、こっち見て?これが揶揄ってる男の顔に見える?さっきから顔が熱くて仕方ないんだ。」

顔を上げた先には、顔だけでなく、耳や首元まで真っ赤なクリストファー殿下が居る。

「あ…真っ赤…殿下、可愛い…」

「もう、君は!揶揄うなよ!!」

再び重なる唇は、何度も角度を変え、深い口付けとなる。
口の端から捩じ込まれた舌は、執拗に絡み、吸われる。
それは、熱くて甘くて、私の頭はくらくらし、意識がぶっ飛んだ。
しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

(完)なにも死ぬことないでしょう?

青空一夏
恋愛
ジュリエットはイリスィオス・ケビン公爵に一目惚れされて子爵家から嫁いできた美しい娘。イリスィオスは初めこそ優しかったものの、二人の愛人を離れに住まわせるようになった。 悩むジュリエットは悲しみのあまり湖に身を投げて死のうとしたが死にきれず昏睡状態になる。前世を昏睡状態で思い出したジュリエットは自分が日本という国で生きていたことを思い出す。還暦手前まで生きた記憶が不意に蘇ったのだ。 若い頃はいろいろな趣味を持ち、男性からもモテた彼女の名は真理。結婚もし子供も産み、いろいろな経験もしてきた真理は知っている。 『亭主、元気で留守がいい』ということを。 だったらこの状況って超ラッキーだわ♪ イケてるおばさん真理(外見は20代前半のジュリエット)がくりひろげるはちゃめちゃコメディー。 ゆるふわ設定ご都合主義。気分転換にどうぞ。初めはシリアス?ですが、途中からコメディーになります。中世ヨーロッパ風ですが和のテイストも混じり合う異世界。 昭和の懐かしい世界が広がります。懐かしい言葉あり。解説付き。

(完結)その女は誰ですか?ーーあなたの婚約者はこの私ですが・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はシーグ侯爵家のイルヤ。ビドは私の婚約者でとても真面目で純粋な人よ。でも、隣国に留学している彼に会いに行った私はそこで思いがけない光景に出くわす。 なんとそこには私を名乗る女がいたの。これってどういうこと? 婚約者の裏切りにざまぁします。コメディ風味。 ※この小説は独自の世界観で書いておりますので一切史実には基づきません。 ※ゆるふわ設定のご都合主義です。 ※元サヤはありません。

(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)

青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。 だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。 けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。 「なぜですか?」 「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」 イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの? これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない) 因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。

(完)イケメン侯爵嫡男様は、妹と間違えて私に告白したらしいー婚約解消ですか?嬉しいです!

青空一夏
恋愛
私は学園でも女生徒に憧れられているアール・シュトン候爵嫡男様に告白されました。 図書館でいきなり『愛している』と言われた私ですが、妹と勘違いされたようです? 全5話。ゆるふわ。

行き場を失った恋の終わらせ方

当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」  自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。  避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。    しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……  恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。 ※他のサイトにも重複投稿しています。

(完結)元お義姉様に麗しの王太子殿下を取られたけれど・・・・・・(5話完結)

青空一夏
恋愛
私(エメリーン・リトラー侯爵令嬢)は義理のお姉様、マルガレータ様が大好きだった。彼女は4歳年上でお兄様とは同じ歳。二人はとても仲のいい夫婦だった。 けれどお兄様が病気であっけなく他界し、結婚期間わずか半年で子供もいなかったマルガレータ様は、実家ノット公爵家に戻られる。 マルガレータ様は実家に帰られる際、 「エメリーン、あなたを本当の妹のように思っているわ。この思いはずっと変わらない。あなたの幸せをずっと願っていましょう」と、おっしゃった。 信頼していたし、とても可愛がってくれた。私はマルガレータが本当に大好きだったの!! でも、それは見事に裏切られて・・・・・・ ヒロインは、マルガレータ。シリアス。ざまぁはないかも。バッドエンド。バッドエンドはもやっとくる結末です。異世界ヨーロッパ風。現代的表現。ゆるふわ設定ご都合主義。時代考証ほとんどありません。 エメリーンの回も書いてダブルヒロインのはずでしたが、別作品として書いていきます。申し訳ありません。 元お姉様に麗しの王太子殿下を取られたけれどーエメリーン編に続きます。

(完結)だったら、そちらと結婚したらいいでしょう?

青空一夏
恋愛
エレノアは美しく気高い公爵令嬢。彼女が婚約者に選んだのは、誰もが驚く相手――冴えない平民のデラノだった。太っていて吹き出物だらけ、クラスメイトにバカにされるような彼だったが、エレノアはそんなデラノに同情し、彼を変えようと決意する。 エレノアの尽力により、デラノは見違えるほど格好良く変身し、学園の女子たちから憧れの存在となる。彼女の用意した特別な食事や、励ましの言葉に支えられ、自信をつけたデラノ。しかし、彼の心は次第に傲慢に変わっていく・・・・・・ エレノアの献身を忘れ、身分の差にあぐらをかきはじめるデラノ。そんな彼に待っていたのは・・・・・・ ※異世界、ゆるふわ設定。

(完結)私はあなた方を許しますわ(全5話程度)

青空一夏
恋愛
 従姉妹に夢中な婚約者。婚約破棄をしようと思った矢先に、私の死を望む婚約者の声をきいてしまう。  だったら、婚約破棄はやめましょう。  ふふふ、裏切っていたあなた方まとめて許して差し上げますわ。どうぞお幸せに!  悲しく切ない世界。全5話程度。それぞれの視点から物語がすすむ方式。後味、悪いかもしれません。ハッピーエンドではありません!

処理中です...