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6.夫に秘密を話したら
しおりを挟むジェスターと軽食を取った後、もちろん治癒について聞かれた。
目の前で見せられた不思議な光、ジェスターでなくとも疑問にに思う筈だ。
「アンリーヌ、あの力は?」
「瘴気を吸収し、浄化し、治癒の力に変える異能です。家族も知りません。幼い頃、偶然使えるようになりました。」
「瘴気…アンヌマリーから瘴気が出ていたということか?」
「胸元からグレーの瘴気らしきものが見えたので、異能を使ってみました。結果、容体が安定したので、瘴気だったと。」
ジェスターは難しい顔で考え込んでいる。
自分に無いものを受け入れるのは、なかなか大変なことでもある。
「アンリーヌの異能を使えば、アンヌマリーは治るのか?」
「私の異能は、瘴気を半分しか浄化出来ず、もう半分は私の体内で時間をかけて昇華するのです。小動物ならまだしも、人間のような大きな生き物だと、私がやられてしまいます…」
「そうか。だから意識を失ったのだな。」
「中途半端な力で、申し訳ございません。」
「いや、気にするな。寧ろ、体の負担になる力を使わせて、すまない。」
「いえ、勝手にやったことですから…ただ、この異能については秘密にしていただけると…」
「分かっている。悪用されかねない力だからな。誰にも言わない。それより、少し飲まないか?よく眠れるように。」
「いただきます。」
エルサがワインも持って来ていたので、2人で飲む。
葡萄ジュースかと思うほど、フルーティだ。
「うわっ!美味しい!!」
はしゃぐ私をジェスターが微笑みながら見ている。
こんなジェスターが見られて、今日は幸せだ。
口当たりの良いワインだったので、ぐびぐび飲んでしまい、酔っ払いが2人出来上がった。
ワインも無くなったので、私は寝ようとソファから立ち上がった。
「俺もここで寝る。」
耳を疑う衝撃発言に、足がもつれた。
「危ないじゃないか。ほら、抱っこしてやる。」
ひょいと抱き上げられ、ベッドに寝かされ、ジェスターも隣に横になる。
自然な動きに、私は酔いとは別に頭がくらくらしてきた。
(この展開は…?ま、酔ってるんだろうから、寝ますかね…)
目を閉じて、しばらくすると唇にあたたかいものを感じる。
薄目を開けたら、ジェスターの顔が間近にある。
(口付けられてる!?どうしよう、どうしよう、どうしよう!!)
「アンリーヌ、起きてるんだろう?」
ジェスターは私の唇をペロリと舐める。
驚いて目を開くと、鈍色がかった金色の瞳の光が鋭くなる。
まるで獲物を狙う金狼のように。
「アンリーヌ、抱いていいか…?」
私はすぐに答えることが出来なかった。
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