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10.女神様の失敗
しおりを挟む女神様は、欅の木の下に座り、申し訳なさそうに話し出した。
妖精達が話した通り、アンヌマリーは不治の病ではなく、彼女が抱えるどす黒い気持ちが瘴気となっている。
発作を耐えてでも、ジェスターのそばに居たいという気持ちを抑えられないと。
それは前世からの因縁で、前世でもアンヌマリーはジェスターに恋をしていたが、私とジェスターが恋に落ち、アンヌマリーは失意の中、自害した。
恨んで恨んで、来世は絶対にジェスターを手に入れると願いながら。
女神様は、本来そういう恨みや後悔を浄化して次に送り出すのだが、完全に浄化出来ないまま、アンヌマリーは生まれ変わってしまったそうだ。
「では、私もジェスター様もアンヌマリー様も、生まれ変わって、また出会ってしまったのですね?」
「そうなの。浄化しきれなかったことと、あなた達をまた同じ時間軸に存在させてしまったこと、それが私の失敗よ。誰か1人でも欠けていたら、こうならなかったんだけど…あなたに異能を授けたのは、これを予想していたのか、していなかったのか…それも自信ないわ。」
「私、アンヌマリー様を浄化出来ますか?ジェスター様は今世はアンヌマリー様を溺愛しています。私が身を引けば、ジェスター様は幸せになりますか?」
身を引くということは、持てる力を全て使い、命の火が消えることを意味する。
前世でジェスターと幸せだったのなら、今世は諦めてもいいと、その時は思ったのだ。
「あなたが命懸けでアンヌマリーを変えたとしても、ジェスターの気持ちは?本当にあなたを愛していないと?」
「それは…分かりません。」
「アンヌマリーはね、一度天界に戻した方がいいと思うの。あの子は、今回死なせなくていい筈のジェスターの両親を殺めた。その罰は受けなければならない。」
「人を殺めることは罪だとしても、愛することは罪なのでしょうか…そこまでの愛を私は知らない…」
「そう思うのも致し方ないわね。人間は複雑な感情を持つ生き物だから。そこで、あなたに1つ頼み事があるの。次にアンヌマリーが発作を起こしたら、全力で異能を使ってみてくれないかしら?」
「命懸け、ですね、私も。」
「前世はあなたを選んだジェスターが、今世はアンヌマリーとあなたのどちらを選ぶか?そこまでは、私にも分からないのだ。試すようで申し訳ないが、あなたは、このまま何もしない自分を許せないのでしょう?」
「そうですね…やってみます。ちなみに、私が死んだら、その後はどうなりますか?」
「あなたの求める来世を一緒に考えよう。全ては叶えられないが善処するわ。」
そうして、女神様は光とともに消えた。
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