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9.不治の病の正体
しおりを挟む今日こそは、妖精達に女神様について、ちゃんと聞いてみようと意気込んで、欅の木の下に向かった。
「セシリー、マイリー、こんにちは。おやつ持って来たわ。」
「わーいわーい!」
「パンある?」
「はい、焼き立て。熱いから、ちょっと冷ますね。」
まずは、おやつタイムだ。
パンを小さくちぎっても妖精達は抱えて食べているようで、可愛らしい。
「ねぇ、女神様に会えた?」
「あ、そうだ!会えたよ。君の異能は、やっぱり特殊らしい。吸収した瘴気の体内に残る半分は、愛する人と繋がることで浄化されるんだって!」
「愛する人って、私だけが愛していればいいの?それとも、愛し合わないとダメ?」
「気持ちがないのに繋がったらダメじゃん!だから、愛し合うことが決め手だよ。」
「そう…それは難しいわね…」
ジェスターからの愛は、きっと私には与えられない。
だから、アンヌマリーを本気で治すなら、私は命懸けで挑まなくてはいけないのだ。
でも、私は本当にそれを望んでいるのだろうか。
私が思い詰めた顔をしていたのか、セシリーは私の手に乗って、顔を見上げている。
「お姉さんの助けたい人は、たぶん病気を利用してる。瘴気はその人の黒い感情なんじゃないかな?」
「その瘴気は他の人にも害を及ぼすの?私の愛する人のお父さんとお母さんは、その病気で亡くなったらしいの。」
「邪魔者を消すことは出来ると思う。お姉さんの愛する人を、きっとその人も好きなんだろうね。歪んだ感情だけど、2人きりになりたい願望みたいな?」
パンをかじっていたマイリーも会話に加わる。
「だとしたら、次はお姉さんが消される可能性があるじゃん。そんな人を助けるの?」
「でも、もしその黒い感情の瘴気が無くなれば?優しい人に戻るんじゃない?」
「お姉さん、人が良過ぎる。好きな人の為に、浄化したり治癒したり、その女をまともな人にするって?もっと自分のこと大事にしなよ!」
「セシリーもマイリーも、私の為にありがとう。でもね、私は愛する人の幸せを願いたい…だから悩んでるの…」
その時、私はふわっとピンク色の光に包まれた。
「あ!女神様だ!!」
「来てくれたんだね!」
セシリーとマイリーがはしゃぐ。
光の中に、綺麗な女性が浮かんでいる。
輝く銀色の髪、ジェスターのような金色の瞳、この世のものではないのが一目瞭然だ。
「あなたが不思議な異能を持つ子なのね?」
「はい。中途半端にしか使えません…」
「あなたのせいじゃないわ。私のミスだもの。」
「えっ!?」
女神様は、事情を話し出した。
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