【完結】 生まれ変わってもあなたと

紬あおい

文字の大きさ
9 / 16

9.不治の病の正体

しおりを挟む

今日こそは、妖精達に女神様について、ちゃんと聞いてみようと意気込んで、欅の木の下に向かった。

「セシリー、マイリー、こんにちは。おやつ持って来たわ。」

「わーいわーい!」

「パンある?」

「はい、焼き立て。熱いから、ちょっと冷ますね。」

まずは、おやつタイムだ。
パンを小さくちぎっても妖精達は抱えて食べているようで、可愛らしい。

「ねぇ、女神様に会えた?」

「あ、そうだ!会えたよ。君の異能は、やっぱり特殊らしい。吸収した瘴気の体内に残る半分は、愛する人と繋がることで浄化されるんだって!」

「愛する人って、私だけが愛していればいいの?それとも、愛し合わないとダメ?」

「気持ちがないのに繋がったらダメじゃん!だから、愛し合うことが決め手だよ。」

「そう…それは難しいわね…」

ジェスターからの愛は、きっと私には与えられない。
だから、アンヌマリーを本気で治すなら、私は命懸けで挑まなくてはいけないのだ。
でも、私は本当にそれを望んでいるのだろうか。

私が思い詰めた顔をしていたのか、セシリーは私の手に乗って、顔を見上げている。

「お姉さんの助けたい人は、たぶん病気を利用してる。瘴気はその人の黒い感情なんじゃないかな?」

「その瘴気は他の人にも害を及ぼすの?私の愛する人のお父さんとお母さんは、その病気で亡くなったらしいの。」

「邪魔者を消すことは出来ると思う。お姉さんの愛する人を、きっとその人も好きなんだろうね。歪んだ感情だけど、2人きりになりたい願望みたいな?」

パンをかじっていたマイリーも会話に加わる。

「だとしたら、次はお姉さんが消される可能性があるじゃん。そんな人を助けるの?」

「でも、もしその黒い感情の瘴気が無くなれば?優しい人に戻るんじゃない?」

「お姉さん、人が良過ぎる。好きな人の為に、浄化したり治癒したり、その女をまともな人にするって?もっと自分のこと大事にしなよ!」

「セシリーもマイリーも、私の為にありがとう。でもね、私は愛する人の幸せを願いたい…だから悩んでるの…」

その時、私はふわっとピンク色の光に包まれた。

「あ!女神様だ!!」

「来てくれたんだね!」

セシリーとマイリーがはしゃぐ。

光の中に、綺麗な女性が浮かんでいる。
輝く銀色の髪、ジェスターのような金色の瞳、この世のものではないのが一目瞭然だ。

「あなたが不思議な異能を持つ子なのね?」

「はい。中途半端にしか使えません…」

「あなたのせいじゃないわ。私のミスだもの。」

「えっ!?」

女神様は、事情を話し出した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】裏切られたあなたにもう二度と恋はしない

たろ
恋愛
優しい王子様。あなたに恋をした。 あなたに相応しくあろうと努力をした。 あなたの婚約者に選ばれてわたしは幸せでした。 なのにあなたは美しい聖女様に恋をした。 そして聖女様はわたしを嵌めた。 わたしは地下牢に入れられて殿下の命令で騎士達に犯されて死んでしまう。 大好きだったお父様にも見捨てられ、愛する殿下にも嫌われ酷い仕打ちを受けて身と心もボロボロになり死んでいった。 その時の記憶を忘れてわたしは生まれ変わった。 知らずにわたしはまた王子様に恋をする。

愛しい人、あなたは王女様と幸せになってください

無憂
恋愛
クロエの婚約者は銀の髪の美貌の騎士リュシアン。彼はレティシア王女とは幼馴染で、今は護衛騎士だ。二人は愛し合い、クロエは二人を引き裂くお邪魔虫だと噂されている。王女のそばを離れないリュシアンとは、ここ数年、ろくな会話もない。愛されない日々に疲れたクロエは、婚約を破棄することを決意し、リュシアンに通告したのだが――

【完結】愛する人はあの人の代わりに私を抱く

紬あおい
恋愛
年上の優しい婚約者は、叶わなかった過去の恋人の代わりに私を抱く。気付かない振りが我慢の限界を超えた時、私は………そして、愛する婚約者や家族達は………悔いのない人生を送れましたか?

【完結】 心だけが手に入らない 〜想い人がいるあなたは、いつか私を見てくれますか?〜

紬あおい
恋愛
完璧な夫には愛する人がいる。 心は手に入らないと分かっていても、愛することをやめられない妻。 そんな二人がいつしか心を通わせ、家族となっていくお話。

【4話完結】 君を愛することはないと、こっちから言ってみた

紬あおい
恋愛
皇女にべったりな護衛騎士の夫。 流行りの「君を愛することはない」と先に言ってやった。 ザマアミロ!はあ、スッキリした。 と思っていたら、夫が溺愛されたがってる…何で!?

【完結】初恋の彼に 身代わりの妻に選ばれました

ユユ
恋愛
婚姻4年。夫が他界した。 夫は婚約前から病弱だった。 王妃様は、愛する息子である第三王子の婚約者に 私を指名した。 本当は私にはお慕いする人がいた。 だけど平凡な子爵家の令嬢の私にとって 彼は高嶺の花。 しかも王家からの打診を断る自由などなかった。 実家に戻ると、高嶺の花の彼の妻にと縁談が…。 * 作り話です。 * 完結保証つき。 * R18

届かぬ温もり

HARUKA
恋愛
夫には忘れられない人がいた。それを知りながら、私は彼のそばにいたかった。愛することで自分を捨て、夫の隣にいることを選んだ私。だけど、その恋に答えはなかった。すべてを失いかけた私が選んだのは、彼から離れ、自分自身の人生を取り戻す道だった····· ◆◇◆◇◆◇◆ 読んでくださり感謝いたします。 すべてフィクションです。不快に思われた方は読むのを止めて下さい。 ゆっくり更新していきます。 誤字脱字も見つけ次第直していきます。 よろしくお願いします。

【10話完結】 忘れ薬 〜忘れた筈のあの人は全身全霊をかけて私を取り戻しにきた〜

紬あおい
恋愛
愛する人のことを忘れられる薬。 絶望の中、それを口にしたセナ。 セナが目が覚めた時、愛する皇太子テオベルトのことだけを忘れていた。 記憶は失っても、心はあなたを忘れない、離したくない。 そして、あなたも私を求めていた。

処理中です...