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3.おかしなことを言い出す騎士団長
しおりを挟む自白剤の材料は、流石、皇宮お抱えの薬師部屋。
種類も在庫も豊富で、全てが薬品庫に揃っている。
しかし、材料は揃っていても、リンネ自身、媚薬成分を使用するのは初めてだ。
(本には、媚薬ならキヌガサタケ…自白剤ならベラドンナ…聖水も確かあった筈…)
それからリンネは、寝る間も惜しんで試行錯誤を重ね、副作用のない自白剤を調合してみた。
しかし、媚薬成分の比率がよく分からない。
これでは約束の時間に間に合わないかもしれないと、リンネは焦っていた。
「こっちが半分、これが三分の一で、あれが四分の一で…うーん…どうしよう…?」
取り敢えず、媚薬成分の比率を変えた三種類と、それぞれの予備を三本、合計六本の薬瓶を準備した。
そして、一般的な飲み薬と間違えないよう、蓋にリンネのRをピンセットで小さく刻み、完成となったのは、約束のぎりぎりの時間だった。
(出来た!そろそろお見えになるかしら?)
コン、コン、コン
思った瞬間、薬師部屋のドアがリズミカルにノックされた。
「はい!」
「俺だ、リースハルト・フェルディナンドだ。」
ドアを開けると、また大股で入ってきた。
リンネよりも頭一つ半以上背が高いので、大股なのは足が長いからだろう。
「こちらへお掛けください。」
リンネが促すと、打切棒にこくりと頷いて、リースハルトはソファに腰掛けた。
そして、テーブルに並べた薬瓶をしげしげと見ている。
「これが自白剤か?」
「はい。媚薬成分の割合が難しく、比率を変えた三種類を調合してみました。」
「そうか。副作用はないのだな?」
ひと瓶手に取り、リースハルトはしげしげと眺めている。
「それは大丈夫です。後遺症が残るような物は使用していません。しかし、媚薬成分の効き目がよく分からなくて…比率の高い物でも、丸一日経てば、効果は消える筈です。」
「なるほど…では、俺が予備の自白剤を飲んで試してみよう。ただ、ここで極秘事項を洩らす訳にはいかないので、二人になれる場所に移動してもいいだろうか?」
「…えっ………二人…ですか…?」
「あっ、すまない、令嬢と二人きりなど非常識だったか?無理ならいい。一日で効果がなくなるなら、何かあっても明日から三日間非番だし、俺が一人で試してみる。」
(一人で試すって…自白剤で独り言!?そんなの効果が分からないじゃない!)
リンネは、リースハルトの言っていることが無茶苦茶に思えた。
「い、いえ、初めてのお薬を一人で試してはいけません!
お一人では、効果を見極める方もいらっしゃらないようですし…
私が調合したのですから、何かあった時には対処出来ますから、同行させてください!!」
「そうか。では、場所を移そう。」
「分かりました。一応、解毒剤になりそうな物を持って行きますね。自白剤を作るのが精一杯で、完全な解毒剤はまだ作れていないのですが、ないよりはマシだと思います。」
「ああ、頼むよ。リンネ嬢の実力は信用している。では、参ろうか。」
こうして、私とリースハルトは、薬師部屋を出た。
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