4 / 55
4.お泊まり命令
リースハルトと外に出たものの、どうするのだろうとリンネが考えていると、豪華な馬車が待っていた。
「馬車を準備したから乗ってくれ。公爵家の別邸なら、誰にも聞かれないので安心だ。」
「別邸…公爵家の!?騎士団長様は公爵家のお方でしたの?」
「ああ、フェルディナンド公爵家の二男だ。」
「も、申し訳ありません、私、クリオネア侯爵家の人間ではありますが、社交には出たことがなく、存じ上げませんでした…
高貴なお方で、近衛騎士団長様で、凄いお方だったのですね。」
馬車の中で向き合って話しながら、改めて見ると、とんでもないイケメンだった。
それに気付いて、急に自分が貧乏くさい地味な女だということが恥ずかしくなり、リンネは俯いた。
「どうしたのだ?急に俯いて。俺が緊張させているか?」
「いえ、大丈夫です…」
「そうか…」
それから会話は弾まず、フェルディナンド公爵家公爵家の別邸に到着した。
「手を…」
先に馬車を降りたリースハルトは、私に手を差し伸べる。
「ありがとうございます。」
「では、こちらへ。」
普段は使われていないのか、使用人の姿が見えない。
しかし、通された客室には、出来立てと思われる湯気の立つ食事が用意されていた。
「極秘任務の一環なので、人払いをしたんだ。使用人部屋には人がいる。別邸に二人きりではないから安心してくれ。
取り敢えず、食事しないか?もう夜だし、腹も減っているだろう?」
「ありがとうございます。お腹、空きました。」
「好みに合うといいのだが…」
「こんな柔らかいお肉、初めて食べました。美味し過ぎます!」
「それは良かった。」
リースハルトは、打切棒のままで、あまり表情は変わらないが、好きなだけ食べろという雰囲気は醸し出している。
(あまりお話は弾まないけと、案外優しい方なのかもしれないわ。)
リンネは、眉目秀麗で近衛騎士団長であるリースハルトと食事をするなど、こんな幸運はもうないだろうと思った。
大満足の食事が終わり、いよいよ本題だと思ったら、リースハルトがおかしなことを言い出した。
「この後、自白剤の効果を確かめるとしても、夜遅くにリンネ嬢を帰宅させる訳にはいかない。
先に湯浴みをして、自白剤の効果を確認したら、今夜はここに泊まっていきなさい。」
「はっ!?今、泊まってと仰いました?」
「そうだ。右手の奥が浴室だ。さあ、早く。」
「は、はい!」
急かされるように浴室に導かれ、リンネは湯浴みをする。
(やっぱり公爵家ね。別邸なのに、お湯が湧き出てくるみたいに、ふんだんに使われているわ。薔薇の花びらも、いつも浮かべているのかしら…そう言えば、馬車の中の騎士団長様も良い香りがしたわ。)
湯浴みの後、浴室を出ると、ナイトドレスが準備されており、テーブルには飲み物が出ていた。
「好みが分からないから、水と果実酒を準備させた。少し待っていてくれ。」
当たり前のように浴室に入って行ったリースハルトに、リンネは驚いた。
あなたにおすすめの小説
世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない
二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。
ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。
当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。
だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。
――君の××××、触らせてもらえないだろうか?
巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
コワモテ軍人な旦那様は彼女にゾッコンなのです~新婚若奥様はいきなり大ピンチ~
4月2日コミカライズ配信♡二階堂まや
恋愛
政治家の令嬢イリーナは社交界の《白薔薇》と称される程の美貌を持ち、不自由無く華やかな生活を送っていた。
彼女は王立陸軍大尉ディートハルトに一目惚れするものの、国内で政治家と軍人は長年対立していた。加えて軍人は質実剛健を良しとしており、彼女の趣味嗜好とはまるで正反対であった。
そのためイリーナは華やかな生活を手放すことを決め、ディートハルトと無事に夫婦として結ばれる。
幸せな結婚生活を謳歌していたものの、ある日彼女は兄と弟から夜会に参加して欲しいと頼まれる。
そして夜会終了後、ディートハルトに華美な装いをしているところを見られてしまって……?
離宮に隠されるお妃様
agapē【アガペー】
恋愛
私の妃にならないか?
侯爵令嬢であるローゼリアには、婚約者がいた。第一王子のライモンド。ある日、呼び出しを受け向かった先には、女性を膝に乗せ、仲睦まじい様子のライモンドがいた。
「何故呼ばれたか・・・わかるな?」
「何故・・・理由は存じませんが」
「毎日勉強ばかりしているのに頭が悪いのだな」
ローゼリアはライモンドから婚約破棄を言い渡される。
『私の妃にならないか?妻としての役割は求めない。少しばかり政務を手伝ってくれると助かるが、後は離宮でゆっくり過ごしてくれればいい』
愛し愛される関係。そんな幸せは夢物語と諦め、ローゼリアは離宮に隠されるお妃様となった。
【恋愛】目覚めたら何故か騎士団長の腕の中でした。まさかの異世界トリップのようです?
梅花
恋愛
日下美南(くさかみなみ)はある日、ひょんなことから異世界へとトリップしてしまう。
そして降り立ったのは異世界だったが、まさかの騎士団長ベルゴッドの腕の中。
何で!?
しかも、何を思ったのか盛大な勘違いをされてしまって、ベルゴッドに囲われ花嫁に?
堅物騎士団長と恋愛経験皆無の喪女のラブロマンス?
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
身代りの花嫁は25歳年上の海軍士官に溺愛される
絵麻
恋愛
桐島花は父が病没後、継母義妹に虐げられて、使用人同然の生活を送っていた。
父の財産も尽きかけた頃、義妹に縁談が舞い込むが継母は花を嫁がせた。
理由は多額の結納金を手に入れるため。
相手は二十五歳も歳上の、海軍の大佐だという。
放り出すように、嫁がされた花を待っていたものは。
地味で冴えないと卑下された日々、花の真の力が時東邸で活かされる。