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5.話したい騎士団長
(別邸には浴室は一つしかないのかしら…
しかも、私の後に、リースハルト様が入るなんて…恥ずかしい…)
呆然とリースハルトの後ろ姿を見つめながら、リンネは羞恥心でいっぱいになる。
しかし、ここまで来てしまったら、リンネは開き直ることにした。
何れにしろ、自白剤の効果を確かめなければならないのだ。
それは、薬師としての義務でもある。
(まあ、考えても分からないし、これでもいただきましょう。喉が渇いたわ。)
リンネは、テーブルに準備された透明な液体を飲む。
(美味しいっ!レモン水かしら?よく冷えているし、爽やかなレモンの風味が活きてるわ!
流石、フェルディナンド公爵家!!)
リンネは、リースハルトが湯浴みを終えるまで、レモンの風味を堪能し続けた。
「すまない、待たせたな。」
「だ、大丈夫です!このレモン水を堪能させていただきました。とっても美味しくて、飲み過ぎてしまいそうです。」
リンネは、ぽかぽかしたまま、体が冷めずにいた。
心なしか、気持ちもふわふわしてきた。
「レモンの果実酒が気に入ったようだな。良かったよ、口に合って。」
「か、か、果実酒!?」
「ああ、うちの料理長が拘り抜いたレモンを使った果実酒だ。
程よく酔えて、喉越しも良く、二日酔いにはならないんだ。」
(お酒だったのね!爽やかで、口当たり良過ぎでしょう!?駄目、駄目、しっかしなくちゃ!)
「あっ、言い忘れていたが、リンネ嬢も明日から三日間の休暇となる。極秘任務で自白剤の効果を確認する為とし、薬師部屋には連絡した。」
「へっ!?お休みですか?」
「そうだ。但し、給金は支給されるので、心配は要らない。」
「承知しました。ご配慮ありがとうございます。」
リンネは、この状況と思い掛ない休みに少し驚いたが、今夜確認すれば丸々三日も休みがもらえるのだと嬉しかった。
「では、自白剤の確認をしよう。」
「はっ、はい、お願いいたします!」
リンネは、ソファの傍にあった鞄から薬瓶を取り出し、一本ずつテーブルに並べると、リースハルトがリンネの隣に座った。
距離の近さに緊張しつつも、リンネは自白剤の説明に力が入る。
「主な成分として、自白剤はベラドンナ、媚薬にはキヌガサタケを使用しています。
そのままでも飲みやすいこと、ワインやシャンパンに混ぜても風味が変わらないように、自白剤は無味無臭にしております。」
「そうか、では。」
「っ!?ちょ、ちょっと、それは駄目!!一番媚薬成分が多いやつです!騎士団長様!!!」
リンネの説明も聞かず、リースハルトは手前にあった薬瓶を開けて、一気飲みした。
「やっぱり味がしないな……」
「騎士団長様、大丈夫ですか!?」
「んっ…あぁ…か、体が…熱い…な…」
「ーーーっ!?」
ぐったりとリンネにもたれ掛かり、リースハルトの顔がどんどん赤くなっていく。
リースハルトは、リンネに触れた部分、全てが熱を帯びていくのを感じていた。
「ほ、本当に大丈夫ですか!?お顔が赤く…他に何か異常は感じませんか?」
「そんなことより……リンネ嬢…俺の話を聞いてくれるだろうか。」
(自白剤が効いてきたのかしら!?)
「は、はい、伺いますわ!」
リースハルトは、美しい顔を崩して、リンネにふにゃりと笑顔を向けた。
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