【連載版】 極秘任務で使いたいから自白剤を作ってくれと言った近衛騎士団長が自分語りをしてくる件について

紬あおい

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21.皇室専属薬師




食事が終わると、陛下主導で話が始まった。

「リースハルトとリンネ嬢の結婚だが、一つ条件がある。」

「陛下!そんな話は聞いていません!!」

「悪い条件など出さぬ。リンネに薬師部屋を辞めてもらいたい。」

「陛下、何を!?」

「リースハルトよ、人の話を聞け!」

リースハルトは身を乗り出して抗議をするが、陛下はにやりと笑った。

「リンネ嬢には『Apothicairアポティケール   impérialアンペリアル』として働いてもらいたい。」

カッカとしていたリースハルトは、陛下の意図を理解したようで、表情が落ち着いた。

「………皇室の薬師…ですか…?」

「そうだよ、リンネ。
りとらゆる解毒剤を調合する皇室専属薬師をApothicairアポティケール   impérialアンペリアルと呼んでいる。
ここ百年程は不在だったが、リンネ嬢の手腕ならば復活させてもいいと思ったのだ。」

「私の手腕ですか?買い被りすぎでございます。
そんな………畏れ多いことです…」

「いや、リンネ嬢の手腕は確かと見た。このリースハルトを自白させたのだろう?
それだけで充分過ぎる程の手腕だ。」

この場で分かっていないのは、リンネだけだったようで、フォンティーヌ皇后まで微笑んでいる。

「リンネ、言っていなかったが、俺は薬というものが効かないんだ。鎮痛剤だけでなく、睡眠薬や媚薬のたぐいも効かない。」

「ーーっ!?」

「だから……あの日、自白剤は恐らく効いていたが、媚薬は…」

「ーーーっ!!」

えへへというような顔をしたリースハルトに、リンネはたばかられたと察した。

「何だ!?リースハルト、まさか媚薬が効いた振りをして…」

「リースハルトが笑ったのなんて、久しぶりに見たぞ?」

シルヴェスタ殿下は、リースハルトの企みに気付いたようだ。
隣に座るジルフリードも呆れている。

「はぁ…リースハルトよ、お前は意外と節操なしだったのだな…まあ、それだけリンネ嬢を想っていたのだな。
それで、リンネ嬢、Apothicairアポティケール   impérialアンペリアルをやってみないか?
温室に行けば一目瞭然だが、そこに薬師部屋など比べ物にならない位、貴重な薬草や薬剤の宝庫だ。
君なら活かせると思っている。」

リンネは頭をフル回転して考えた。
確かに魅力的な環境だし、リースハルトとも結婚したい。
だがリンネは、貧しい者達が薬を気軽に買えるようになって欲しいという願いがあった。

「とても名誉なことだと思いますし、リースハルト様をお慕いしております。
しかし、私には夢があります。貴賤関係なく、誰もがつらい時に薬を手に入れられることです。
もしも、私の願いもお聞き届けいただけるのでしたら、解毒剤だけでなく、安価な塗り薬や飲み薬を調合することもお許しください。」

陛下を始め、その場に居た者達は驚いた。
陛下に直訴する者など、殆ど居なかったからだ。
リースハルトを除いては。

「はっはっはっ!そなた達はよく似ているな!
この私に直接願い出るとは。
そなたが万が一悪用するならば、リースハルト共々罰すればいいだけの話だ。
しかし、リースハルトは幼い頃から見てきた奴だし、リンネ嬢はそのリースハルトが見染めた令嬢だ。
温室の物は全てリンネ嬢に委ね予算も組もう。」

「ありがたき幸せに存じます。私、リースハルト様の妻になる者として、誠心誠意お仕えいたします。」

堂々と陛下に言い切ったリンネに、リースハルトは満足げに微笑んだ。




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予告なく短編を公開している時があります
よろしければ、そちらもご覧いただけますと嬉しいです(°▽°)

いつもありがとうございます(〃ω〃)



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