【連載版】 極秘任務で使いたいから自白剤を作ってくれと言った近衛騎士団長が自分語りをしてくる件について

紬あおい

文字の大きさ
22 / 53

22.騎士団長は可愛がられている

しおりを挟む



「では、リースハルトには、新たにガルディアン公爵を授爵し、リンネ嬢との結婚を認めよう。
家同士の話は、私が皇命を出して拒否権は与えないという話にするので安心しなさい。
但し、急なことなので反発する者が現れるのは止められないだろう。
極秘任務という性質上、詳細は明らかに出来ないし、政略結婚と捉えられるかもしれない。
しかし、それらは全てリースハルトが抑え込め。
リンネ嬢は、明日にも薬師部屋を辞して、そのままApothicairアポティケール   impérialアンペリアルに就任してもらう。」

「承知いたしました。」

リンネは、自分の運命がここ数日で、大きく変化したことに驚いていた。

「リンネ嬢、大丈夫か?怒涛の展開ではあるが、この先を見据えてのことだ。
如何なる時も、リースハルトを信じて寄り添ってやってくれ。」

シルヴェスタ殿下は、更にまだ何かあると含みを持たせていた。
しかし、リンネには出来ることと出来ないことがある。
だからこそ、リンネに出来ることに最善を尽くせばいいと思った。

「それにしても、リンネ嬢は小さくて可愛いね!リースハルトじゃなくて、俺にしない?」

ジルフリード殿下がリンネを揶揄うと、カチッと隣で音がした。

「やめろっ、リースハルト!お前は本当にリンネ嬢のことになると見境ないな!!」

「はい、リンネだけは殿下であろうと譲れません。」

「だーかーらー、すぐに首を落とせる角度で剣に触るな!ったく、お前じゃなかったら、不敬罪で即刻地下牢だからな?」

「いや、今のはジルフリードが悪い。すまないに、リースハルト。ジルフリードは嬉しいんだよ、リースハルトが幸せを掴んだことが。素直じゃないのは知っているだろう?」

「シルヴェスタ殿下やジルフリード殿下の性格やお気持ちは、分かっております。ですが、リンネだけは駄目です。」

仕事モードで愛を語られてもと、リンネは少々呆れていた。
しかし、こんな会話が出来る程、両殿下と親密なのだなとも思った。

「ねぇ、リンネちゃん!」

「リンネちゃん!?」

顔を上げると、フォンティーヌ皇后がリンネに微笑み掛けていた。

「そう、リンネちゃんて呼ばせて?息子ばかりだから、女の子と仲良くしたいわ。」

「ぜっ、是非お願いいたします!私の家は、兄や姉ばかりに両親の愛情が注がれていましたので、仲良くしていただけたら嬉しいです。」

「あ…クリオネア侯爵家のアルメリヤ夫人ね…
シルヴェスタの婚約者候補にラミリア嬢の名前はあるけれど…まだ正式には誰も選んでいないわ。」

(あれ!?お母様やお姉様は、決まったような話し振りだったけど…違うのかしら?)

「今日、リンネちゃんに会って決めたわ。
リンネちゃんを粗末に扱うような家の令嬢なんて、未来の皇后に相応しくないもの。
シルヴェスタも、あの子を外していいわよね?」

「もちろんです。最初から眼中にありません。」

シルヴェスタがきっぱり言い放つと、リースハルトが隣でそっとお茶を吹いていた。
リンネはその日、実の母と姉の唯一の自慢の種を、無自覚で踏み潰したのだった。


しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。

香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。 皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。 さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。 しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。 それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 【ご報告】 2月15日付で、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。 ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。 引き続きよろしくお願いいたします。

義兄のために私ができること

しゃーりん
恋愛
姉が亡くなった。出産時の失血が原因だった。 しかも、子供は義兄の子ではないと罪の告白をして。 入り婿である義兄はどこまで知っている? 姉の子を跡継ぎにすべきか、自分が跡継ぎになるべきか、義兄を解放すべきか。 伯爵家のために、義兄のために最善の道を考え悩む令嬢のお話です。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

【完】皇太子殿下の夜の指南役になったら、見初められました。

112
恋愛
 皇太子に閨房術を授けよとの陛下の依頼により、マリア・ライトは王宮入りした。  齢18になるという皇太子。将来、妃を迎えるにあたって、床での作法を学びたいと、わざわざマリアを召し上げた。  マリアは30歳。関係の冷え切った旦那もいる。なぜ呼ばれたのか。それは自分が子を孕めない石女だからだと思っていたのだが───

看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎ 倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。 栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。 「責任、取って?」 噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。 手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。 けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。 看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。 それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。

冷遇妃ライフを満喫するはずが、皇帝陛下の溺愛ルートに捕まりました!?

由香
恋愛
冷遇妃として後宮の片隅で静かに暮らすはずだった翠鈴。 皇帝に呼ばれない日々は、むしろ自由で快適——そう思っていたのに。 ある夜、突然現れた皇帝に顎を掴まれ、深く口づけられる。 「誰が、お前を愛していないと言った」 守るための“冷遇”だったと明かされ、逃げ道を塞がれ、甘く囲われ、何度も唇を奪われて——。 これは冷遇妃のはずだった少女が、気づけば皇帝の唯一へと捕獲されてしまう甘く濃密な溺愛物語。

身代りの花嫁は25歳年上の海軍士官に溺愛される

絵麻
恋愛
 桐島花は父が病没後、継母義妹に虐げられて、使用人同然の生活を送っていた。  父の財産も尽きかけた頃、義妹に縁談が舞い込むが継母は花を嫁がせた。  理由は多額の結納金を手に入れるため。  相手は二十五歳も歳上の、海軍の大佐だという。  放り出すように、嫁がされた花を待っていたものは。  地味で冴えないと卑下された日々、花の真の力が時東邸で活かされる。  

処理中です...