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22.騎士団長は可愛がられている
しおりを挟む「では、リースハルトには、新たにガルディアン公爵を授爵し、リンネ嬢との結婚を認めよう。
家同士の話は、私が皇命を出して拒否権は与えないという話にするので安心しなさい。
但し、急なことなので反発する者が現れるのは止められないだろう。
極秘任務という性質上、詳細は明らかに出来ないし、政略結婚と捉えられるかもしれない。
しかし、それらは全てリースハルトが抑え込め。
リンネ嬢は、明日にも薬師部屋を辞して、そのままApothicair impérialに就任してもらう。」
「承知いたしました。」
リンネは、自分の運命がここ数日で、大きく変化したことに驚いていた。
「リンネ嬢、大丈夫か?怒涛の展開ではあるが、この先を見据えてのことだ。
如何なる時も、リースハルトを信じて寄り添ってやってくれ。」
シルヴェスタ殿下は、更にまだ何かあると含みを持たせていた。
しかし、リンネには出来ることと出来ないことがある。
だからこそ、リンネに出来ることに最善を尽くせばいいと思った。
「それにしても、リンネ嬢は小さくて可愛いね!リースハルトじゃなくて、俺にしない?」
ジルフリード殿下がリンネを揶揄うと、カチッと隣で音がした。
「やめろっ、リースハルト!お前は本当にリンネ嬢のことになると見境ないな!!」
「はい、リンネだけは殿下であろうと譲れません。」
「だーかーらー、すぐに首を落とせる角度で剣に触るな!ったく、お前じゃなかったら、不敬罪で即刻地下牢だからな?」
「いや、今のはジルフリードが悪い。すまないに、リースハルト。ジルフリードは嬉しいんだよ、リースハルトが幸せを掴んだことが。素直じゃないのは知っているだろう?」
「シルヴェスタ殿下やジルフリード殿下の性格やお気持ちは、分かっております。ですが、リンネだけは駄目です。」
仕事モードで愛を語られてもと、リンネは少々呆れていた。
しかし、こんな会話が出来る程、両殿下と親密なのだなとも思った。
「ねぇ、リンネちゃん!」
「リンネちゃん!?」
顔を上げると、フォンティーヌ皇后がリンネに微笑み掛けていた。
「そう、リンネちゃんて呼ばせて?息子ばかりだから、女の子と仲良くしたいわ。」
「ぜっ、是非お願いいたします!私の家は、兄や姉ばかりに両親の愛情が注がれていましたので、仲良くしていただけたら嬉しいです。」
「あ…クリオネア侯爵家のアルメリヤ夫人ね…
シルヴェスタの婚約者候補にラミリア嬢の名前はあるけれど…まだ正式には誰も選んでいないわ。」
(あれ!?お母様やお姉様は、決まったような話し振りだったけど…違うのかしら?)
「今日、リンネちゃんに会って決めたわ。
リンネちゃんを粗末に扱うような家の令嬢なんて、未来の皇后に相応しくないもの。
シルヴェスタも、あの子を外していいわよね?」
「もちろんです。最初から眼中にありません。」
シルヴェスタがきっぱり言い放つと、リースハルトが隣でそっとお茶を吹いていた。
リンネはその日、実の母と姉の唯一の自慢の種を、無自覚で踏み潰したのだった。
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