【連載版】 極秘任務で使いたいから自白剤を作ってくれと言った近衛騎士団長が自分語りをしてくる件について

紬あおい

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30.快方

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翌朝、朝食を済ませてヤンソンに会いに行くと、子ども達が集まっていた。

「領主様、奥様!村の者の熱が下がってきました。ありがとうございます。」

「それは良かったわ!」

リンネが大喜びし、リースハルトも口元だけ微笑んでいた。

「私はカレナといいます。母様が元気になりました。ありがとうございます。お礼に…どうぞ。」

子ども達の中の年長者と思われる女の子が小さな花束をリンネに差し出した。

「まあ!ありがとう!!」

リンネは膝をついて、目線を合わせてカレナからの花束を受け取った。
その様子に遠巻きに見ていた村人達が響めきが起こる。

「領主様の奥様が膝をついて…」

途端にリンネを囲むように村人達が集まり、口々に礼を言い始めた。

「奥様のお薬のおかげで妻が元気になりました!」

「ずっと痛かったお腹が治りました!」

リンネは微笑んで、ひと言ひと言に頷いていた。
気付けば、小さな子どもはリンネの膝に乗ったり、手を繋いでいて、村人達も微笑んでいた。

「奥様は女神様ですか!?」

「俺には昔から女神だ。」

(奥様は皆の救いの女神なのかもしれないな。一番救われたのは、領主様だろうが。)

ヤンソンとリースハルトの会話に、グラッドも微笑んだ。

その時、リンネがあることに気付いて、リースハルトに目配せをし、それに気付いたリースハルトは助け舟を出した。

「そろそろ我が妻を解放してもらっていいか?皆の体調が落ち着いたのなら、俺と妻は村を視察したい。」

「畏まりました!」

「奥様、また来てください!!」

「今度は一緒に遊んでください!」

リンネは、村人達から掛けられた声に泣きそうになりながら、またねと別れを告げた。



「リンネ、何か気付いたことでも?」

並んで歩き出した時、リースハルトはリンネに尋ねた。
リンネは少し考え、小さな声で答える。

「この花は、もしかしたら最高の解毒剤の材料になるかもしれません。
私の記憶が間違っていなければ、この花は『Langue de serpentラング・ドゥ・セルパン』です。」

Langue de serpentラング・ドゥ・セルパン?」

「蛇の舌のような草として、優れた解毒作用を持つのです。」

「なるほど…ならば、根ごと持ち帰って、温室で栽培してみようか。」

「はい、そうしたいです。そして、皇家所有の本で、最適な調合方法を探してみたいです。」

「その辺は問題ない。リンネはApothicairアポティケール   impérialアンペリアルなのだから、自由に読んで構わない筈だ。心配なら今一度陛下に確認する。」

「その方がよろしいかと思います。万能で副作用は少ないと記憶しておりますが、妊娠中の方やアレルギー体質の方には向かないとも思いますし。
許可を得て、存分に調べたいです。」

おっとりほのぼのしたリンネが熱く語るのは薬師の勤めの時だけかと、リースハルトは微笑ましく思った。

「では、Langue de serpentラング・ドゥ・セルパンとやらを探しに行こう。
この地でも栽培して、皇宮に売れば村人達も裕福になるだろう。」

(リースハルト様って、やっぱりただの騎士じゃないわね。頭も切れるし、不思議な人…)

リンネは、相変わらず自分は調合のことだけで、リースハルトは人々や経済にまで頭が回る凄い人なのだと感心した。

そして翌日、Langue de serpentラング・ドゥ・セルパンを見つけたリンネ達は、意気揚々と帰宅したのだった。


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