【連載版】 極秘任務で使いたいから自白剤を作ってくれと言った近衛騎士団長が自分語りをしてくる件について

紬あおい

文字の大きさ
37 / 55

37.リンネの作戦



その後は、意外にも大きな騒ぎはなくパーティは終わろうとしていた。

「グラッド、リンネを先に客間へ連れて行ってくれ。俺は殿下達を部屋へお連れした後に戻る。」

「承知しました。」

リンネはグラッドに連れられ、昨夜と同じ客間へと向かっていた。
その時、薬師長のマルガリーテに呼び止められた。

「リンネ、随分と出世なさったのね。まさか公爵夫人になっていたなんて驚いたわ。」

グラッドはリンネに相手にしなくていいと目で合図し、そのままリンネをエスコートしていた。

「ちょっと待ちなさい!偉くなったら元上司を無視するの!?」

マルガリーテは声を荒げながら着いて来る。

「奥様、リースハルト様と使ういつもの部屋を知られては面倒なので、その辺の部屋に一旦避難しましょう。」

小声で囁くグラッドに、リンネは従うことにし、一番近いドアを開けた。
その時、走ってきたマルガリーテにグラッド共々突き飛ばされ、部屋に押し込められた。

「あんたなんか、そこのおっさん騎士に穢されたらいいわ!」

マルガリーテは怪しげな粉袋を床に投げ付け、ドアをバタンと閉めた。

「何だ!?これはっ!!」

リンネは咄嗟に鼻や口を覆ったが、この粉が媚薬であることに気付いた。

「グラッド、すぐにこれを飲んで!!」

リンネから薬瓶を受け取ったグラッドは、躊躇わずに飲み干した。
しかし、すぐには効いてこないのか、体が熱くなるのを感じ、リンネから距離を取った。

「奥様、近寄らないでください!」

媚薬が効かないリンネは、冷静に状況を見ていた。
きっとマルガリーテはドアの外で聞き耳を立てている。
だったら、それを利用してやろうと考えた。

「グラッド、取り敢えず、ソファに座りましょう。」

テーブルを挟んで腰掛けると、リンネはグラッドに囁いた。

「媚薬でおかしくなった私達をリースハルト様に目撃させる魂胆でしょう。ちょっとお芝居に付き合ってもらいたいけど、解毒剤は効いてきたかしら?」

「はい、落ち着いてきました。では、如何致しましょう?」

リンネは悪戯っ子のように微笑んで、作戦を開始した。



しばらくして、リースハルトがリンネの待つ部屋に向かおうと歩いていたところをマルガリーテに捕まった。

「リースハルト様!」

(面倒な奴だな…リンネは大丈夫だろうか…)

「夫人なら、男性と部屋に籠っていらっしゃいますわ。ふふふっ!」

意味深な微笑みを浮かべるマルガリーテに、リースハルトは内心苛々しながらも、耳を傾ける振りをする。

「妻が、男と?」

「ええ、二人きりで。」

「案内してくれるか?」

「もちろんですわ!すぐに参りましょう!!」

嬉々として前を歩くマルガリーテに着いて行くと、部屋の中からリンネの声がした。

「ああぁん、グラッド!もう、もう、勘弁してぇーーー!!」

「いやいや、奥様、まだまだです!」

「いやん、そんなところっ!」

「ここが良いのでしょう?ほらほら!」

「あぁん、ダメ、ダメよ、そんなの!!」

マルガリーテはしたり顔でリースハルトを振り返った。

「リンネったら、やっぱり淫婦なのね!リースハルト様、あの女の正体、その目でご覧あそばせ?」

眉間に皺を寄せたリースハルトは、その部屋のドアを蹴破った。


感想 5

あなたにおすすめの小説

世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない

二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。 ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。 当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。 だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。 ――君の××××、触らせてもらえないだろうか?

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

コワモテ軍人な旦那様は彼女にゾッコンなのです~新婚若奥様はいきなり大ピンチ~

4月2日コミカライズ配信♡二階堂まや
恋愛
政治家の令嬢イリーナは社交界の《白薔薇》と称される程の美貌を持ち、不自由無く華やかな生活を送っていた。 彼女は王立陸軍大尉ディートハルトに一目惚れするものの、国内で政治家と軍人は長年対立していた。加えて軍人は質実剛健を良しとしており、彼女の趣味嗜好とはまるで正反対であった。 そのためイリーナは華やかな生活を手放すことを決め、ディートハルトと無事に夫婦として結ばれる。 幸せな結婚生活を謳歌していたものの、ある日彼女は兄と弟から夜会に参加して欲しいと頼まれる。 そして夜会終了後、ディートハルトに華美な装いをしているところを見られてしまって……?

離宮に隠されるお妃様

agapē【アガペー】
恋愛
私の妃にならないか? 侯爵令嬢であるローゼリアには、婚約者がいた。第一王子のライモンド。ある日、呼び出しを受け向かった先には、女性を膝に乗せ、仲睦まじい様子のライモンドがいた。 「何故呼ばれたか・・・わかるな?」 「何故・・・理由は存じませんが」 「毎日勉強ばかりしているのに頭が悪いのだな」 ローゼリアはライモンドから婚約破棄を言い渡される。 『私の妃にならないか?妻としての役割は求めない。少しばかり政務を手伝ってくれると助かるが、後は離宮でゆっくり過ごしてくれればいい』 愛し愛される関係。そんな幸せは夢物語と諦め、ローゼリアは離宮に隠されるお妃様となった。

【恋愛】目覚めたら何故か騎士団長の腕の中でした。まさかの異世界トリップのようです?

梅花
恋愛
日下美南(くさかみなみ)はある日、ひょんなことから異世界へとトリップしてしまう。 そして降り立ったのは異世界だったが、まさかの騎士団長ベルゴッドの腕の中。 何で!? しかも、何を思ったのか盛大な勘違いをされてしまって、ベルゴッドに囲われ花嫁に? 堅物騎士団長と恋愛経験皆無の喪女のラブロマンス?

お兄様「ねえ、イケナイ事をしよっか♡」

小野
恋愛
父が再婚して新しく出来たお兄様と『イケナイ事』をする義妹の話。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

身代りの花嫁は25歳年上の海軍士官に溺愛される

絵麻
恋愛
 桐島花は父が病没後、継母義妹に虐げられて、使用人同然の生活を送っていた。  父の財産も尽きかけた頃、義妹に縁談が舞い込むが継母は花を嫁がせた。  理由は多額の結納金を手に入れるため。  相手は二十五歳も歳上の、海軍の大佐だという。  放り出すように、嫁がされた花を待っていたものは。  地味で冴えないと卑下された日々、花の真の力が時東邸で活かされる。