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53.最終打ち合わせ
三ヶ月後、ザカリー陛下から指示された自白剤と筋肉弛緩剤が完成した。
そして、リースハルトと案を出したカプセル剤の解毒剤も準備出来た。
残るは、グレシャム国との和解と見せかけた訪問と、高位貴族を対象とした陛下との個別の謁見の日程調整だ。
ジルフリード殿下は、どうやらグレシャム国のベントレット国王とアンジェリーナ王女のエルネスト帝国への訪問に合わせて動いているらしいとの調査報告が上がってきた。
「リンネ、陛下とシルヴェスタ殿下と最終調整に入る。ジルフリード殿下に気取られぬよう、温室にて話すことにした。」
「承知しました。では、その際にカプセルの解毒剤をお渡ししましょう。そして、いつでも服用出来るように、身に付けていただきましょうか。」
「そうだな、陛下達は常に危険に晒されているようなものだからな。」
最近のリースハルトは、他を牽制するかのように剣を腰に携えている。
不穏な動きを察したら、躊躇わずに剣を抜くぞと思わせる為だ。
しかし、今回の作戦はそれを覆すことに意味がある。
無血の自白大会など、帝国始まって以来、歴史書にも記述がない。
「なるべく穏便に済ませたいですね。」
「ああ、それが一番だがな。」
リンネはリースハルトの無事も祈るのだった。
そして、翌日ザカリー陛下とシルヴェスタ殿下が温室を訪れた。
「ジルフリードは、今日は近衛騎士団に顔を出している。今のところ、こちらの動きには気付いていないようだ。」
シルヴェスタ殿下は、そう話しながらザカリー陛下と貴族達の謁見の間の地図を広げた。
「この部屋なら、打ち合わせ通りに事が運ぶ筈だ。」
「なるほど。後ろから入室し、前から退出する出船方式が成り立ちますね。
万が一に備え、ここに衝立を置いて、その陰にリンネを配置しましょうか。」
「そうしよう。リースハルトもそこでいい。そなたが剣を携えて立つと、皆が震え上がるからな。」
「おい、リースハルト、衝立の陰で良からぬことをするなよ?」
緊迫していた中、シルヴェスタ殿下が揶揄う。
「殿下、婚約者すら居ないからと、いちいち揶揄わないでください。」
「ふ、不敬だな、お前!私だって…この件が終われば…」
穏やかなシルヴェスタ殿下が珍しく焦ると、リースハルトが笑いを堪えぷるぷるしている。
「さっさと片付けて、殿下の妃探しをしましょう。」
「自分が想い人と結ばれたからと、調子に乗るなよ?全く…毎度毎度幸せそうにニヤニヤしやがって!!」
「はい、はい。殿下、お言葉遣いが乱れておりますよ?」
「うるさいっ!!」
リースハルトの緩んだ顔付きに、リンネは二人の絆を感じた。
本当なら、ここにジルフリードも加わっていた筈なのに、どこで捻れたのだろうかと、リンネは悲しく思ったのだった。
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