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56. 前に出てきたがる奴らが、すごくないわけがなかった
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結果から言ってしまえば、反応はわりと上々だった。
「えっ、それ飲めるの!?」
「飲んでみるかい、モルモット君?」
「お前そのキャラ貫き通すんだな」
呆れながらも、なんだかんだでそれっぽく振る舞ってみる。
飲める色水はかなり好評だったようで、俺は何度も席を外して色水を追加することになった。
というかそろそろ飲みすぎてお腹が一杯になってきた…と思ったところで、体育館にアナウンスが響く。
『この後、各出場者に1分間ずつの壇上でのアピールタイムが設けられます!アピールしたい方は、このチャンスを逃しちゃダメですよ!準備はこちらで行えますので集まってください』
「よっしゃ、しっかりアピールしてやんぞ!」
「台本もなしに、二人で何やるんだよ…」
とはいえ演出でがぶがぶと飲み続けるのも限界だったので、ちょうどいい区切りと考えることにした。
◆ ◆ ◆
アピールタイムは自ら喋るスピーチ形式とイベントスタッフの質問に答えるインタビュー形式の二つが用意されていた。
アピールタイム自体が突然発表されたこともあり、ほとんどの参加者はインタビュー形式の方を選択していた。
そりゃ何喋っていいかわからないもんな。
そうして壇上を見つめる俺の口からは、主に二種類の「すげぇ」が出力されることとなった。
一つは仮装…というかコスプレのクオリティが高いものに対して。
参加者には意外と男子もおり、そしてみんなメイクとか髪型とかをしっかり原作再現していた。
女子が男キャラのコスプレをしている例もあったが、それもまたクオリティの高いものだった。
ちなみに女子からは『ただでさえ窮屈な男キャラの衣装を着ている』という部分が評価されたのか、他の人よりも多くの拍手が送られていたように思う。投票数で競う際の強敵になりそうだ。
そして、もう一つは――女子の、露出が激しいという次元を遥かに超えた衣装の数々に対してだ。
いつものファッションもさることながら、普段なら見られないであろう姿がそこにあった。
例えば…確実にお尻から生えている尻尾に、両側の太ももから伸びるローター複数個。
首輪の他に、股間にも吊り下げられた金色の鈴。
数少ない概念仮装の一つ。ネコの擬人化らしいが、本物のネコはそんな格好しないと思う…。
他にも、黒いサイハイブーツに黒い手袋、そしてカーキ色の軍帽。加えて黒いローター。
なんかの軍人キャラらしいが、コスプレしている彼女が巨乳ということもあって、大人の色気みたいなものを感じてしまう。…そう思ったところで、色気とはなんだろうと哲学的思考に足を突っ込みかけた。
あと印象的だったのは、シスターのコスプレだろうか。
衣装の中では珍しく股間が黒い布で覆われていたが、胸の露出は当然のようにあるし、深いスリットは脚どころか腰まであってパンツがないことをしっかり示していた。
彼女が側を通ったとき、布の奥からくぐもったモーターの音が聞こえていたのがすごく背徳的だった。ここに来てついに見えないことの美学に目覚めたかもしれない。
『ありがとうございましたー!さて、最後は浜場・奥原ペアです!』
「よっしゃ、行くぞ!」
「はいはい…」
既に他の人々の(あらゆる意味で)刺激的なコスプレを目にして、適当に白衣を羽織っただけの俺は戦意をほぼ喪失していたのだが、今更辞退するわけにもいかない。
質問にどう答えようか、と脳内で応答を練りながら、俺たちは壇上へと足を運んだ。
「えっ、それ飲めるの!?」
「飲んでみるかい、モルモット君?」
「お前そのキャラ貫き通すんだな」
呆れながらも、なんだかんだでそれっぽく振る舞ってみる。
飲める色水はかなり好評だったようで、俺は何度も席を外して色水を追加することになった。
というかそろそろ飲みすぎてお腹が一杯になってきた…と思ったところで、体育館にアナウンスが響く。
『この後、各出場者に1分間ずつの壇上でのアピールタイムが設けられます!アピールしたい方は、このチャンスを逃しちゃダメですよ!準備はこちらで行えますので集まってください』
「よっしゃ、しっかりアピールしてやんぞ!」
「台本もなしに、二人で何やるんだよ…」
とはいえ演出でがぶがぶと飲み続けるのも限界だったので、ちょうどいい区切りと考えることにした。
◆ ◆ ◆
アピールタイムは自ら喋るスピーチ形式とイベントスタッフの質問に答えるインタビュー形式の二つが用意されていた。
アピールタイム自体が突然発表されたこともあり、ほとんどの参加者はインタビュー形式の方を選択していた。
そりゃ何喋っていいかわからないもんな。
そうして壇上を見つめる俺の口からは、主に二種類の「すげぇ」が出力されることとなった。
一つは仮装…というかコスプレのクオリティが高いものに対して。
参加者には意外と男子もおり、そしてみんなメイクとか髪型とかをしっかり原作再現していた。
女子が男キャラのコスプレをしている例もあったが、それもまたクオリティの高いものだった。
ちなみに女子からは『ただでさえ窮屈な男キャラの衣装を着ている』という部分が評価されたのか、他の人よりも多くの拍手が送られていたように思う。投票数で競う際の強敵になりそうだ。
そして、もう一つは――女子の、露出が激しいという次元を遥かに超えた衣装の数々に対してだ。
いつものファッションもさることながら、普段なら見られないであろう姿がそこにあった。
例えば…確実にお尻から生えている尻尾に、両側の太ももから伸びるローター複数個。
首輪の他に、股間にも吊り下げられた金色の鈴。
数少ない概念仮装の一つ。ネコの擬人化らしいが、本物のネコはそんな格好しないと思う…。
他にも、黒いサイハイブーツに黒い手袋、そしてカーキ色の軍帽。加えて黒いローター。
なんかの軍人キャラらしいが、コスプレしている彼女が巨乳ということもあって、大人の色気みたいなものを感じてしまう。…そう思ったところで、色気とはなんだろうと哲学的思考に足を突っ込みかけた。
あと印象的だったのは、シスターのコスプレだろうか。
衣装の中では珍しく股間が黒い布で覆われていたが、胸の露出は当然のようにあるし、深いスリットは脚どころか腰まであってパンツがないことをしっかり示していた。
彼女が側を通ったとき、布の奥からくぐもったモーターの音が聞こえていたのがすごく背徳的だった。ここに来てついに見えないことの美学に目覚めたかもしれない。
『ありがとうございましたー!さて、最後は浜場・奥原ペアです!』
「よっしゃ、行くぞ!」
「はいはい…」
既に他の人々の(あらゆる意味で)刺激的なコスプレを目にして、適当に白衣を羽織っただけの俺は戦意をほぼ喪失していたのだが、今更辞退するわけにもいかない。
質問にどう答えようか、と脳内で応答を練りながら、俺たちは壇上へと足を運んだ。
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