女の子がエロい服を着てる世界でもラブコメはできる!

キューマン・エノビクト

文字の大きさ
56 / 164

56. 前に出てきたがる奴らが、すごくないわけがなかった

しおりを挟む
 結果から言ってしまえば、反応はわりと上々だった。

「えっ、それ飲めるの!?」
「飲んでみるかい、モルモット君?」
「お前そのキャラ貫き通すんだな」

 呆れながらも、なんだかんだでそれっぽく振る舞ってみる。
 飲める色水はかなり好評だったようで、俺は何度も席を外して色水を追加することになった。
 というかそろそろ飲みすぎてお腹が一杯になってきた…と思ったところで、体育館にアナウンスが響く。

『この後、各出場者に1分間ずつの壇上でのアピールタイムが設けられます!アピールしたい方は、このチャンスを逃しちゃダメですよ!準備はこちらで行えますので集まってください』
「よっしゃ、しっかりアピールしてやんぞ!」
「台本もなしに、二人で何やるんだよ…」

 とはいえ演出でがぶがぶと飲み続けるのも限界だったので、ちょうどいい区切りと考えることにした。

 ◆ ◆ ◆

 アピールタイムは自ら喋るスピーチ形式とイベントスタッフの質問に答えるインタビュー形式の二つが用意されていた。
 アピールタイム自体が突然発表されたこともあり、ほとんどの参加者はインタビュー形式の方を選択していた。
 そりゃ何喋っていいかわからないもんな。
 そうして壇上を見つめる俺の口からは、主に二種類の「すげぇ」が出力されることとなった。
 一つは仮装…というかコスプレのクオリティが高いものに対して。
 参加者には意外と男子もおり、そしてみんなメイクとか髪型とかをしっかり原作再現していた。
 女子が男キャラのコスプレをしている例もあったが、それもまたクオリティの高いものだった。
 ちなみに女子からは『ただでさえ窮屈な男キャラの衣装を着ている』という部分が評価されたのか、他の人よりも多くの拍手が送られていたように思う。投票数で競う際の強敵になりそうだ。

 そして、もう一つは――女子の、露出が激しいという次元を遥かに超えた衣装の数々に対してだ。
 いつものファッションもさることながら、普段なら見られないであろう姿がそこにあった。
 例えば…確実にお尻から生えている尻尾に、両側の太ももから伸びるローター複数個。
 首輪の他に、股間にも吊り下げられた金色の鈴。
 数少ない概念仮装の一つ。ネコの擬人化らしいが、本物のネコはそんな格好しないと思う…。
 他にも、黒いサイハイブーツに黒い手袋、そしてカーキ色の軍帽。加えて黒いローター。
 なんかの軍人キャラらしいが、コスプレしている彼女が巨乳ということもあって、大人の色気みたいなものを感じてしまう。…そう思ったところで、色気とはなんだろうと哲学的思考に足を突っ込みかけた。
 あと印象的だったのは、シスターのコスプレだろうか。
 衣装の中では珍しく股間が黒い布で覆われていたが、胸の露出は当然のようにあるし、深いスリットは脚どころか腰まであってパンツがないことをしっかり示していた。
 彼女が側を通ったとき、布の奥からくぐもったモーターの音が聞こえていたのがすごく背徳的だった。ここに来てついに見えないことの美学に目覚めたかもしれない。

『ありがとうございましたー!さて、最後は浜場・奥原ペアです!』
「よっしゃ、行くぞ!」
「はいはい…」

 既に他の人々の(あらゆる意味で)刺激的なコスプレを目にして、適当に白衣を羽織っただけの俺は戦意をほぼ喪失していたのだが、今更辞退するわけにもいかない。
 質問にどう答えようか、と脳内で応答を練りながら、俺たちは壇上へと足を運んだ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...