女の子がエロい服を着てる世界でもラブコメはできる!

キューマン・エノビクト

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66. イベントは、準備段階が一番楽しい

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 ダンボール板を所定の大きさに切りそろえる。
 数枚重ねて、緑の布を張り付ける。
 カジノテーブルの元ができた。これをいくつか用意して、ルーレット用、ブラックジャック用…と使い分けるのだ。

「それじゃ、こっちはやっとくからチップ作りお願いね」
「あいよ」

 女子達が台を作っている間、俺たち男子は細かい作業に繰り出されていた。
 テーブルの余りから、チップを大量生産するのだ。
 これがまた、色付けもあって結構面倒くさい。
 集中力もかなり使うが、かといって目を逸らすと四つん這いで作業をしてる女子の尻がバッチリ目に入ってしまうので、気を抜くわけにはいかないのだ。

「こまけぇー…これ出来合いのもの買えば良かったんじゃないのか…?」
「勝った人用の景品も買わなきゃいけないんだから、そんなやってらんないよ」

 愚痴を零す浜場に、会計を担当している色葉が正しく反論する。
 買ってくるときも値段の上限を細かく指示されたし、どうやら彼女の財布の紐は固いらしい。
 無論会計担当としては望ましいが、ちょっと面倒くさいのは事実である。

「というか、来てくれた人用の飲み物も用意するんだからね。それがないとせっかく飲食権ゲットした意味なくなるでしょ」
「ごもっともでございます」

 正論の前に、浜場の愚痴は潰えてしまった。

「まぁ、こういうイベントの類は準備してるときが一番楽しいとも言うしな」
「そうだな…」

 とりあえず、俺はできる範囲で浜場をフォローするのだった。

 ◆ ◆ ◆

「あー…つっかれた…」

 空がオレンジ色に染まってきた頃になって、ようやく今日の目標分が完成した。

「はい、おつかれ」

 色葉が紙コップにジュースを注いで、俺たちに持ってきてくれた。

「おっ、サンキュ。会計的には大丈夫か?」
「これでも近所のスーパーの最安値は把握してるからね」
「おぉ、さしずめ皆のオカンってところだね」
「オッケー、近藤はジュース抜きね。干からびなさい」
「僕そんなに嫌われることした!?」
「うっさい!自分がなにしたか胸に手を当てて考えてみろ!違うわたしのじゃない!!」

 何やら色葉と近藤が揉めている。
 近藤は一体何をしでかしたのやら。

「あいつら仲良いな」
「ほんとな」

 俺と浜場は他人事のように呟いて、ジュースを呷った。甘酸っぱさが喉に浸透していく。
 カフェインを脳に染み込ませるよりはいくらか健康的に違いない。

「はいはい、夫婦喧嘩は後にして。まず片付けるよ」

 呆れたように島地が仲裁に入った。
 二人は渋々黙ってそれぞれの片付けを始めた。
 …否定はしないんだな。

「よし、お疲れ!明日も奥原・浜場ペアは買い物に行ってもらうからね、今度は景品買わなきゃいけないから」
「了解でーす」

 浜場が間の抜けた返事をしたので、俺は黙って頷くに留めた。

「あとは今日みたいな地味な作業系が多いかな。女子はルーレットテーブルを半分くらいは完成させるの目標で」
「はーい」
「それじゃ、また明日!」

 色葉の号令とともに、俺たちは教室の外へ出る。
 また明日も、授業を受けて午後は単純作業をする。
 今日とあまり変わらないものの…やっぱり、どこかワクワクしている自分がいた。
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