女の子がエロい服を着てる世界でもラブコメはできる!

キューマン・エノビクト

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104. お互い、同じような気持ちでいたりするものだ

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 二人で風呂に入るのは二度目だ。
 だが、前回と今回ではまるで意味が違う。
 恋人として一緒に入るのだ。
 衣擦れの音は、気づかなかった。
 もはや自分が服を脱ぐ過程すら覚えていない。

「シャワー出しとくね。…冷たっ」

 蛇口を捻った白宮さんの背中を眺める。
 考えてみれば、こんなにも簡単に裸を拝める世界でありながら、何も着けていない全裸というのは数回しか見たことがない。
 それこそ、プールと風呂くらいなものだろう。

「温かくなったよ。使う?」
「いや、いいよ。お先にどうぞ」

 俺は壁に寄りかかって待つ。
 これなら時間差を作って入ったほうがよかったかもしれない。
 風呂に暖房がついているおかげで、風邪をひいたりはしないで済みそうだ。

 …こうして一人で待つ時間が与えられると、考えてしまう。
 自分は彼女に相応しい人間なのか。本当に自分で良かったのか。
 自分でもやるだけ無駄なんだろう、とは思っている。だが、その思考で不安を拭い去れるかと言えば、否だ。

「はい、終わったよ」
「…おう、ありがと」

 テンションも低めに、俺はシャワーヘッドを受け取る。
 どうしたのだろう。
 風呂に入るときに、舞い上がった気持ちを服と一緒に脱ぎ捨ててしまったのかもしれない。
 蛇口を捻り、温度を確認する。

「熱いな」
「大丈夫?下げる?」
「大丈夫だよ。これでいい」

 熱いシャワーを頭から被って、何もかも洗い流してしまえればいい。

 ◆ ◆ ◆

 いつもの数倍は丁寧に体を洗った。

「俺も入る」
「はい、どうぞ」

 白宮さんは体を前にやって背中側にスペースを作った。

「前…足の方じゃないんだな」
「まだ、向き合うのはちょっと…恥ずかしい、から。それに…」

 俺が入ると、白宮さんは俺の足を伸ばさせ、その間に入ってきて、俺に背中を預けた。
 お湯以上に熱さを感じる気がする。

「こういうのは、嫌い?」
「嫌いじゃない」
「だよね。もう、おっきくなってるもんね」
「…不可抗力だ」

 俺は努めて仏頂面を作った。
 白宮さんも、それ以上は気にしない様子だった。

「…なっちゃったね、恋人」
「そうだな」

 なんと言って良いかわからなくて、短い返答になってしまう。

「ありがとね」
「ん?…何に対してだ?」
「私と付き合ってくれたこと、かな」
「…それは、ちょっと違うんじゃないか」

 不思議そうな顔をして、白宮さんが振り向く。

「俺は、別にお礼を言われるためとか、なんか打算があって白宮さんに告白したわけじゃない。それを言うなら、俺だってお礼を言いたい。…怖かったしな。もし白宮さんが俺のことなんか好きじゃなかったら。迷惑だったら…って」
「そっか。…迷惑、か」
「後を押してくれたのは、浜場だったよ。『恋愛は迷惑でできている』なんて名言を言われた」

 俺は浜場の話を、掻い摘んで話した。

「なるほどね。…考えたこともなかったな。いい話だね」
「ああ、いい友達を持った。…多分だけどさ」

 俺は、そこに自分の解釈を加える。

「恋愛は迷惑って、付き合う前に限ったものでもないんだよ。二人でいるうちに、互いに迷惑をかけることもあると思うんだ。それを互いに許しあえるのが、ちゃんとした恋人同士なんじゃないか?」
「そうだね。きっと、それが正しい。…私、不安だったのかもね。自分が奥原くんに釣り合うかどうか」
「正直、不安だったのが俺だけじゃなくて安心してるよ。これからもよろしく」
「うん、よろしく。…それで、早速迷惑…というか、わがままなんだけど…」
「ん?」

 白宮さんは、俺の両手を取り…胸へと持っていった。
 手のひらの中に、形の良い乳房がすっぽりと収まる。

「…しよ?」

 我慢という名の枷が、まず一つ外された。
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