僕の未来の夢の話

三苦之一幸(sankunoissi)

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未来の職業

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僕はまた、未来にいた。
30年後、オヤジになっていた。
とは言っても、見た目は今とそう変わらない。
朝起きて歯も磨かず、髭も伸びないようだ。

妻は、僕が何の仕事をしているのかを知らない。

「行ってきます。」
とまるで二十代にも見える若々しくシミやシワひとつない妻の顔に見惚れながら家を出た。

朝の通勤は、小さな運転手もいない箱型の乗り物だった。

ハンドルもアクセルもブレーキもない。
4人乗りのまるで子供のおもちゃのようだった。

自動のスライドドアで中に入ると身体を包み込むような椅子へと座った。

シートベルトはない。

だが、この乗り物は、意外にもスピードが速く窓ガラス(透明なプラスチックみたいな素材)に映し出されているスピードは時速80kmだった。

そうこうしているうちに、ロゴマークのようなものが見えてきた。

漢字の王の字を横に向けたようなロゴマークだ。

会社へと着き驚いたのが、エレベーターなど使わず、その乗り物で僕は16階まで進んだ。

駐車場らしき場所へ行き、そこで降りてオフィスへと向かった。

僕が就職した会社は、i+i(アイプラスアイ)という会社で、人の遺伝子情報の提供とゲノム解析によって病気等へのリスクを削減し改善出来るようお知らせする。

そんな仕事だ。

実際には今で言う、コンピューターシステムが24時間、常時やってくれているのだが、どの時代にも、どうしても付いていけない人の為に、わかりやすく知らせる人、僕らが必要となるのだ。

オフィスの中は、全体的に青いガラス(透明なプラスチックみたいな素材)で囲まれたようになっていて、背もたれのある一人がけのソファーに座ると、画面にヒト型のアニメキャラみたいなものが映し出される。

これはアボットと言って、個々に割り振られたアバターみたいなものだ。
日本の場合は生まれ年の十二支で登録でき、それぞれの自分の好みで性別や見た目を変えることが可能になる。

僕のアボットは、申年なので、猿に2頭身の身体の可愛らしいものにしているのだが、会社で対応する場合には、会社用のアボットが割り振られている。

i+iのアボットは、まるで宇宙人のグレイである。

相手がモニターに映し出される。どこの誰かは、解らないようになっているが、アボットは、ピンクのうさぎに赤い薔薇の花が付いている。

今日のお客様は50代前半の女性の様だ。

「こんにちは、アイプラスアイホールディングスです。」
「こんにちは、質問があります。」
「はい、いいです。」
「私、ヘアサロンで白髪が見つかったのですが、解析とその改善策を送ってくれますか?」

「はい、お調べ致しますのでお待ちください。」
そう言うと同時に、システムデータが右側に映し出される。

この時代、もう頭脳や医者は必要ないのだ。
こうやって遺伝子解析と身体に不調があればその箇所だけを切取り新しく作り替える技術が生まれていた。

白髪も病気のひとつとなっているのだ。

送付のデータを見て、ハッとした。
それは、僕の妻だった。
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