雪の残響 ~エラリア帝国の終焉~

Dragonfly

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回帰6

《帝国創世神話》より

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むかし、世界には四つの季節しかなかった。  

春は芽を育て、夏は命を燃やし、秋は実りを分け、冬は静けさを授けた。 

けれどある年、冬が終わらなかった。  

雪は降り続け、風は止まず、鐘の音は凍りついた。  

人々は祈ったが、神は答えなかった。 

そのとき、ひとりの子どもが雪の中で精霊に出会った。  

精霊は言った。  

「これは第五の季節。 神が語らぬ時、世界は耳を澄ませる。 沈黙は、声の前ぶれなのだ」 

子どもは問うた。  

「では、神は戻ってくるの?」 

精霊は微笑んだ。  

「神は戻るかもしれない。 けれど、それを待つより、 おまえが語るほうが早いかもしれない」 

それから子どもは、雪の上に言葉を刻んだ。  

それは祈りではなく、問いでもなく、 自分の声だった。 

第五の季節は、今も続いている。  

雪が降るたび、誰かが耳を澄ませ、 誰かが語りはじめる。 

神が沈黙したのではない。 世界が、語る番になったのだ――。 
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