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真夜中の恋人 19
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「携帯、鳴ってるで」
「ほっとけ」
「教授のお呼び出しとちゃうか?」
ちっと舌打ちして京助は携帯をポケットから取り出した。
「……はい、わかりました」
緊急ですぐ来るようにという教授のお達しである。
「それ、食ったら、ちゃんと帰れよ」
のんびりと、クレーム・ブリュレを口に持っていく千雪にそう言うと、コーヒーを一口飲んでから京助は慌てて席を立つ。
と思いきや、千雪に覆いかぶさるようにすばやくキスをした。
「アホ! 人が見てるやろ!」
「わかりゃしねぇよ」
笑いながら京助はレジに向かう。
「気ぃつけや」
店を出ていく京助の後ろ姿を見送った千雪は、京助の唇の名残にほんの少し寂しくなった。
何日ぶりかで言葉を交わした京助はいつもの京助だったし、何となくほっとしたからか、朝からの鬱々とした気分もいつの間にか消えていた。
相変わらずストーカーまがいに待ち伏せとか、呆れるのだが。
ちょっと笑みを浮かべて、千雪はコーヒーを飲む。
「いやあ、ようやく会えたな」
いきなり現れた影が、京助の座っていた椅子に腰を降ろした。
驚いて千雪は目を見張る。
「京助のやつ、君を紹介もしてくれないし、部屋も使わせない、出て行けだからな」
どうしてここに速水が現れたのかと、千雪は考えを巡らせる。
「ガキの頃からの親友にだぜ? いくら何でもそれはないと思わないか?」
速水はギャルソンを捕まえてコーヒーをオーダーする。
「君は? 何か飲む?」
口を閉ざしている千雪に、速水は尋ねる。
「こう見えて俺も割りと資産家の生まれなんだ。HCCコーヒーって知ってる? 社長が俺のオヤジで、俺は三男坊。今はね、拠点をボストンにしているが、そろそろ東京に部屋でも買おうとは思ってるんだ」
何が言いたいんや? こいつ。
千雪は怪訝な表情を隠すこともなく、速水を睨みつける。
「株主だし、あのくらいの部屋ならすぐにも買える」
速水はじっと千雪を見つめながらうっすらと笑う。
「何なら君の好きな部屋を選んでくれていい。部屋は君の自由に使っていいし、小遣いも好きなだけやるし、どうだ? 俺と付き合わないか?」
何を言い出すかと思ったら、一体全体どういうつもりや?
「OKなんて言うと思うのんか?」
スパッと切り返されたものの、速水は怯まない。
「どうして? そんなに京助はよくしてくれるわけ? あいつ、タラシだから、いつ捨てられるかわかったもんじゃないぜ? そこ行くと俺はマジになったら絶対大事にしてやるぜ?」
「あんた、日本語もわかれへん? 誰があんたなんかて言うてるんやで?」
千雪はじっと速水を見据えて言うと、ヘルメットを持って立ち上がる。
ところが、その腕を速水ががしっと掴む。
「まあまあ、あの京助をその美貌と一体どんな手練手管でたらしこんだか知らないが、京助といえば東洋グループ会長の御曹司だ、なかなかすごいの捕まえたよな? だが、どうせ援助目的だろ? 京助なんかより俺の方がずっといい目を見させてやるぜ?」
思わずぶん殴ってやりたいところを、深呼吸して千雪は何とか堪えた。
「あんた、自分で言うてて、ようも恥ずかしないな?」
侮蔑の視線を向けながら千雪は速水を椅子に突き飛ばして腕を離す。
「ほんまに、京助のダチだけのことはあるわ」
ひと睨みすると、千雪はそのまま店を出た。
「ほっとけ」
「教授のお呼び出しとちゃうか?」
ちっと舌打ちして京助は携帯をポケットから取り出した。
「……はい、わかりました」
緊急ですぐ来るようにという教授のお達しである。
「それ、食ったら、ちゃんと帰れよ」
のんびりと、クレーム・ブリュレを口に持っていく千雪にそう言うと、コーヒーを一口飲んでから京助は慌てて席を立つ。
と思いきや、千雪に覆いかぶさるようにすばやくキスをした。
「アホ! 人が見てるやろ!」
「わかりゃしねぇよ」
笑いながら京助はレジに向かう。
「気ぃつけや」
店を出ていく京助の後ろ姿を見送った千雪は、京助の唇の名残にほんの少し寂しくなった。
何日ぶりかで言葉を交わした京助はいつもの京助だったし、何となくほっとしたからか、朝からの鬱々とした気分もいつの間にか消えていた。
相変わらずストーカーまがいに待ち伏せとか、呆れるのだが。
ちょっと笑みを浮かべて、千雪はコーヒーを飲む。
「いやあ、ようやく会えたな」
いきなり現れた影が、京助の座っていた椅子に腰を降ろした。
驚いて千雪は目を見張る。
「京助のやつ、君を紹介もしてくれないし、部屋も使わせない、出て行けだからな」
どうしてここに速水が現れたのかと、千雪は考えを巡らせる。
「ガキの頃からの親友にだぜ? いくら何でもそれはないと思わないか?」
速水はギャルソンを捕まえてコーヒーをオーダーする。
「君は? 何か飲む?」
口を閉ざしている千雪に、速水は尋ねる。
「こう見えて俺も割りと資産家の生まれなんだ。HCCコーヒーって知ってる? 社長が俺のオヤジで、俺は三男坊。今はね、拠点をボストンにしているが、そろそろ東京に部屋でも買おうとは思ってるんだ」
何が言いたいんや? こいつ。
千雪は怪訝な表情を隠すこともなく、速水を睨みつける。
「株主だし、あのくらいの部屋ならすぐにも買える」
速水はじっと千雪を見つめながらうっすらと笑う。
「何なら君の好きな部屋を選んでくれていい。部屋は君の自由に使っていいし、小遣いも好きなだけやるし、どうだ? 俺と付き合わないか?」
何を言い出すかと思ったら、一体全体どういうつもりや?
「OKなんて言うと思うのんか?」
スパッと切り返されたものの、速水は怯まない。
「どうして? そんなに京助はよくしてくれるわけ? あいつ、タラシだから、いつ捨てられるかわかったもんじゃないぜ? そこ行くと俺はマジになったら絶対大事にしてやるぜ?」
「あんた、日本語もわかれへん? 誰があんたなんかて言うてるんやで?」
千雪はじっと速水を見据えて言うと、ヘルメットを持って立ち上がる。
ところが、その腕を速水ががしっと掴む。
「まあまあ、あの京助をその美貌と一体どんな手練手管でたらしこんだか知らないが、京助といえば東洋グループ会長の御曹司だ、なかなかすごいの捕まえたよな? だが、どうせ援助目的だろ? 京助なんかより俺の方がずっといい目を見させてやるぜ?」
思わずぶん殴ってやりたいところを、深呼吸して千雪は何とか堪えた。
「あんた、自分で言うてて、ようも恥ずかしないな?」
侮蔑の視線を向けながら千雪は速水を椅子に突き飛ばして腕を離す。
「ほんまに、京助のダチだけのことはあるわ」
ひと睨みすると、千雪はそのまま店を出た。
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