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後生大事にしまい込んでいた10年物の腐った初恋の蓋がまさか開くなんて―。高校時代一学年下の大らかな井原渉に懐かれていた和田響。井原は卒業式の後、音大に進んだ響に、卒業したら、この大銀杏の樹の下で逢おうと勝手に約束させたが、響は結局行かなかった。言葉にしたことはないが思いは互いに同じだったのだと思う。だが未来のない道に井原を巻き込みたくはなかった。時を経て10年後の秋、郷里に戻った響は、高校の恩師に頼み込まれてピアノを教える傍ら急遽母校で非常勤講師となるが、明くる4月、アメリカに留学していたはずの井原が物理教師として現れ、響は動揺する。
文字数 137,003
最終更新日 2023.11.30
登録日 2023.10.02
工藤×良太、限りなく傲慢なキスの後エピソードです。
万年人手不足で少ない社員で東奔西走している青山プロダクションだが、2月になれば今年もバレンタインデーなるものがやってくる。相変わらず世の中のアニバサリーなどには我関せずの工藤だが、所属俳優宛の多量なプレゼントだけでなく、業界で鬼と言われようが何故か工藤宛のプレゼントも毎年届いている。仕分けをするのは所属俳優のマネージャーや鈴木さんとオフィスにいる時は良太も手伝うのだが、工藤宛のものをどうするか本人に聞いたところ、以前、工藤の部屋のクローゼットに押し込んであったプレゼントの中に腐るものがあったらしく、中を見て適当にみんなで分けろという。しかし義理ならまだしも、関わりのあった女性たちからのプレゼントを勝手に開けるのは良太も少し気が引けるのだが。それにアニバサリーに無頓着なはずの工藤が、クリスマスに勝手に良太の部屋の模様替えをしてくれたりしたお返しに良太も何か工藤に渡してみたい衝動に駆られていた。
文字数 27,797
最終更新日 2023.10.25
登録日 2023.10.23
工藤×良太、雪のデカダンスの後エピソードです。
万年人手不足の青山プロダクションだが、仕事は順調を超えて社長の工藤は欧州と東京を行ったり来たりで東奔西走している。そんな工藤の代わりに良太がフランクフルトに行くことになったのだが、美貌のクリエイター佐々木に人気俳優だが素行が悪いので有名な植山が目を付けたという懸念材料があり、良太は歩くデータバンクとでも呼びたいくらい情報を掴むのが早い代理店プラグインの藤堂に植山の行動に気を付けてほしいと頼み込んで渡欧した。帰国して佐々木が無事だと知って良太がホッと胸を撫で下ろしたのもつかの間、佐々木が消えたと藤堂から連絡が入る。
文字数 60,955
最終更新日 2023.10.21
登録日 2023.10.15
工藤×良太、ぶなの森の後エピソード。
昭和なオヤジ工藤と、部下で秘書兼プロデューサー元野球少年で直球な良太のすったもんだラブ。
いよいよ世の中は師走に突入する。師走といえば先生も走るというくらいだから、常に東奔西走している青山プロダクションの社長工藤も部下良太もいつもに輪をかけて忙しい。しかも12月には毎年業者を招いての忘年会を予定している。さらに代理店プラグインの藤堂からは、イブにパーティをやるからと声をかけられているが、仕事次第でどうなるかわからない。何よりも、工藤とは仕事ですれ違いで、話もろくにできないのが、良太にはつまらないのだった。
文字数 40,776
最終更新日 2023.10.06
登録日 2023.10.01
いくらハロウインの夜だからってあり得ないだろ! この俺が酔って誰かと一夜を、しかも男となんて!―数年前元妻に去られて以来、三十路バツイチの佐々木は、広告業界でクリエイターを生業にしているが、撮影されるモデルなどはだしで逃げ出すほどの美貌の持ち主ながら、いたって呑気な性分だ。ところがハロウィンの夜たまたま一人で飲んだのが悪かった、翌朝、ホテルの部屋で男の腕の中で目が覚めて佐々木は固まった。あり得ないだろうと逃げ出したのだが、なんとオフィスに顔もうろ覚えのその男から電話が入り、忘れ物を預かっているという男と再び会うことに。しらふで再会した男はうろ覚えの佐々木の記憶よりもがっしりと大きくかなりハイレベルなイケメンだった。男はトモは名乗り、お互い癒されるのなら、いいじゃないですか、ゲームだと思えば、という。佐々木には抗いようのない波にのまれようとしている自分の姿が見えていた。その先に何が待ち受けているのかもわからない。怖いけれど、溺れてしまいたい自分を佐々木はどうすることもできなかった。だがある日唐突に、二人のゲームは終わることになる。
文字数 95,162
最終更新日 2022.11.10
登録日 2022.10.14
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