43 / 87
恋ってウソだろ?! 43
しおりを挟む
師走ということも重なって、仕事だけでなくイベントや忘年会などもバタバタと入り、佐々木の毎日はジャスト・エージェンシー時代以上に忙殺されていた。
青山プロダクションからも忘年会の誘いがあったが、その頃佐々木はプラグインの河崎と共にニューヨークにいた。
帰国しても佐々木は休むことなく仕事をこなし、気づいたらオフィスで朝を迎えていたなんてことも多々あり、そんな十二月もようやく中盤に差し掛かる。
随分時間の歩みがのろく感じられた。
誰かに会いたいがために、こんながむしゃらになっている自分が、佐々木は不思議でもあった。
だが、何とか今度の金曜の夜は空けておきたい。
そんな時に限って、東洋商事のプランの修正に佐々木は少し煮詰まってしまった。
金曜はプラグインの河崎らと東洋商事に出向くことになっている。
結局また木曜から徹夜になった。
「佐々木ちゃん、大丈夫? 夕べも徹夜だったんでしょ? ここんとこ、働きすぎだよ?」
よほど疲れた顔をしていたのか、金曜の朝出社した直子が心配そうに言いながら、暖かいミルクティをいれてくれた。
「おおきに……何とか、さっき仕上げたとこ……午後二時に東洋商事やから、昼までちょっと奥で寝ててええ?」
「いいよぉ。ジャケット、持ってきてる?」
「うん」
「じゃあ、持っていくものその辺に置いておいて。ナオ、用意しといたげる」
「助かる」
二時間ほど眠れるなと奥の部屋のソファに横になり、毛布を被った途端佐々木は眠りに落ちた。
オフィスの電話が鳴ったのは、正午より少し前のことだ。
「はい、オフィスササキでございます」
直子が電話を取ると、相手に一瞬戸惑ったような間があった。
「佐々木さん、いらっしゃいますか?」
「ただ今佐々木は席を外しておりますが、どちら様でしょうか?」
「……えっと……、トモといいます。さっき携帯にかけたんですが、留守電だったので、すみませんが、戻られたら伝えていただきたいんですが、今晩、九時になりますと」
「今晩、九時になります、ですね、かしこまりました、お伝えいたします」
「ああ、これからしばらくこちらも携帯オフにしますので、よろしくお願いします」
電話が切れてから、直子はメモしながら、「トモさんよりっと。なるほどぉ……トモさん、か」と呟いた。
青山プロダクションからも忘年会の誘いがあったが、その頃佐々木はプラグインの河崎と共にニューヨークにいた。
帰国しても佐々木は休むことなく仕事をこなし、気づいたらオフィスで朝を迎えていたなんてことも多々あり、そんな十二月もようやく中盤に差し掛かる。
随分時間の歩みがのろく感じられた。
誰かに会いたいがために、こんながむしゃらになっている自分が、佐々木は不思議でもあった。
だが、何とか今度の金曜の夜は空けておきたい。
そんな時に限って、東洋商事のプランの修正に佐々木は少し煮詰まってしまった。
金曜はプラグインの河崎らと東洋商事に出向くことになっている。
結局また木曜から徹夜になった。
「佐々木ちゃん、大丈夫? 夕べも徹夜だったんでしょ? ここんとこ、働きすぎだよ?」
よほど疲れた顔をしていたのか、金曜の朝出社した直子が心配そうに言いながら、暖かいミルクティをいれてくれた。
「おおきに……何とか、さっき仕上げたとこ……午後二時に東洋商事やから、昼までちょっと奥で寝ててええ?」
「いいよぉ。ジャケット、持ってきてる?」
「うん」
「じゃあ、持っていくものその辺に置いておいて。ナオ、用意しといたげる」
「助かる」
二時間ほど眠れるなと奥の部屋のソファに横になり、毛布を被った途端佐々木は眠りに落ちた。
オフィスの電話が鳴ったのは、正午より少し前のことだ。
「はい、オフィスササキでございます」
直子が電話を取ると、相手に一瞬戸惑ったような間があった。
「佐々木さん、いらっしゃいますか?」
「ただ今佐々木は席を外しておりますが、どちら様でしょうか?」
「……えっと……、トモといいます。さっき携帯にかけたんですが、留守電だったので、すみませんが、戻られたら伝えていただきたいんですが、今晩、九時になりますと」
「今晩、九時になります、ですね、かしこまりました、お伝えいたします」
「ああ、これからしばらくこちらも携帯オフにしますので、よろしくお願いします」
電話が切れてから、直子はメモしながら、「トモさんよりっと。なるほどぉ……トモさん、か」と呟いた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
23
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる