恋ってウソだろ?!

chatetlune

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恋ってウソだろ?! 43

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 師走ということも重なって、仕事だけでなくイベントや忘年会などもバタバタと入り、佐々木の毎日はジャスト・エージェンシー時代以上に忙殺されていた。
 青山プロダクションからも忘年会の誘いがあったが、その頃佐々木はプラグインの河崎と共にニューヨークにいた。
 帰国しても佐々木は休むことなく仕事をこなし、気づいたらオフィスで朝を迎えていたなんてことも多々あり、そんな十二月もようやく中盤に差し掛かる。
 随分時間の歩みがのろく感じられた。
 誰かに会いたいがために、こんながむしゃらになっている自分が、佐々木は不思議でもあった。
 だが、何とか今度の金曜の夜は空けておきたい。
 そんな時に限って、東洋商事のプランの修正に佐々木は少し煮詰まってしまった。
 金曜はプラグインの河崎らと東洋商事に出向くことになっている。
 結局また木曜から徹夜になった。
「佐々木ちゃん、大丈夫? 夕べも徹夜だったんでしょ? ここんとこ、働きすぎだよ?」
 よほど疲れた顔をしていたのか、金曜の朝出社した直子が心配そうに言いながら、暖かいミルクティをいれてくれた。
「おおきに……何とか、さっき仕上げたとこ……午後二時に東洋商事やから、昼までちょっと奥で寝ててええ?」
「いいよぉ。ジャケット、持ってきてる?」
「うん」
「じゃあ、持っていくものその辺に置いておいて。ナオ、用意しといたげる」
「助かる」
 二時間ほど眠れるなと奥の部屋のソファに横になり、毛布を被った途端佐々木は眠りに落ちた。
 オフィスの電話が鳴ったのは、正午より少し前のことだ。
「はい、オフィスササキでございます」
 直子が電話を取ると、相手に一瞬戸惑ったような間があった。
「佐々木さん、いらっしゃいますか?」
「ただ今佐々木は席を外しておりますが、どちら様でしょうか?」
「……えっと……、トモといいます。さっき携帯にかけたんですが、留守電だったので、すみませんが、戻られたら伝えていただきたいんですが、今晩、九時になりますと」
「今晩、九時になります、ですね、かしこまりました、お伝えいたします」
「ああ、これからしばらくこちらも携帯オフにしますので、よろしくお願いします」
 電話が切れてから、直子はメモしながら、「トモさんよりっと。なるほどぉ……トモさん、か」と呟いた。
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