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月で逢おうよ 15
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いつか、子どもたちを従えた幸也が一緒にボール追いかけていた、あの時の記憶がオーバーラップする。
変わってないんだな。
きっと、この人の本質は。
勝浩は笑う。
「どうした?」
「いえ、そういえば、ライター失くしませんでした? これ」
勝浩はポケットから銀のライターを取り出して差し出した。
「おう、俺んだ、サンキュ。でもどこにあった?」
やはり、幸也のものだった。
「こないだ、酔っ払った俺、部屋に運んでくれたのって、長谷川さん?」
「あ………、いや、その、別に俺は何もしてないぜ! 誓って! あ、ほら、タケも一緒だったし」
訳もなく焦りまくる幸也に、片方の眉をつりあげて勝浩は訝しげに見上げる。
「何、焦ってるんですか?」
「いや、別に」
勝浩は首を傾げる。
でも何だか、ちょっと高校時代に戻ったみたいだ。
またこうして少しでも長谷川さんと一緒にいられるなんて。
彼がアメリカに留学した理由も、突然帰ってきた理由も、恋人のことも何もわからないけれど、一緒の時間をまた共有できていることが嬉しい。
もしかするとまた、この人のことだ、打ちのめされることがあるとしても。
そんなことはもう、織り込み済みだけど。
変わってないんだな。
きっと、この人の本質は。
勝浩は笑う。
「どうした?」
「いえ、そういえば、ライター失くしませんでした? これ」
勝浩はポケットから銀のライターを取り出して差し出した。
「おう、俺んだ、サンキュ。でもどこにあった?」
やはり、幸也のものだった。
「こないだ、酔っ払った俺、部屋に運んでくれたのって、長谷川さん?」
「あ………、いや、その、別に俺は何もしてないぜ! 誓って! あ、ほら、タケも一緒だったし」
訳もなく焦りまくる幸也に、片方の眉をつりあげて勝浩は訝しげに見上げる。
「何、焦ってるんですか?」
「いや、別に」
勝浩は首を傾げる。
でも何だか、ちょっと高校時代に戻ったみたいだ。
またこうして少しでも長谷川さんと一緒にいられるなんて。
彼がアメリカに留学した理由も、突然帰ってきた理由も、恋人のことも何もわからないけれど、一緒の時間をまた共有できていることが嬉しい。
もしかするとまた、この人のことだ、打ちのめされることがあるとしても。
そんなことはもう、織り込み済みだけど。
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