15 / 25
月で逢おうよ 15
しおりを挟む
いつか、子どもたちを従えた幸也が一緒にボール追いかけていた、あの時の記憶がオーバーラップする。
変わってないんだな。
きっと、この人の本質は。
勝浩は笑う。
「どうした?」
「いえ、そういえば、ライター失くしませんでした? これ」
勝浩はポケットから銀のライターを取り出して差し出した。
「おう、俺んだ、サンキュ。でもどこにあった?」
やはり、幸也のものだった。
「こないだ、酔っ払った俺、部屋に運んでくれたのって、長谷川さん?」
「あ………、いや、その、別に俺は何もしてないぜ! 誓って! あ、ほら、タケも一緒だったし」
訳もなく焦りまくる幸也に、片方の眉をつりあげて勝浩は訝しげに見上げる。
「何、焦ってるんですか?」
「いや、別に」
勝浩は首を傾げる。
でも何だか、ちょっと高校時代に戻ったみたいだ。
またこうして少しでも長谷川さんと一緒にいられるなんて。
彼がアメリカに留学した理由も、突然帰ってきた理由も、恋人のことも何もわからないけれど、一緒の時間をまた共有できていることが嬉しい。
もしかするとまた、この人のことだ、打ちのめされることがあるとしても。
そんなことはもう、織り込み済みだけど。
変わってないんだな。
きっと、この人の本質は。
勝浩は笑う。
「どうした?」
「いえ、そういえば、ライター失くしませんでした? これ」
勝浩はポケットから銀のライターを取り出して差し出した。
「おう、俺んだ、サンキュ。でもどこにあった?」
やはり、幸也のものだった。
「こないだ、酔っ払った俺、部屋に運んでくれたのって、長谷川さん?」
「あ………、いや、その、別に俺は何もしてないぜ! 誓って! あ、ほら、タケも一緒だったし」
訳もなく焦りまくる幸也に、片方の眉をつりあげて勝浩は訝しげに見上げる。
「何、焦ってるんですか?」
「いや、別に」
勝浩は首を傾げる。
でも何だか、ちょっと高校時代に戻ったみたいだ。
またこうして少しでも長谷川さんと一緒にいられるなんて。
彼がアメリカに留学した理由も、突然帰ってきた理由も、恋人のことも何もわからないけれど、一緒の時間をまた共有できていることが嬉しい。
もしかするとまた、この人のことだ、打ちのめされることがあるとしても。
そんなことはもう、織り込み済みだけど。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻本作品(オリジナル)の結末をif(運命の番)ルートに入れ替えて、他サイトでの投稿を始めました。タイトルは「一度目の結婚で愛も希望も失くした僕が、移住先で運命と出逢い、二度目の結婚で愛されるまで」に変えてます。
オリジナルの本編結末は完全なハッピーエンドとはいえないかもしれませんが、「一度目の〜…」は琳が幸せな結婚をするハッピーエンド一択です。
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
Tea Time
chatetlune
BL
「月で逢おうよ」の後の幸也と勝浩のエピソードです。
再会してぐっと近づいた、はずの幸也と勝浩だったが、幸也には何となく未だに勝浩の自分への想いを信じ切られないところがあった。それは勝浩に対しての自分のこれまでの行状が故のことなのだが、検見崎が知っている勝浩のことが幸也にとっては初耳だったりして、幸也は何となく焦りを感じていた。
はじまりの朝
さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。
ある出来事をきっかけに離れてしまう。
中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。
これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。
✳『番外編〜はじまりの裏側で』
『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。
【完結】毎日きみに恋してる
藤吉めぐみ
BL
青春BLカップ1次選考通過しておりました!
応援ありがとうございました!
*******************
その日、澤下壱月は王子様に恋をした――
高校の頃、王子と異名をとっていた楽(がく)に恋した壱月(いづき)。
見ているだけでいいと思っていたのに、ちょっとしたきっかけから友人になり、大学進学と同時にルームメイトになる。
けれど、恋愛模様が派手な楽の傍で暮らすのは、あまりにも辛い。
けれど離れられない。傍にいたい。特別でありたい。たくさんの行きずりの一人にはなりたくない。けれど――
このまま親友でいるか、勇気を持つかで揺れる壱月の切ない同居ライフ。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる