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第5話
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センサザールの管轄の中にテーグ密林と呼ばれる気候変動が激しい密林が存在する。
魔族や知能の持たない魔物などが多く生息するこの密林のはずれに〝テーグ村〟と呼ばれる人間の集落が存在する。
テーグ村は、人口100人程の小さな村で、兵士はおろか冒険者もいない非武装の珍しい村である。
というのも、このテーグ村の歴史には魔族との共存があり、魔王と人類の戦いが起こる約100年程前までは一緒に過ごしていたとか・・。
ーーーーーー
「セーサちゃん!次はお花屋さんごっこをするよ」
「私店員さんするー!」
「じゃあ私とセーサちゃんはお客さんをするよ」
和気あいあいとはしゃぐ少女、ハミーとライナを筆頭にテーグ村の少女に囲まれるセンサザール。
人の村ということもあって、普段出している、肥沃翼竜の角と尻尾は隠している。
センサザールは子供にされるがままに腕を引かれ、子供たちの遊び相手をさせられている。
「どうして私がこんなことを・・。」
センサザールは、ため息混じりにそんなことを言うのであった。
ーーーーー
遡ること数時間前・・。
強制的に傀儡師もとい、傀儡と同行することになったセンサザールであったが、道中で、麻袋を大事そうに抱えて倒れていた青年を発見した。
大きな麻袋を抱えた青年は行き倒れている様子であったため、近くにあるとされるテーグ村に寄り、この青年を助けようと傀儡に提案。
無事テーグ村に着いたはいいものの、問題はその青年がこの村の村民で、盗みを働き行き倒れていたということがわかったのである。
青年の持っていた麻袋の中には、ぎっしりと詰まった宝や魔石などの魔族の代物と思われるものがいくつも出てきたのだ。
このことが、魔族にバレれば今までの友好関係が水の泡になると村中大騒ぎ。
そこで、勇者パーティーのメンバー(本来は指南役)である傀儡師が、問題解決のために相談を受けることになり、あぶれたセンサザールは子供たちの面倒を押し付けられたということである。
まあ、本音をいうとセンサザールは子供のことが好きでまんざらでもないのだが・・・。
「ベイク!!お前は何をしたのかわかっているのか!」
小さな村全体に響き渡る怒号が、青年と傀儡が入っていった藁造りのいえから聞こえて来る。
センサザールはその声を聞きつけ、立ち上がる。
「どこに行くのセーサちゃん!?」
「アイナ、ハミー、すぐ戻るから少し待っていて!」
センサザールはそう言い残し、その場から離れる。
数十メートル走ると長老の家に着いたのだが、声を聞きつけた村民で人だかりが出来ていた。
センサザールはその人だかりをかき分け長老の家の中を覗き込む。
「そんなに大きな声を出すなよジジイ・・。元々俺たちのものだったヤツだってあるじゃないか、それを取り返して何が悪いんだ・・?」
「減らず口をたたきおって!」
青年の頬をぶつ音が部屋に響き渡り、青年は勢いよく後方に倒れる。
「お前が盗んだ者の中には、友好の証として先代が送った宝石などがあるんだぞ!」
青年は起き上がりながら、怒りで青筋が見えるほど激怒している長老の言葉を鼻で笑う。
「友好の証?ただ貢がされただけだろう」
「何を言う!お前がやった行為は我々の長年の魔族との共存に亀裂を生む原因となりえるのだぞ!このことが魔族にバレたらどうなるかぐらいお前だってわかっているだろ」
怒鳴り声を上げる長老に青年は苦笑し、あぐらをかき反省のない眼を長老に向ける。
「いっそのことこの宝を売って、全員で街に住むってのはどうだ?そしたら魔族に怯えなくたっていいだろう」
「お前が言っていることは先祖を愚弄していることと一緒だぞ!」
怒りの沸点を優に越えた長老を背にして青年が立ち上がる。
「ジジイも先祖もわかってなさすぎだろ、魔族なんて俺らを見下している連中だ、本当に共存できているなんて思い込んでいるのは俺たちだけだ、何でそれがわからないんだ!」
青年が感情を露わにして吠える。
握りしめた拳からは鮮血が滲んでいた。
「共存だの先祖がどうのこうのとそんなこと言った家族は現に魔族に殺された・・。いつ心変わりして襲われるかわからないやつらと仲良くなんてできねぇだろ・・。」
「ち、違う!それは・・。」
「もういいよジジイ・・。あんたらもそこをどいてくれないか?」
言う甲斐なしといった様子でその場をあとにする青年。
(貴方はそこで何をしているのよ・・。)
センサザールは内心でため息を吐き呆れる。
青年がいなくなった部屋で、傀儡は呑気に茶を啜っていたのである。
魔族や知能の持たない魔物などが多く生息するこの密林のはずれに〝テーグ村〟と呼ばれる人間の集落が存在する。
テーグ村は、人口100人程の小さな村で、兵士はおろか冒険者もいない非武装の珍しい村である。
というのも、このテーグ村の歴史には魔族との共存があり、魔王と人類の戦いが起こる約100年程前までは一緒に過ごしていたとか・・。
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「セーサちゃん!次はお花屋さんごっこをするよ」
「私店員さんするー!」
「じゃあ私とセーサちゃんはお客さんをするよ」
和気あいあいとはしゃぐ少女、ハミーとライナを筆頭にテーグ村の少女に囲まれるセンサザール。
人の村ということもあって、普段出している、肥沃翼竜の角と尻尾は隠している。
センサザールは子供にされるがままに腕を引かれ、子供たちの遊び相手をさせられている。
「どうして私がこんなことを・・。」
センサザールは、ため息混じりにそんなことを言うのであった。
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遡ること数時間前・・。
強制的に傀儡師もとい、傀儡と同行することになったセンサザールであったが、道中で、麻袋を大事そうに抱えて倒れていた青年を発見した。
大きな麻袋を抱えた青年は行き倒れている様子であったため、近くにあるとされるテーグ村に寄り、この青年を助けようと傀儡に提案。
無事テーグ村に着いたはいいものの、問題はその青年がこの村の村民で、盗みを働き行き倒れていたということがわかったのである。
青年の持っていた麻袋の中には、ぎっしりと詰まった宝や魔石などの魔族の代物と思われるものがいくつも出てきたのだ。
このことが、魔族にバレれば今までの友好関係が水の泡になると村中大騒ぎ。
そこで、勇者パーティーのメンバー(本来は指南役)である傀儡師が、問題解決のために相談を受けることになり、あぶれたセンサザールは子供たちの面倒を押し付けられたということである。
まあ、本音をいうとセンサザールは子供のことが好きでまんざらでもないのだが・・・。
「ベイク!!お前は何をしたのかわかっているのか!」
小さな村全体に響き渡る怒号が、青年と傀儡が入っていった藁造りのいえから聞こえて来る。
センサザールはその声を聞きつけ、立ち上がる。
「どこに行くのセーサちゃん!?」
「アイナ、ハミー、すぐ戻るから少し待っていて!」
センサザールはそう言い残し、その場から離れる。
数十メートル走ると長老の家に着いたのだが、声を聞きつけた村民で人だかりが出来ていた。
センサザールはその人だかりをかき分け長老の家の中を覗き込む。
「そんなに大きな声を出すなよジジイ・・。元々俺たちのものだったヤツだってあるじゃないか、それを取り返して何が悪いんだ・・?」
「減らず口をたたきおって!」
青年の頬をぶつ音が部屋に響き渡り、青年は勢いよく後方に倒れる。
「お前が盗んだ者の中には、友好の証として先代が送った宝石などがあるんだぞ!」
青年は起き上がりながら、怒りで青筋が見えるほど激怒している長老の言葉を鼻で笑う。
「友好の証?ただ貢がされただけだろう」
「何を言う!お前がやった行為は我々の長年の魔族との共存に亀裂を生む原因となりえるのだぞ!このことが魔族にバレたらどうなるかぐらいお前だってわかっているだろ」
怒鳴り声を上げる長老に青年は苦笑し、あぐらをかき反省のない眼を長老に向ける。
「いっそのことこの宝を売って、全員で街に住むってのはどうだ?そしたら魔族に怯えなくたっていいだろう」
「お前が言っていることは先祖を愚弄していることと一緒だぞ!」
怒りの沸点を優に越えた長老を背にして青年が立ち上がる。
「ジジイも先祖もわかってなさすぎだろ、魔族なんて俺らを見下している連中だ、本当に共存できているなんて思い込んでいるのは俺たちだけだ、何でそれがわからないんだ!」
青年が感情を露わにして吠える。
握りしめた拳からは鮮血が滲んでいた。
「共存だの先祖がどうのこうのとそんなこと言った家族は現に魔族に殺された・・。いつ心変わりして襲われるかわからないやつらと仲良くなんてできねぇだろ・・。」
「ち、違う!それは・・。」
「もういいよジジイ・・。あんたらもそこをどいてくれないか?」
言う甲斐なしといった様子でその場をあとにする青年。
(貴方はそこで何をしているのよ・・。)
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