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第8話
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「コイツはスゲー!死んだはずの地の女王様ではないですか!?」
サイクロプスのゴオズは芝居じみた素振りでセンサザールに近づく。
センサザールの鉄鋼槍を食らっても全くと言っていいほどダメージがないことから、サイクロプスの頑強さが分かる。
「まさか生きていたとはな、まあもうあんたの帰る場所はねーがな」
威圧的なサイクロプスに怯むことなく、センサザールは迂闊に間合いに入り込むサイクロプスに追撃を加えるべく、上半身を捻りサイクロプスに魔術を放つ。
「砂波駆ーッ!」
「それで本気なのか?」
瞬間、くるみの殻を砕く時のような小気味の良い音がし、センサザールは苦悶の表情で地面に膝をつく。
「いっ、あああぁぁっ!!」
音の正体は、センサザールが魔術を放つために突き出した右手の中指と人差し指の骨が砕けた音であった。
ひしゃげた指を庇うようにして、サイクロプスから距離をとるため、後退するセンサザール。
サイクロプスは余裕の笑みを見せつけ、両手を広げて挑発する。
「おいおい、拍子抜けだぜ!こんな弱い女が地の女王なんて異名をつけられた、四天王様なのか?分隊長の俺ごときに苦戦してどうするんだよ?」
部下へのパフォーマンスなのだろう。飄々とした態度でセンサザールを小馬鹿にするゴオズ。
その効果は絶大的で、昂った部下たちが雄叫びのような声援が起こる。
「調子に乗らないで欲しいわね・・!」
(砂波駆)
魔術を放つ前に、すでに眼前にまで迫ったゴオズに臆し、センサザールは放つのを止め身をよじり避ける態勢に移る。
一瞬の判断で致命傷は避けられたが、サイクロプスの石包丁が肩口を斬りつける。
おそらく、回避しなければ首がとんでいたであろう。
「くっ!」
無理矢理回避の態勢をとったので、重心が偏りフラつく。
ゴオズはその隙を見逃さず、すかさず怒涛の連撃がセンサザールを襲う。
身体の表面を魔力で練り上げた障壁でゴオズの攻撃の衝撃を緩和させるが、力強いゴオズの攻撃には焼け石に水であった。
防戦一方であるセンサザールは、考えなしに鬼たちの前に姿を現したことを後悔する。
近接特化の鬼族に、中・遠距離を得意とするセンサザールの相性は最悪である。
現に、魔術を発動する隙もなく、ゴオズの高速の攻撃に苦戦を強いられている。
どうにかして、魔術を発動させる時間が欲しいが、時間を稼ぐ人員がいない現状ではどうすることも出来ない・・。
ーーーーー
センサザールは背中の張ったような痛みで自分が気絶していたことに気づく。
鈍痛がし、まともに立ち上がることすらできない。
おそらく魔力障壁を貼る魔力もなくゴオズに吹き飛ばされたのであろう。
ゴオズはというと、勝利の美酒に酔いしれて、部下たちに自分の強さを自慢しているようであった。
トドメも刺さずに呑気なものである。
「本当にコケにしてくれるわね・・。」
日に二度の敗北は流石に堪える。センサザールは苦笑し、子鹿のように震えながら立ち上がる。
「ゴオズの兄貴、女王様がまだ戦いがってますよ!?」
嘲笑いながら小鬼がゴオズにそう言う。
そんなセンサザールを見てゴオズは鼻で笑う。
「何度やっても無駄だぞ。お前のトロくてパワーのない魔術を何度打たれても俺は倒れねーよ」
「上司には・・敬語を使いなさいよ・・」
センサザールは荒い呼吸を繰り返し、痛みを誤魔化そうする。
センサザールの反応をおかしそうに笑う鬼たち、それを哀れんだのかベイクがセンサザールに向かって叫ぶ。
「あんた、もういい早く逃げろ!今のあんたがゴオズさんに勝てるわけないだろ!」
「そんなこと百も承知よ・・。」
センサザールは苦痛で顔を歪める。
「ど、どうしてそこまでするんだよ!」
ベイクは信じられないと言った様子でセンサザールにそう言う。
「私のポリシーに反するのよ・・。嫌いなヤツに媚びへつらって、尻尾巻いて逃げるくらいなら、死んだ方がマシよ・・。」
「死にかけの分際で何カッコつけてんだよっ!」
「がっ!?」
一瞬の内に間合いを詰めたゴオズは悪態をつき、拳を振りかぶる。
その拳がモロに入ったセンサザールは、鮮血を撒き散らし再び地面に突っ伏す。
「ほらどうした?まさかもう終わりなんてことはないよな?」
「わかっているわよ・・。その汚らしい声は頭に響くから静かにしてくれない・・?」
勝敗は喫しているはずなのに、何度も身体を起こし立ち上がるセンサザール。
「このアマがっ!?」
何度もゴオズの拳はセンサザールにクリーンヒットするが、センサザールは立ち上がるのをやめない。
目は腫れ上がり、呼吸も荒く、身体は悲鳴を上げ真っ直ぐ立つのもままならない。
「もうやめろ!やめてくれ・・。何度立ち向かっても結果は同じだろ?負けを認めろよ、これ以上はもう見ていられない・・」
ベイクはセンサザールの悲惨なその姿を直視できずに目線を下げる。
「そうやって、また逃げるの・・?目の前にある壁に触れもせずに背を向ける気・・?厚さも硬さもわからないのに無理だって決めつけるの・・?」
「何を言ってるんだよ・・!?」
センサザールは、悔しそうな顔をベイクに向ける。
それは、自分の不甲斐なさにではなく、現状を消極的に捉えているベイクに向けてである。
センサザールには、ベイクのことが昔の自分と重なって見えてしまったからだ。
「立ち向かってから決めろって言っているのよっ!?相手が魔族だから、自分は凡人だから、敵が多いからかないっこないって、貴方はやる前からできない理由をつけて逃げようとしているだけだよ!」
「さっきからベラベラと喋りやがってお前は、俺が手加減しているから生きているだけだろうがっ!?」
ゴオズが再び殴りかかろうとしたその時であったーーッ。
センサザールが跳躍してゴオズの喉元に噛みついたのである。
「ングウゥウウ~ッ!!」
「は、離せこのアマがっ!」
ゴオズはそう吠えると、センサザールを両手掴み喉元から引き離す。
「ハハハハ!コレが本当にあの気丈なセンサザールか?今のお前は野犬にしか見えねーぞ」
ゴオズはそう言いながら両手に力を入れセンサザールを握り潰そうとする。
(俺は何で傍観しているんだ・・。俺のために戦ってくれているこの人をただ眺めているだけなんだ・・。怖いからか、それを見殺しにしていい理由になるのか?)
ベイクの頭の中をそんなことが過る。
ベイクは奥歯を噛み締め、雄叫びを上げる。
「ならねぇ!ならねぇよ!俺がビビリなだけだろおおお!」
ベイクは立ち上がり、ゴオズのもとに走り立ち向かう。
「ゴオズ!その手を離せ、汚らわしい手でその人に触れるなっ!」
ゴオズはそんなベイクを赤ん坊を見るようにせせら笑っていた。
ベイクはゴオズの目の前で止まり、腕を振りかぶる。
身長差がありすぎて、ベイクの肩の高さはゴオズの腹部程しかなかったがなり振り構わず勢いに任し振りかぶったその腕は・・。
見事に宙を舞った。
豪快な空振りにベイク恐怖を忘れ羞恥と何もできない自分の不甲斐なさに涙が再び迫り上がってくる。
だが、そんなベイクの姿を見てセンサザールは微笑を浮かべる。
「やれば出来るじゃない・・。」
「お前らもう死ね・・」
蔑んだ目を向けたゴオズは握力を全開にしセンサザールを握り潰す。
「やめろおおおお!!!」
ベイクの声も虚しく、血飛沫が起こり、ベイクにもその鮮血が小雨のように降りかかる。
「あ、ああ・・。」
ベイクの口から、絶望の声が出てしまう。
結局、自分にはどうすることもできない。
「何を情けない声をあげているのよ」
「・・え?」
ベイクは何故か目の前にいたセンサザールに驚愕する。
「一瞬だけど、貴方が時間を稼いでくれたおかげ、助かったわ・・。」
そう言うと力尽き、地面に倒れ込むセンサザール。
地面擦れ擦れで、ローブを羽織った男がセンサザールを抱き留める。
センサザールと行動を共にしていた、感情がよめない機械のような男だ。
ようやくベイクは、その男の後ろにいたゴオズの現状に気づく。
原因はわからないが、両腕が切り落とされており、本人も意味が分からず落ちた腕を眺めている。
「ど、どういうことだ・・。」
「青年・・。これはどういう状況だ?」
抑揚ない低い男の声、ゴオズは初めて人間に対して恐怖感を抱いたのであった。
サイクロプスのゴオズは芝居じみた素振りでセンサザールに近づく。
センサザールの鉄鋼槍を食らっても全くと言っていいほどダメージがないことから、サイクロプスの頑強さが分かる。
「まさか生きていたとはな、まあもうあんたの帰る場所はねーがな」
威圧的なサイクロプスに怯むことなく、センサザールは迂闊に間合いに入り込むサイクロプスに追撃を加えるべく、上半身を捻りサイクロプスに魔術を放つ。
「砂波駆ーッ!」
「それで本気なのか?」
瞬間、くるみの殻を砕く時のような小気味の良い音がし、センサザールは苦悶の表情で地面に膝をつく。
「いっ、あああぁぁっ!!」
音の正体は、センサザールが魔術を放つために突き出した右手の中指と人差し指の骨が砕けた音であった。
ひしゃげた指を庇うようにして、サイクロプスから距離をとるため、後退するセンサザール。
サイクロプスは余裕の笑みを見せつけ、両手を広げて挑発する。
「おいおい、拍子抜けだぜ!こんな弱い女が地の女王なんて異名をつけられた、四天王様なのか?分隊長の俺ごときに苦戦してどうするんだよ?」
部下へのパフォーマンスなのだろう。飄々とした態度でセンサザールを小馬鹿にするゴオズ。
その効果は絶大的で、昂った部下たちが雄叫びのような声援が起こる。
「調子に乗らないで欲しいわね・・!」
(砂波駆)
魔術を放つ前に、すでに眼前にまで迫ったゴオズに臆し、センサザールは放つのを止め身をよじり避ける態勢に移る。
一瞬の判断で致命傷は避けられたが、サイクロプスの石包丁が肩口を斬りつける。
おそらく、回避しなければ首がとんでいたであろう。
「くっ!」
無理矢理回避の態勢をとったので、重心が偏りフラつく。
ゴオズはその隙を見逃さず、すかさず怒涛の連撃がセンサザールを襲う。
身体の表面を魔力で練り上げた障壁でゴオズの攻撃の衝撃を緩和させるが、力強いゴオズの攻撃には焼け石に水であった。
防戦一方であるセンサザールは、考えなしに鬼たちの前に姿を現したことを後悔する。
近接特化の鬼族に、中・遠距離を得意とするセンサザールの相性は最悪である。
現に、魔術を発動する隙もなく、ゴオズの高速の攻撃に苦戦を強いられている。
どうにかして、魔術を発動させる時間が欲しいが、時間を稼ぐ人員がいない現状ではどうすることも出来ない・・。
ーーーーー
センサザールは背中の張ったような痛みで自分が気絶していたことに気づく。
鈍痛がし、まともに立ち上がることすらできない。
おそらく魔力障壁を貼る魔力もなくゴオズに吹き飛ばされたのであろう。
ゴオズはというと、勝利の美酒に酔いしれて、部下たちに自分の強さを自慢しているようであった。
トドメも刺さずに呑気なものである。
「本当にコケにしてくれるわね・・。」
日に二度の敗北は流石に堪える。センサザールは苦笑し、子鹿のように震えながら立ち上がる。
「ゴオズの兄貴、女王様がまだ戦いがってますよ!?」
嘲笑いながら小鬼がゴオズにそう言う。
そんなセンサザールを見てゴオズは鼻で笑う。
「何度やっても無駄だぞ。お前のトロくてパワーのない魔術を何度打たれても俺は倒れねーよ」
「上司には・・敬語を使いなさいよ・・」
センサザールは荒い呼吸を繰り返し、痛みを誤魔化そうする。
センサザールの反応をおかしそうに笑う鬼たち、それを哀れんだのかベイクがセンサザールに向かって叫ぶ。
「あんた、もういい早く逃げろ!今のあんたがゴオズさんに勝てるわけないだろ!」
「そんなこと百も承知よ・・。」
センサザールは苦痛で顔を歪める。
「ど、どうしてそこまでするんだよ!」
ベイクは信じられないと言った様子でセンサザールにそう言う。
「私のポリシーに反するのよ・・。嫌いなヤツに媚びへつらって、尻尾巻いて逃げるくらいなら、死んだ方がマシよ・・。」
「死にかけの分際で何カッコつけてんだよっ!」
「がっ!?」
一瞬の内に間合いを詰めたゴオズは悪態をつき、拳を振りかぶる。
その拳がモロに入ったセンサザールは、鮮血を撒き散らし再び地面に突っ伏す。
「ほらどうした?まさかもう終わりなんてことはないよな?」
「わかっているわよ・・。その汚らしい声は頭に響くから静かにしてくれない・・?」
勝敗は喫しているはずなのに、何度も身体を起こし立ち上がるセンサザール。
「このアマがっ!?」
何度もゴオズの拳はセンサザールにクリーンヒットするが、センサザールは立ち上がるのをやめない。
目は腫れ上がり、呼吸も荒く、身体は悲鳴を上げ真っ直ぐ立つのもままならない。
「もうやめろ!やめてくれ・・。何度立ち向かっても結果は同じだろ?負けを認めろよ、これ以上はもう見ていられない・・」
ベイクはセンサザールの悲惨なその姿を直視できずに目線を下げる。
「そうやって、また逃げるの・・?目の前にある壁に触れもせずに背を向ける気・・?厚さも硬さもわからないのに無理だって決めつけるの・・?」
「何を言ってるんだよ・・!?」
センサザールは、悔しそうな顔をベイクに向ける。
それは、自分の不甲斐なさにではなく、現状を消極的に捉えているベイクに向けてである。
センサザールには、ベイクのことが昔の自分と重なって見えてしまったからだ。
「立ち向かってから決めろって言っているのよっ!?相手が魔族だから、自分は凡人だから、敵が多いからかないっこないって、貴方はやる前からできない理由をつけて逃げようとしているだけだよ!」
「さっきからベラベラと喋りやがってお前は、俺が手加減しているから生きているだけだろうがっ!?」
ゴオズが再び殴りかかろうとしたその時であったーーッ。
センサザールが跳躍してゴオズの喉元に噛みついたのである。
「ングウゥウウ~ッ!!」
「は、離せこのアマがっ!」
ゴオズはそう吠えると、センサザールを両手掴み喉元から引き離す。
「ハハハハ!コレが本当にあの気丈なセンサザールか?今のお前は野犬にしか見えねーぞ」
ゴオズはそう言いながら両手に力を入れセンサザールを握り潰そうとする。
(俺は何で傍観しているんだ・・。俺のために戦ってくれているこの人をただ眺めているだけなんだ・・。怖いからか、それを見殺しにしていい理由になるのか?)
ベイクの頭の中をそんなことが過る。
ベイクは奥歯を噛み締め、雄叫びを上げる。
「ならねぇ!ならねぇよ!俺がビビリなだけだろおおお!」
ベイクは立ち上がり、ゴオズのもとに走り立ち向かう。
「ゴオズ!その手を離せ、汚らわしい手でその人に触れるなっ!」
ゴオズはそんなベイクを赤ん坊を見るようにせせら笑っていた。
ベイクはゴオズの目の前で止まり、腕を振りかぶる。
身長差がありすぎて、ベイクの肩の高さはゴオズの腹部程しかなかったがなり振り構わず勢いに任し振りかぶったその腕は・・。
見事に宙を舞った。
豪快な空振りにベイク恐怖を忘れ羞恥と何もできない自分の不甲斐なさに涙が再び迫り上がってくる。
だが、そんなベイクの姿を見てセンサザールは微笑を浮かべる。
「やれば出来るじゃない・・。」
「お前らもう死ね・・」
蔑んだ目を向けたゴオズは握力を全開にしセンサザールを握り潰す。
「やめろおおおお!!!」
ベイクの声も虚しく、血飛沫が起こり、ベイクにもその鮮血が小雨のように降りかかる。
「あ、ああ・・。」
ベイクの口から、絶望の声が出てしまう。
結局、自分にはどうすることもできない。
「何を情けない声をあげているのよ」
「・・え?」
ベイクは何故か目の前にいたセンサザールに驚愕する。
「一瞬だけど、貴方が時間を稼いでくれたおかげ、助かったわ・・。」
そう言うと力尽き、地面に倒れ込むセンサザール。
地面擦れ擦れで、ローブを羽織った男がセンサザールを抱き留める。
センサザールと行動を共にしていた、感情がよめない機械のような男だ。
ようやくベイクは、その男の後ろにいたゴオズの現状に気づく。
原因はわからないが、両腕が切り落とされており、本人も意味が分からず落ちた腕を眺めている。
「ど、どういうことだ・・。」
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