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第17話
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「それでリーネ、貴方は何でここにいるの?」
センサザールの問いにはっとしたリーネは慌てた声を上げる。
「ボクの友達が捕まっているです!?」
「何故だ?」
ゼンの疑問にリーネは顔を強張らせる。
「ビュティニアは忠誠を誓わなかった者たちを『リサイクル』と称していろんな手段で処分するつもりなんです・・」
「リサイクル?何よそれ・・。」
不穏な表情をするセンサザールの予感は的中してしまうのであった。
「『リサイクル』というのは、ただ殺すだけじゃ意味がないといい、女は魔族の慰み者として、男は肉体労働として、そして子供は人間に高値で売り捌いて奴隷にするそうです・・。」
「な、何よソレ!?そんなことしていいわけがないでしょ!!」
激昂し立ち上がるセンサザールは、怒りで鼻息荒くそう言う。
「落ち着け」と、いうゼンですら、眉間に皺を寄せ苛立ちが表に出ていた。
「じゃあお前は、奴隷商から逃げて来たのか?」
「ですです・・。だからどうかこの近くで檻の中に入れられたボクの友達を助けて下さい、お願いします」
リーネは深く頭を下げて、二人に懇願する。
「わかったわ!私に・・。」
「それだけでいいのか?友達を助けて何になるんだ?」
「・・え?」
ゼンの吐いて捨てたような言葉にリーネは固まる。
「貴方何言って・・ッ!?」
「もし仮に俺らが手を貸してお前の仲間をたけたとしよう。逃げ延びたあとを考えたことはあるのか?お前たち以外の天翼族はどうなる?報復は?追手は?」
「え・・?・・え?」
そう質問を重ねるゼンにリーネは戸惑う。
「自分たちだけ助かればそれでいいわけか?」
「そ、そんなことあるわけないです!本当は皆んな助けて貰えたらって!でもそんなこと・・」
自分の思い曝け出しそうになり踏みとどまるリーネにゼンは彼女の頭に手を置く。
「お前が決めつけるな、それに子供はわがままを言うもんだ。好きなだけ甘えろ、後は誰かが何とかするさ」
ゼンはリーネを抱きしめ、センサザールを見る。
その様子にセンサザールは目に浮かべた涙を拭いながら笑う。
「プッ、アハハハ!ゼン、貴方回りくどいのよ。リーネ、ゼンは貴方の本当の気持ちを言って欲しいだけよ」
「ほ、本当の気持ち・・」
「ええ・・。」
「ああ・・。」
リーネはキュッと口をつぐみ、くしゃくしゃの表情をゼンに向ける。
「皆んな助けて欲しいです・・。悪いヤツらをどうにかして欲しいです・・。おウチに帰り・・たい・・です・・。あ、あれ・・。」
ボロボロと涙が溢れ出し、上手く喋れず腕で雑に涙を拭おうとするリーネの手を掴み優しく涙を拭うゼン。
「任せろ、俺とセンサザールが何とかしてやる」
「あら、ワタシも頭数に入っているの?強力するなんて一言も言ってないけれど?」
ゼンの顔を覗き込みニヤけた笑みをセンサザールは向ける。
「別にお前がいてもいなくても大した差ではないからどうだっていいんだがな、それに、最初は見放そうとしていたしな・・」
「ちょっと、それは貴方のことを思って・・!?あ~もう、協力するわよ!ねえ、ちょっと待ちなさいよ~!!」
センサザールの言葉を受け流し、目的地を目指すゼンに叫び声を上げるセンサザール。
リーネはその様子を見て、笑みが溢れる。笑っている場合ではないのだが、自然と笑ってしまっていることに気づき下唇を噛む。
そこにゼンがまたリーネの頭に手を置きわしゃわしゃと頭を触り、「言っただろ?」と、リーネに言う。
「・・・・?」
「我慢するな・・。」
その一言を言いゼンはそっぽを向く。
何を伝えたかったかよくわからなかったが、リーネの顔は自然と綻んでしまっていた。
センサザールの問いにはっとしたリーネは慌てた声を上げる。
「ボクの友達が捕まっているです!?」
「何故だ?」
ゼンの疑問にリーネは顔を強張らせる。
「ビュティニアは忠誠を誓わなかった者たちを『リサイクル』と称していろんな手段で処分するつもりなんです・・」
「リサイクル?何よそれ・・。」
不穏な表情をするセンサザールの予感は的中してしまうのであった。
「『リサイクル』というのは、ただ殺すだけじゃ意味がないといい、女は魔族の慰み者として、男は肉体労働として、そして子供は人間に高値で売り捌いて奴隷にするそうです・・。」
「な、何よソレ!?そんなことしていいわけがないでしょ!!」
激昂し立ち上がるセンサザールは、怒りで鼻息荒くそう言う。
「落ち着け」と、いうゼンですら、眉間に皺を寄せ苛立ちが表に出ていた。
「じゃあお前は、奴隷商から逃げて来たのか?」
「ですです・・。だからどうかこの近くで檻の中に入れられたボクの友達を助けて下さい、お願いします」
リーネは深く頭を下げて、二人に懇願する。
「わかったわ!私に・・。」
「それだけでいいのか?友達を助けて何になるんだ?」
「・・え?」
ゼンの吐いて捨てたような言葉にリーネは固まる。
「貴方何言って・・ッ!?」
「もし仮に俺らが手を貸してお前の仲間をたけたとしよう。逃げ延びたあとを考えたことはあるのか?お前たち以外の天翼族はどうなる?報復は?追手は?」
「え・・?・・え?」
そう質問を重ねるゼンにリーネは戸惑う。
「自分たちだけ助かればそれでいいわけか?」
「そ、そんなことあるわけないです!本当は皆んな助けて貰えたらって!でもそんなこと・・」
自分の思い曝け出しそうになり踏みとどまるリーネにゼンは彼女の頭に手を置く。
「お前が決めつけるな、それに子供はわがままを言うもんだ。好きなだけ甘えろ、後は誰かが何とかするさ」
ゼンはリーネを抱きしめ、センサザールを見る。
その様子にセンサザールは目に浮かべた涙を拭いながら笑う。
「プッ、アハハハ!ゼン、貴方回りくどいのよ。リーネ、ゼンは貴方の本当の気持ちを言って欲しいだけよ」
「ほ、本当の気持ち・・」
「ええ・・。」
「ああ・・。」
リーネはキュッと口をつぐみ、くしゃくしゃの表情をゼンに向ける。
「皆んな助けて欲しいです・・。悪いヤツらをどうにかして欲しいです・・。おウチに帰り・・たい・・です・・。あ、あれ・・。」
ボロボロと涙が溢れ出し、上手く喋れず腕で雑に涙を拭おうとするリーネの手を掴み優しく涙を拭うゼン。
「任せろ、俺とセンサザールが何とかしてやる」
「あら、ワタシも頭数に入っているの?強力するなんて一言も言ってないけれど?」
ゼンの顔を覗き込みニヤけた笑みをセンサザールは向ける。
「別にお前がいてもいなくても大した差ではないからどうだっていいんだがな、それに、最初は見放そうとしていたしな・・」
「ちょっと、それは貴方のことを思って・・!?あ~もう、協力するわよ!ねえ、ちょっと待ちなさいよ~!!」
センサザールの言葉を受け流し、目的地を目指すゼンに叫び声を上げるセンサザール。
リーネはその様子を見て、笑みが溢れる。笑っている場合ではないのだが、自然と笑ってしまっていることに気づき下唇を噛む。
そこにゼンがまたリーネの頭に手を置きわしゃわしゃと頭を触り、「言っただろ?」と、リーネに言う。
「・・・・?」
「我慢するな・・。」
その一言を言いゼンはそっぽを向く。
何を伝えたかったかよくわからなかったが、リーネの顔は自然と綻んでしまっていた。
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