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第18話
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どこからともなく、魔物の遠吠えのような声が聞こえ馬車からから慌ただしく男たちが降りてくる。
ミランダはその様子を薄目を開けて確認する。ミランダは冷えた檻の中から見ていたためよくは見えなかったが、何やら男たちは魔物を警戒しながら話し合っていた。
(何を話しているのかしら・・。あまり聞こえないわ)
「リーネ・・リーネ・・。」
ミランダの横で、しわがれた声で少女の名前を呼び続ける少女が横たわっていた。虚な目からは一筋の塩の跡が見られる。
彼女はリーネという少女を逃すために、腹部に入れられた魔呪式を無視して、魔力を使ってしまったのだ。
ミランダたちに刻まれた魔呪式は、外界の魔素を取り込む量を極限まで減らされており、魔素をエネルギーに変えている魔族にとっては、酸素の薄い環境にいるに等しいのであった。
そんな状況の中、ミランダの横にいる少女は自身の体内にある魔力を使い切り、リーネを逃したのである。
少女は起き上がることもできずに、脈拍も遅くなっていた。
「大丈夫よマイヤ。あの子なら無事に逃げているはずよ」
ミランダは少女の名を呼び、そっと手を握る。
少女の身体は衰弱しており、握り返す力も残っていない。
ミランダは涙ぐんだ表情を見られないように少女の胸元に顔を埋める。
「大丈夫、リーネはしっかりしている子だから・・。」
ミランダは自分に言い聞かせるようにそう言う。
「お前らがアイツを逃したんだな?」
「ーーッ!?」
ミランダの眼前、檻を挟んだ外側から下卑た笑みを浮かべるスキンヘッドの男がこちらを見つめていた。
「おい!ここの女二人を外に出せ!」
檻の外側にいた男がそう指示すると、檻の中に男が二人入ってきて、ミランダたちを抱き抱えて、外に出そうとする。
「や、やめて・・!」
少女たちは両手両足を縛られ、自由を奪われていたため、ミランダの抵抗虚しく外に放り出されてしまう。
「ドルゴさん!何でコイツらを外に出したんですか!?魔物が近くにいるから危ないですよ・・。」
指示をした男に気弱そうな行商人が訊ねてくる。が、指示した男は頭を雑に掻き毟りながれ、行商人を蹴り飛ばす。
「ピーピーうるせえヤツだな。魔物如きに俺が遅れをとるかよ、むしろコイツらに人間様の怖さを教える方が優先事項なんだよ」
ドルゴと呼ばれた男はそう言いミランダの隣にいるマイヤに近づく。
「や、やめて・・!?」
ミランダの言葉に反応して、ドルゴの裏拳がミランダの頬を打つ。
小気味の良い破裂音が響き、床に鮮血がぽたりと落ちる。
「・・ッ!?」
「お前に発言権はねーんだよ、勝手に口を開くな・・。」
ドルゴはそう言い、汚い物を触った時のように打った右手を自身の上着で拭う。
「~~ッ!!」
ミランダは声にならない叫び声を上げ、燃えるように痛む鼻頭を抑えながら悶える。
ドルゴの裏拳で鼻を折られたのだろう。
「おい、寝ている奴らも全員起こせ!ガキ共に人様を怒らせたらいけねえってことを教えてやらないといけないみたいだからなぁ?」
ミランダが見た不敵に笑うドルゴの顔は悪魔のソレであった・・。
ミランダはその様子を薄目を開けて確認する。ミランダは冷えた檻の中から見ていたためよくは見えなかったが、何やら男たちは魔物を警戒しながら話し合っていた。
(何を話しているのかしら・・。あまり聞こえないわ)
「リーネ・・リーネ・・。」
ミランダの横で、しわがれた声で少女の名前を呼び続ける少女が横たわっていた。虚な目からは一筋の塩の跡が見られる。
彼女はリーネという少女を逃すために、腹部に入れられた魔呪式を無視して、魔力を使ってしまったのだ。
ミランダたちに刻まれた魔呪式は、外界の魔素を取り込む量を極限まで減らされており、魔素をエネルギーに変えている魔族にとっては、酸素の薄い環境にいるに等しいのであった。
そんな状況の中、ミランダの横にいる少女は自身の体内にある魔力を使い切り、リーネを逃したのである。
少女は起き上がることもできずに、脈拍も遅くなっていた。
「大丈夫よマイヤ。あの子なら無事に逃げているはずよ」
ミランダは少女の名を呼び、そっと手を握る。
少女の身体は衰弱しており、握り返す力も残っていない。
ミランダは涙ぐんだ表情を見られないように少女の胸元に顔を埋める。
「大丈夫、リーネはしっかりしている子だから・・。」
ミランダは自分に言い聞かせるようにそう言う。
「お前らがアイツを逃したんだな?」
「ーーッ!?」
ミランダの眼前、檻を挟んだ外側から下卑た笑みを浮かべるスキンヘッドの男がこちらを見つめていた。
「おい!ここの女二人を外に出せ!」
檻の外側にいた男がそう指示すると、檻の中に男が二人入ってきて、ミランダたちを抱き抱えて、外に出そうとする。
「や、やめて・・!」
少女たちは両手両足を縛られ、自由を奪われていたため、ミランダの抵抗虚しく外に放り出されてしまう。
「ドルゴさん!何でコイツらを外に出したんですか!?魔物が近くにいるから危ないですよ・・。」
指示をした男に気弱そうな行商人が訊ねてくる。が、指示した男は頭を雑に掻き毟りながれ、行商人を蹴り飛ばす。
「ピーピーうるせえヤツだな。魔物如きに俺が遅れをとるかよ、むしろコイツらに人間様の怖さを教える方が優先事項なんだよ」
ドルゴと呼ばれた男はそう言いミランダの隣にいるマイヤに近づく。
「や、やめて・・!?」
ミランダの言葉に反応して、ドルゴの裏拳がミランダの頬を打つ。
小気味の良い破裂音が響き、床に鮮血がぽたりと落ちる。
「・・ッ!?」
「お前に発言権はねーんだよ、勝手に口を開くな・・。」
ドルゴはそう言い、汚い物を触った時のように打った右手を自身の上着で拭う。
「~~ッ!!」
ミランダは声にならない叫び声を上げ、燃えるように痛む鼻頭を抑えながら悶える。
ドルゴの裏拳で鼻を折られたのだろう。
「おい、寝ている奴らも全員起こせ!ガキ共に人様を怒らせたらいけねえってことを教えてやらないといけないみたいだからなぁ?」
ミランダが見た不敵に笑うドルゴの顔は悪魔のソレであった・・。
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