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第25話
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「ひっく・・ううっ・・」
リーネは我慢できずにその場で泣き出す。
嗚咽混じりのリーネは人目もはばからず涙を流す。
「リーネ大丈夫?」
そんなリーネを背中をさすりながらそう言うセンサザール。
「ごめんなさいです・・。結局ボクじゃ出来なかったです・・。」
リーネは、くしゃくしゃの顔でセンサザールの胸の中に埋まる。
「これだけまともに戦えたんだ。それだけで十分だ・・。」
息絶えたゴルドを地面に置きながら、自身の指先から出した魔力糸を収めると、リーネとセンサザールのもとにやってきながらそう言う。
「全然です・・!ボクは結局二人に助けられて、何もできないいつもの自分と変わらないです・・。」
ゼンの言葉に反論するリーネに対してゼンは彼女の頭を優しくなでる。
それはリーネを咎めるようにも優しく包み込んでいるようにも見えた。
「あの男の言葉を間に受けて自分を卑下するな。リーネは自分の恨んでいる相手にも優しさを忘れない立派な子だと俺は感じたんだ。・・俺が言ってもあまり説得力がなさそうだがな・・。」
「ボクは優しくなんて・・ッ!?」
リーネがゼンの言葉を否定しようとすると、センサザールにその口をそっと覆われる。
「今ゼンが言ったでしょ?自分を下げるなんて損なだけよ」
「うっ、ううっ・・グスッ、そうですよね、こんなにネガティブになったらダメですよね・・。」
リーネは感情の整理がつかず、上手に笑えなかったが、二人に向けて笑って見せる。
「ふふ、いい笑顔よリーネ。それにしてもゼンの口からそういう言葉が出るなんてね、貴方は復讐したいそうなんでしょ?」
「冷やかしを入れるな。リーネを見てそう感じたから言ったまでだ・・。それよりも・・」
ゼンは咳払いをし、センサザールの言葉を躱すと、リーネの方を見る。
「リーネに合わせたい者がいるんだがついて来てくれるか?」
ーーーーー
リーネはゼンに連れられて、先程の奴隷商人の馬車があった場所まで歩く。
そこにはリーネの親友であり、家族のような存在のミランダとマイヤがリーネの帰りを待っていたのである。
「「リーネ!!」」
二人の少女はリーネを見るや否や、駆けつけてリーネに向かって飛び込んで来る。
「ミランダ、マイヤ・・。」
「リーネ・・。無事で、無事で良かった・・。」
「リーネの馬鹿!こんなに無茶して、逃げなさいって言ったでしょ!?」
「二人ともごめんなさいです・・。」
ミランダとマイヤは口々にそう言い身体を震わす。安堵と嬉しさから少女たちは涙を流し、このひとときを噛み締めているかのようであった。
「お姉さんが私たちの魔呪式を解呪してくれて、何とお礼を言っていいのか・・。」
「ふう・・。リーネためとはいえ、もう二度とこんな無茶なお願いはしないでちょうだいね?」
センサザールは、頭を下げる天翼族の少女たちに気にしなくていいといった素振りでそう言いながらゼンの方に目を向けてそう言う。
リーネが奴隷商人の護衛と戦っている最中に、センサザールが囚われている天翼族の少女たち全員の魔呪式を解いていたのである。
そのおかげもあり、魔素を体内に取り込むことが出来たミランダの姉であるマイヤも一命を取り留めたのである。
「ゼンさん会わせたい人はミランダたちなんです?」
「いや、彼女たちではない・・。こっちに来てくれ」
ゼンはそう言い奴隷商人たちが乗車していた車内にリーネを連れて行く。
その中に入ってみると、自分たちがすし詰めのように入れられていた檻の中よりも広く、快適に過ごすため設備も施されており、男たちの自分たちの扱いに苛立ちを覚える。
そんな車内の中に佇む女神のような出で立ちの女性がティーカップを片手にリーネを待っていた。
降ったばかりの雪のように光のこもった冷たい肌に切長の目が大理石の彫刻を彷彿とさせる美しさを放っていた。
だが、リーネにとってその姿は最も憎む存在であった。
「ビュティニア・・。どうしてビュティニアがいるです・・!?」
女神のようなその女性はティーカップを車内の卓上に置くと、リーネを一瞥するのであった・・・・。
リーネは我慢できずにその場で泣き出す。
嗚咽混じりのリーネは人目もはばからず涙を流す。
「リーネ大丈夫?」
そんなリーネを背中をさすりながらそう言うセンサザール。
「ごめんなさいです・・。結局ボクじゃ出来なかったです・・。」
リーネは、くしゃくしゃの顔でセンサザールの胸の中に埋まる。
「これだけまともに戦えたんだ。それだけで十分だ・・。」
息絶えたゴルドを地面に置きながら、自身の指先から出した魔力糸を収めると、リーネとセンサザールのもとにやってきながらそう言う。
「全然です・・!ボクは結局二人に助けられて、何もできないいつもの自分と変わらないです・・。」
ゼンの言葉に反論するリーネに対してゼンは彼女の頭を優しくなでる。
それはリーネを咎めるようにも優しく包み込んでいるようにも見えた。
「あの男の言葉を間に受けて自分を卑下するな。リーネは自分の恨んでいる相手にも優しさを忘れない立派な子だと俺は感じたんだ。・・俺が言ってもあまり説得力がなさそうだがな・・。」
「ボクは優しくなんて・・ッ!?」
リーネがゼンの言葉を否定しようとすると、センサザールにその口をそっと覆われる。
「今ゼンが言ったでしょ?自分を下げるなんて損なだけよ」
「うっ、ううっ・・グスッ、そうですよね、こんなにネガティブになったらダメですよね・・。」
リーネは感情の整理がつかず、上手に笑えなかったが、二人に向けて笑って見せる。
「ふふ、いい笑顔よリーネ。それにしてもゼンの口からそういう言葉が出るなんてね、貴方は復讐したいそうなんでしょ?」
「冷やかしを入れるな。リーネを見てそう感じたから言ったまでだ・・。それよりも・・」
ゼンは咳払いをし、センサザールの言葉を躱すと、リーネの方を見る。
「リーネに合わせたい者がいるんだがついて来てくれるか?」
ーーーーー
リーネはゼンに連れられて、先程の奴隷商人の馬車があった場所まで歩く。
そこにはリーネの親友であり、家族のような存在のミランダとマイヤがリーネの帰りを待っていたのである。
「「リーネ!!」」
二人の少女はリーネを見るや否や、駆けつけてリーネに向かって飛び込んで来る。
「ミランダ、マイヤ・・。」
「リーネ・・。無事で、無事で良かった・・。」
「リーネの馬鹿!こんなに無茶して、逃げなさいって言ったでしょ!?」
「二人ともごめんなさいです・・。」
ミランダとマイヤは口々にそう言い身体を震わす。安堵と嬉しさから少女たちは涙を流し、このひとときを噛み締めているかのようであった。
「お姉さんが私たちの魔呪式を解呪してくれて、何とお礼を言っていいのか・・。」
「ふう・・。リーネためとはいえ、もう二度とこんな無茶なお願いはしないでちょうだいね?」
センサザールは、頭を下げる天翼族の少女たちに気にしなくていいといった素振りでそう言いながらゼンの方に目を向けてそう言う。
リーネが奴隷商人の護衛と戦っている最中に、センサザールが囚われている天翼族の少女たち全員の魔呪式を解いていたのである。
そのおかげもあり、魔素を体内に取り込むことが出来たミランダの姉であるマイヤも一命を取り留めたのである。
「ゼンさん会わせたい人はミランダたちなんです?」
「いや、彼女たちではない・・。こっちに来てくれ」
ゼンはそう言い奴隷商人たちが乗車していた車内にリーネを連れて行く。
その中に入ってみると、自分たちがすし詰めのように入れられていた檻の中よりも広く、快適に過ごすため設備も施されており、男たちの自分たちの扱いに苛立ちを覚える。
そんな車内の中に佇む女神のような出で立ちの女性がティーカップを片手にリーネを待っていた。
降ったばかりの雪のように光のこもった冷たい肌に切長の目が大理石の彫刻を彷彿とさせる美しさを放っていた。
だが、リーネにとってその姿は最も憎む存在であった。
「ビュティニア・・。どうしてビュティニアがいるです・・!?」
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