主人を殺された傀儡は地の女王と復讐の旅に出る

タカヒラ 桜楽

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第26話

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「ゼンさんこれはどういうことです!?何でここにビュティニアがいるです?」

ビュティニアに対して積もる感情が多々あるのだろう。複雑な心境で困り顔のリーネはそうゼンに訊ねる。

「この殿方が貴方たちを助けてくれたのでしょう?そのお礼にと思って訪れただけでしてよ?」

ビュティニアは落ち着き払った様子で説明するが、ビュティニアの言葉にリーネが噛み付く。

「助けてくれたお礼って言ったです?ふざけるなです!ビュティニア、お前が全部やったことだですッ!!」

リーネは感情任せの怒鳴り声を上げ、ビュティニアに襲いかかる。
広げた大翼と脚力を強化する魔法を発動したリーネは弾丸のような速さでビュティニアに飛びかかる。

だが意外にも、そのリーネの行動を止めたのはゼンであった。ゼンの指先から出た魔力糸マジック・シルクがリーネを包むようにして纏わりついていた。
優しく抱き止めるかのような魔力糸マジック・シルクからリーネはゼンの行動の意味を考え、踏みとどまる。

「どういうことなんです?」

リーネは呼吸を整え、気持ちを抑える。今にもビュティニアに飛びかかりたいのだが、リーネはビュティニアに話を促すように訊ねる。
臨戦態勢を解いたリーネを見つめ、ビュティニアは思い悩んでいる様子であった。

「・・・・・。」

「ビュティニア。もう隠す必要もないんじゃない?ここには魔王の手先はいないはずよ。今こそ貴方の抱えていた物をさらけ出すべきじゃないの?」

言いあぐねていたビュティニアの代わりにセンサザールがそう提案する。いつの間にかセンサザールが扉に寄りかかってリーネたちの会話を聞いていたようだ。
そのセンサザールの言葉を皮切りにビュティニアは決心したようにリーネに頭を深く下げたのであった。

「全ては私の力不足だったのですわ。貴方たちにはどんな形でもあの場を魔王の手から逃れて欲しかったのですわ」

「・・・どういうことです・・!?」

理解出来ないといった様子のリーネにビュティニアは順序よく説明し始める。

「そもそも私と貴方の父上は天翼族を非戦闘魔族として魔王軍の保護下でいることを長年魔王とその使者に提案していたのですわ」

ビュティニアは辛い過去の記憶を辿っているのであろう。
ビュティニアは哀愁漂う雰囲気で続きを言う。

「しかし、彼らは軍事的利用を頑なに推し進めていました。だからまず私が、魔王軍に条件付きで入隊することになったのです」

「条件付き?」

その言葉にゼンは引っかかりを覚え、ビュティニアに聞き返す。
ビュティニアはコクリと頷く。

「私が魔王軍に入隊しなければ、と・・。」

「そ、そんなはずは・・!?」

「あったのですよ、ちょうど50年前ですわ。私は僅か40年で魔王幹部に昇り詰め、天翼族の非戦闘員、つまり魔族側の民衆となることを実現しようと奮起したのですが・・。」

「最終的には武力行使で里に侵攻したってわけね・・。」

センサザールの言葉に肯定する様に瞳を閉じるビュティニア。

「私たちは搾取されるだけの種族、しかし貴方たち子供だけせめてもと魔王軍に使い回され死にゆく人生など送らせたくなかった、だから奴隷商人に売り飛ばすというをしたはずなのに・・。」

ビュティニアは奥歯を噛み締め悔しさを露わにする。
バンと力強くビュティニアは卓上を叩く。

「芝居ってどういうことです!?」

「魔王様には使えない子供を人間に売って資金源を調達すると進言したのですが、その裏でラスイーガにいる、私たちと同じ思想の中立魔族組織ニュートラルに貴方たちを匿ってくれる手筈だったのだけど・・。」

自分の力のなさを悔いているように、ビュティニアは歯噛みする。
美の象徴を思わせるビュティニアの顔が険しくなっているのを見てリーネは言葉に詰まる。

「私の思惑は全て筒抜けでしたわ。私の裏切り行為にいち早く気づいた部下が計画を潰しにかかったようで、天翼族に恨みがある人間と共謀して、貴方たちを本当に奴隷にしようとしたのですわ」

「貴方の部下っていったら・・。」

「そうですわ、兎骸族ラビリピスのデルスター。今では貴方の後任として、四天王に座していますわ」

「信じられないわね・・。貴方の右腕としていままで一緒にいじゃない・・。」

「彼は地位と名誉が欲しいだけですの。最初から私に対する忠誠心など皆無だったというわけですわ」

ビュティニアはため息混じりにそんなことを言う。


「つまりは、僕たちは手違いでこんな酷い目にあったって言いたいんです?」

リーネのポツリとこぼすように言った発言にビュティニアは申し訳なさそうに眉を下げる。

「そんなことを信じろっていうです?じゃあ全部嘘だったです?ボクや母様をいじめたことも、父様を殺したっていうことも全部?そんなわけない!そんなわけないです!」

首を振り否定するリーネはビュティニアを鋭い目つきで見るのであった・・。


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