主人を殺された傀儡は地の女王と復讐の旅に出る

タカヒラ 桜楽

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第27話

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「リーネ・・。」

リーネにかける言葉が見つからないのか、ビュティニアは俯いてしまう。
そんなビュティニアの姿を見てゼンは、その場を立ち去ろうとする。

「あらゼン、何処に行くのよ?」

「俺の二人を合わせるといった目的は果たした。明日もまだやることがあるんだ、野営用の拠点作りをしないとな・・。」

ゼンはそう言い外に出ようとするが、別れ際に足を止めると、

「許すも許さないのもリーネの自由だ。一度入ったヒビは中々治すことが出来ない。だが、それは本人が理解した上でしたことだということはわかってやれ・・。」

と、ゼンはリーネ言い残しその場を後にした。センサザールもゼンの意図を汲むかのように、「まあ、私もお邪魔かしら」と、言いゼンを追いかけて行ってしまうのであった・・。


ーーーーー

しばらくの間沈黙が続き、ビュティニアが口を開かないことに、リーネは痺れを切らし問いかける。

「ビュティニアの事情はわかったです。でも、全部が嘘だったなんて信じられないです・・。だってボクは・・。」

「私は、一言も貴方たちに対しての態度についてなんて話してないのだけれど?」

ピシャリとリーネの言葉を切り、ビュティニアはそう言い放ったのであった。

「私は貴方たちを逃そうとしたのは本心ですわ。でも、私に逆らった天翼族たちを虐げたのも、いじめたのも本心ですの。演技や芝居であそこまで出来たのなら役者にだってなれるんじゃなくて?」

先程のしおらしい態度から一変して荘厳な態度でそう言い切るビュティニア。
そんな態度にリーネは少しでも気を許そうとした己を恥じたと同時に、目の前のビュティニアに対して殺意が湧く。
そこからは思考よりも身体が先に動いた。魔導の類を使うわけでもなく、卓上に乗り上げビュティニアの首を両手で絞める。


楽には殺さない・・。

「ビュティニア、貴様ああぁぁ!」

リーネは唸るような威圧する声をビュティニアに向ける。
その醜い感情が堰を切ったように溢れ出る感情にリーネは顔を歪めながらビュティニアを見据える。

だが・・。

「・・・・ッ!?」

ビュティニアの頬を伝う涙・・。

気丈に振る舞っていた彼女であったが、その涙が彼女の心境を物語っていた。

「本心からそう思わなければ・・私自身が耐えられなかった・・。私の心の弱さ故に招いた出来事・・謝って済む話ではないことですわ」

涙を拭うことをせずにリーネを見つめるビュティニア。
ビュティニアの泣き叫びたいほどの感情が一筋の涙と変わりリーネに思いを伝えた。

「そんな・・私の、私たちの怒りはどこにやればいいんです・・。」

ビュティニアの首元から手を離しリーネはそう訊ねる。
怒りの矛先を見失ったリーネをビュティニアはそっと抱き寄せる。

「許してくれなどと言うつもりはありませんわ。私がやってきたことが、そんな言葉で済むものでないと十分理解しているので、ただを復讐者にしたくなかった、私という枷を付けてでも平穏な一生を過ごして欲しかった。それが私たち大人の総意でしたの・・。もちろん貴方の父親、いや私のお兄様も常々思っていましたわ」

「お兄様・・?」

「私は貴方の叔母なのですわ。貴方が生まれる頃にはもう魔王軍に入っていたので、直接会ったことなどあの時まではなかったのですが・・。」

ビュティニアはそう言いながら、強くリーネを抱き寄せる。

「だから・・!だからあの時も、こうして抱きしめてあげたかった。もっと貴方を大切にしていたかった・・。なのに、なのに・・ッ!?」

リーネは初めて見るビュティニアのその姿に戸惑うが、ビュティニアの腕を解く。

「リーネ・・」

「父様は優しかったです、父様は暴力を振るったり悪口なんか演技でもしたことないです!天翼族はどれだけ虐げられてもその思いは曲げない物だとも教わりました・・。
でもビュティニアは違うです、同種族に対してした行いは父様の教えに反します!そんなビュティニアは父様と全然似てないです!
こんなことされてもちっとも嬉しくなんかないです・・。」

リーネの感情を剥き出しにして言い放った言葉にビュティニアはあからさまに落ち込むのであったが・・。

「でも、それは今までのビュティニアです。仕返ししたい気持ちは山々です。でも、、そんなボクの考えを肯定してくれる人がいるんです。だから、ボクは今までビュティニアにされた全部忘れます!」

気恥ずかしいのか、リーネはビュティニアにそっぽを向きそう言い、ビュティニアに頭を突き出す。
その動作の意図が分からずビュティニアは固まってしまう。

「・・・・?」

「本当に父様の妹です?父様はいつもボクを撫でてくれましたよ?」

唇を尖らせそう言ったリーネを見て、ビュティニアは口元を綻ばせる。
そして、リーネを抱き上げ自分の膝下に置き強く抱きしめるのであった。

「ええ、これからはたくさんしてあげますからね・・!?」

「も、もっと優しくするです!」


ーーー


その光景を外からこっそりと覗く二人の影。

「気になるんだったら出ていかなければよかったのに・・。」

ニマニマと笑顔でそう言ったのは、先程馬車の外に出たはずのセンサザールであった。

「うるさい・・。俺はビュティニアに用があって戻ってきただけだ」

センサザールにそう言い返したのは、またまた馬車から出て行ったはずのゼンであった。

「まあ、仲直りとまではいかないけど、上手くいったんじゃないの?変に私たちが干渉しなくてよかったわね」

「ああ、そうだな。結果を見たんだからもう寝るぞ、明日もお前にはやってもらうことがあるんだからな・・。」

ゼンはそう言い、ローブ翻しその場を後にする。

「わかってるわよ!それにしても随分と人間らしくなったわね・・。」

センサザールは、そんなゼン微笑ましく思い眺めるのであった・・。
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