主人を殺された傀儡は地の女王と復讐の旅に出る

タカヒラ 桜楽

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第29話

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日はすっかり落ち夕闇に誘われ闇夜が訪れる。
あの後、ゼンとセンサザールは空間跳躍ワープを使い、魔王軍に囚われている天翼族を救いに行ったのであった。
センサザールが一緒に行ったのは、ゼンの空間跳躍ワープには、使用者または同行するものの訪れた土地にしか行くことが出来ないからである。
二人が天翼族を救出に向かう間子供たちを守るためにビュティニアが残ったのである。

あの悪夢のような一件が解決し、安堵したのか、子供たちはゼンの作った夜営用の寝床で熟睡をしていた。
だが、リーネは寝つけずに新たな里のシンボルといえる砂の巨城の屋根で一人、欠けた月を眺めていた。

「リーネ、こんなところにいたら危険ですわ」

リーネを心配したのは、音もなく現れたビュティニアであった。
ビュティニアは目を丸くし、驚くリーネの横に上品にハンカチを敷き、そこに座る。

「考えごとをしていたら眠れなくて・・。」

リーネは空笑いをし、俯く。
その様子を見てビュティニアは「何を考えていたのかしら?」と、優しく問いかける。
リーネの羽はしおらしくたたまれており、落ち込んだリーネの感情がそのまま露わになっていた。

「ゼンさんとセンサザールさんに全部任せっきりなのが申し訳なくて・・、でもだからといってボクに何かできることがあるかといったらそうでもないし、どうしたらいいのかなと思ってたです・・。」

そう自分の心情を説明したリーネに、今度はビュティニアが目を丸くする。

「そんなことで悩んでいたのですか・・。」

呆れたように言うビュティニアであったが、その顔は柔和な笑顔であった。
ビュティニアはリーネの艶のある髪をそっと撫でると、

「貴方が深く考える必要はありませんわ。それに、お二人が言っていたように貴方はまだ子供・・本来は私や兄様がしてあげるべきことだったのですが、貴方たちが幸せでいられるためにあの方たちは頑張っているのですわ。だから、自分の不甲斐なさを恥じるのではなく、あのお二人の無事を願うことの方が良いのではないかしら?」

「・・・・。」

ビュティニアのその言葉にリーネは瞳を潤ませる。性別も言葉遣いも違うビュティニアから父親の面影が見られるからだろうか。

「今回はお二人に任せきりなってしまいましたが、これからはたくさん甘えてもらって構わなくってよ?」

ビュティニアは可憐にウィンクをし、そう言う。
リーネはそんなビュティニアにどこか決心した顔を向ける。

「ボク、実はビュティニアにお願いしたいことがあったです・・。でもこれは里のみんなにも、何より、迷惑をかけてしうと思うです・・。」

リーネの思い詰めた顔から発せられた言葉にビュティニアは戸惑いとどこかおかしそうな、そんな複雑な顔になってしまったのであった。
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