ダークファンタジーの魔法少女、異世界スローライフで日常を知る

タカヒラ 桜楽

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王国騎士師団長ヴェンタレス

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 私は絶賛二度寝をしていた。

 斜陽が入り込み寝心地の良い日だと思った矢先にフェニが私の瞼の上に出来立ての食パンのようなフワフワなお腹を乗せてきたのだ。

 「もっふぉ!」

 フェニは全身で私の顔の上に乗ってきたので、呼吸が出来ずに咳き込んでしまう。
 私は、その勢いのまま起き上がると、

 「ち、ちょっとフェニ!朝から何してるの!?」

 と、叫んでいた。

 「呼んでも君が起きないのが悪いんじゃないか」

 フェニは悪びれた様子もなく毛繕いを行う。

 だが、フェニが私を無理矢理起こすなんて珍しい。

 「何かあったの?」
 「村の大人たちが大騒ぎしているんだよ、だから一応起こしとこうと思ってね」

 自分の前足を舐めながらそう言ったフェニがそう意味深に言う。

 きっと早く行けということなのだろう。

 「わかった、じゃあ一緒に見に行こうか」

 私はパジャマから急いで私服に着替えて、フェニを連れて外へと飛び出すのであった。
 私が外に出ると、すぐに異変に気づく。

 まだ早朝なので、子供たちは寝静まっているころであるが、村の広場の中に大人たちに紛れてミリアンヌがいたのだ。
 
 その周りをミリアンヌの両親と近所の大人たちが取り囲んでいた。
 
 「これはどういう状況なの?」
 
 数時間前に見た王国騎士が、青筋を立てて怒鳴り声を上げており、それを諌めるように村人が男を抑えている状況に私の頭は混乱する。
 だが、そんな考えも王国騎士の態度で私の頭の中が怒り一色に塗り替えられる。

 「貴方ミリアンヌに何しようとしてるのっ!!」

 王国騎士はあろうことかミリアンヌに帯剣していた剣を向けていたのだ。
 
 どんな理由があっても子供に剣を向けるなんて・・。

 気づけば私はその王国騎士の言動に大声を上げ、大人の群れの中へと進んで行くのであった。

 「ベーラちゃん・・。」
 「ベーラ起きてしまったのか、ここは危ないから家に戻りなさい!」

 私の登場に、ベーラは泣きそうになり、両親は心配の言葉を口にしたが、私はその言葉を振り払って王国騎士の前に姿を現すのであった。

 「何だ貴様は?」
 「貴方みたいな人に名乗る名前はないわ」
 「グルルゥゥゥッ!」

 私は王国騎士に対して吐き捨てるようにそう言い、私の足元にいたフェニもその男に対して毛を逆立たせて威嚇していた。

 「貴様我々の邪魔をするならば反逆罪に処することも出来るんだぞ!」
 「だからって小さな子供に剣を向けるなんて王国騎士がやることじゃないでしょ」
 「貴様あぁぁ!」

 男は怒りに任せて、剣を大きく振りかぶる。
 と、同時に起こる村人たちの悲鳴。

 私は回避のために身体強化の魔法を自身にかけるのであったが、その剣が振り下ろされる前に王国騎士の男は何かの衝撃で後ろに吹き飛ばされる。

 王国騎士の仲間たちがどよめく中、明らかに風貌の違う男が私の前に現れる。

 甲冑は王国騎士のそれであったが、兜は外しており、背面に赤いマントを羽織っている男であった。

 「メルコニー、彼女の言う通り弱者にそう安易に剣を向けるものではありません」

 ぱんぱんと鎧についた砂埃を払いながら男は私に握手を求める。

 二枚目の男は爽やかな笑みを私に向けさらに続けてこう言う。

 「驚かせてしまい申し訳ございません。私はこの師団の師団長を務めるヴェンタレスと申します」

 ヴェンタレスと男が名乗った途端、今度は村の大人たちがざわつき始める。

 「助けて?いただきありがとうございます。でも、私は貴方方に対してまだ許していません。何故ミリアンヌに刃を向けたのか、その説明をお願いします」

 私の苛立ちの感情を前に出した態度を見てヴェンタレスと名乗った男は上品に笑う。

 有名人なのだろうか・・。

 「フフフ・・。そうですよね急にやって来て乱暴な行為それは許せませんよね。でもこれは仕方がないことなのです」
 「仕方のないこと?」

 ヴェンタレスは自身の長い金髪を掻き上げて、嘆かわしそうな顔をする。
 起伏の激しい彼の態度に私は眉間に皺を寄せる。

 「彼女が魔女教徒と疑われる言動を行ったんですよ」

 ヴェンタレスの言葉に私は戸惑う。

 「魔女教徒っていうのは・・。」
 「この国で、魔女を信仰する行為、擁護するような言論を行う保守派のような思想を持つ者のことをそう言うんですよ」
 「魔女様を悪く言ったのはそっちでしょ!?」

 ミリアンヌは感情任せにそう怒鳴りつける。
 彼女は大人たちに抑えられているがその腕を振り解こうとジタバタと暴れる。

 「魔女様を悪者みたいに言ったのを謝ってよ!魔女様はとっても優しい人なんだから・・。」
 「と、まあ私たちの調査依頼の話を聞いていたようで、彼女が烈火の如く怒り狂っていたところだったんですよ」

 ヴェンタレスはやれやれといった様子で首を横に振る。
 私は暴れるミリアンヌを見て苦々しい顔をしてしまう。
 彼女の魔女に対する感情を私は重々承知している。
 だからこそ彼女の気持ちを踏み躙られた悔しさも痛い程わかってしまう。
 だが、どうやら王国騎士たちが抱く魔女の印象はミリアンヌの抱くものとは真逆のものなのだろう。

 「確かに貴方たちにいきなりやっかみを入れたの悪いとおもいますが、それでも子供に対して剣を抜くなど大人気ないです」
 「フフフお嬢さんは、随分と可愛いことを言いますね」

 ヴェンタレスはそう微笑みながら、私の方に近づく。
 無防備な彼の足取りに私は警戒を怠ってしまい、気づいてしまう。

 村人の視線に入らないように、私の懐に刃を突き立てられていたのだ。
 ヴェンタレスは先程の王国騎士が振るっていた剣と違い、刃先が短い鉈なようなもので、私はそれを見下ろし血の気が引く。
 というのも、その鉈のような物の刃には紋様が刻まれており、私が持っている魔杖マジカル・ステッキと同じような魔力を感じ取ったのからかもしれない。

 「その顔は気づいているようですね、二人になれる場所を設けていただけませんか?そうしないとここで私の最大威力の魔法を打つことになりますがどうしますか・・?」

 先程の爽やかな笑みとは違い、ニタリと笑ったヴェンタレスに私は鋭い視線を送るのであった。

 
 

 
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