俺の命は1000円だった。〜壊れた男は異世界で復讐を誓う。

infinitey009

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序章

どうやら俺は復讐が楽しいみたいだ。

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 部屋を出ると、検体の逃亡により研究所は混乱の渦に陥っていた。人間もどきを逃したくない為に魔力の供給を止め施設の機器を動かなくする。窓から飛び降り、この研究所の出入り口を探す。人間もどきの魔力が集まる所を調べるとある一定の場所に向かっているのでそこに向かう。

 鉄で出来た3m以上の扉の前で人間もどきと囚われていた検体達の争う姿が見える。手身近なそれを擬態を解放した右手で捕まえる。

「な、何だ?何が起こっているんだ?俺は…」

 面倒なので力任せに引き千切る。五体をバラバラにされ飛び散った内臓が辺りに散らばる。

「嫌!何これ?生臭い…あっ」

 放心していた女に喰らいつく蠱毒の蟲。牙から流される猛毒により体の皮膚が青黒くなり、裂けていく。

「助けて!蟲が襲っていてる。誰か助け………」

 俺の肩に乗っていたスライムが泣き叫ぶ女を包み込み捕食する。俺の時の様に穴という穴から入り込まれているのだろう。俺が受けた方法と違うのはそこから消化されていることだ。魔力がすぐ切れて肉体の捕食に入ったらしい。生きながら全身を溶かされるわけだ。

 何匹かが門の外に出ようとしていたので魔力で糸を操り拘束する。逃げていいのは検体だったもの達だけだ。人間もどきは1匹足りとも逃しはしない。

 検体達はほぼ逃げ出し、門の近くにいた人間もどきはすべて殺した。此処に来るまで人間もどきは1匹足りとも捕食してない。こいつらを取り込んで自分と融合などしたくはないからだ。
 代わりにスライムが全てを喰らっている。好き嫌いはない様だな。愛いやつだ。

 さて、これからが本番だ。今逃げていたのはここの仕事を大して知らない奴等だ。研究所に残っている人間もどきこそ俺の復讐する相手だ。

 大体いる場所は分かるので殺しに行こう。左手も怒りを露わにするように熱を帯びてくる。先ずは1階に3匹ほどいるからとっとと殺そう。

「まさか検体α、お前が叛乱するとはな。貴重なサンプルだったが仕方がない俺達で始末させてもらう。」

 どうやら衛兵の生き残りと研究員のコンビのようだ。…前衛2に後衛1か。2匹が槍を持って突撃してくる。後衛は魔法の詠唱中なのか、その場で集中している。
 俺は前衛に飛び込み、槍をかわす。避けられた衛兵の驚愕に満ちた顔を左手で掴む。解放された俺の左手は頭を果物のように握りつぶす。血と脳漿が辺りを血の匂いで溢れかえらせ深紅の景色をつくりだす。

「うあああぁ⁈」

 半狂乱のもう1匹が槍をこちらに向けるが時すでに遅く、右手の蠱毒の蟲により内臓を貫かれている。

「炎よ、槍となりて我が敵を貫け!ファイアジャベリン。」

 後衛の魔法がこちらに迫って来るが、此方は無詠唱で聖なる盾をつくりだす。

 「馬鹿な?無詠唱の上に聖属性の防御魔法だと?」

 あちらで驚いているようだが別に大したことではない。スライムを纏わせた糸により拘束する。魔力をスライムが奪い糸により膾切りとなる研究員。

「さて、サクサクいかせてもらうか。メインディッシュは最奥のようだしな。」

 血に塗れ異臭が漂うこの身を前に前にと復讐の炎が進める。上の階に上がるや否や魔法の絨毯爆撃に襲われるが聖なら盾を貫けるものはなかった。

「いくら聖属性とはいえ中級魔法だぞ?何故防げるんだ!」

 悲鳴のような叫び声が聞こえるが俺にとっては屠殺場に向かう豚の鳴き声だ。大して気にもならない。俺の聖なる盾は12枚の重ね掛けだ。上級魔法でも貫けまい。

「それで終わりか?なら此方からもプレゼントだ。」

 そう言って右目の邪眼を起動する。バジリスクの怨念にも似た呪いは視界に入るもの全てを石に変えていく。

「こいつは一体なんなんだ⁈俺達は一体何を相手にしているんだ?」

 胸の辺りまで石に変化しながら半狂乱な男、ジワジワと石化することに耐えられず意識を失うもの、ただ呆然と石になっていくもの。全てが平等に石となっていく。数分後には石像の模型の世界となり、何も残らない。上の階へと登り、残りを探す。



「さて、そろそろ出てきてもいいんじゃねえか?」

 左目の魔眼に映る男に話しかける。少しすると何もないところから現れる男は苦虫を噛み潰したような表情で此方を睨みつけている。どうやら俺の記憶に残っている限り所長と呼ばれる男だったはずだ。
 かなりの魔力を持つ装備をふんだんに持ち、その佇まいはまさに歴戦の戦士だ。実践もかなりの数をこなしているのだろう。隙が見当たらない。

「検体達α、まさかお前が意識を持ち続けていたとはな。」

 杖を構え、いつでも俺を撃てるようにしながら俺を見つめている。これだけの研究所だ。かなりの投資をしなければ出来ないだろう。国か?それとも宗教のトップか?

「残念だが、失敗作として処分するしかなかろう。頭だけでも残れば多少の試験は出来よう。」

 奴がそう言った瞬間、俺の体が床から現れた無数の大斧によってバラバラにされる。聖なる盾すら切り裂いたあの魔法は上級闇魔法ハウリングアックスか?

 「この程度か。やはり魔力だけではどうにもならないということか。大した経験にならんな。」

 溜め息をつきながらこちらに近づく男を見ながら俺は首だけで笑う。

「流石はこの研究所の所長というところから。無詠唱の上級魔法とは恐れ入った。」

 首だけの俺を蔑むように見ながらも隙を見せずにこちらを観察している………いいぞその調子だ。

「首だけでも生きているとは…もはや魔物だな。時間稼ぎをしているようだが私には毒は効かぬ。お前が使うのを分かっているのに対応しない訳がない…これで終わりだ。」

 そう言って俺の首を燃やす。炎に焼かれながらも俺は勝利を確信し笑い続ける。

「慎重な男だ。それ故にここまで動かすのに苦労した。」

 真下の階で左手を構えていた俺はその怒り狂う竜の力を真上に向けて放出する。原初の炎と呼ばれる竜の炎が天を焦がさんと燃え上がる。

「これであと1人だ………」

 殆ど上の階は吹き飛んでいるがあの女の魔力は感じられる。額の宝石が光を失いただの石へと変わる。当分は幻影は使えないな。

 種明かしといこう。単純にスライムを纏わせた糸にカーバンクルの幻影をかけ、相手をさせている間に相手の真下でドラゴンの最大火力で吹き飛ばしただけだ。カーバンクルの幻影とドラゴンブレスは強力だが今の俺では日に1度ぐらいしか使用出来ない。体の方が耐えれないみたいだ。
 だが強力なカードを使ったとしても奴には勝たなくてはいけなかった。俺に匹敵する魔力を持っていた奴に勝つには奇襲しかないと考えていたからだ。

「これであの女だけだな…」

 かなりの疲労を感じながらも俺は俺の復讐を遂げる為、あの女の待つ場所へと向かっていった。



 
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