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紫電の王《バイオレットブリッツ》
紫電の王《バイオレットブリッツ》19
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「ん…」
眩しい光に眉を顰めながらアタシは目を覚ました。
天井からスポットライトのような直径約5~6m程ある円形状の強い光がアタシを中心に地面を照らしていた。光で照らされてない他の空間は先が見えない真っ暗闇が広がっていた。
「ッ!?」
自分は何をしていたのか少し記憶が曖昧になっていたアタシは身体を動かそうとしたが、その円形状の光の中心から動くことができなかった。
よく見ると身体の後ろに鉄の廃材を溶接して作った十字型の造形物が立っていた。右肩辺りが三本線に引き裂かれた黒いワンピースを着ていてアタシはその十字型の造形物に両手両足を固定され、右肩には包帯がぐるぐる巻きにされていた。その姿はさながらイエス・キリストの磔のようだった。
実際と違って四肢を固定してあるのは杭ではなく鎖で、さらに足は地面についている分まだマシだったが、まさかカトリック信者であるアタシがキリストの磔刑を受けるとはね…
そこでようやくアタシはベルゼに敗れて廃工場に囚われているという状況であることを理解した。
アタシは最後まで神の加護を奥の手として取っていたつもりだったが、どうやらそれはベルゼの方が一枚上手だったらしい。最後に使ったアイツの能力は何か分からなかったが、おそらくアタシと同じ系統の電撃を操る魔術か、それとも紫電の瞳の応用かもしれない。
戦闘に敗北し、さらに自分の無様な格好を見たアタシは顔を伏せて思わず唇を噛んだ。
「ようやく目を覚ましたか?」
アタシの正面の暗闇の中から英語で聞いたことのない男性の声がして顔を上げた。
「ホントお人形さんみたいだね…」
「うん、まるで画面の向こうから出てきたみたいだな」
最初に聞こえた声の両脇辺りから同じく英語で別の男性二人の声が聞こえてきた。
姿は見えないが、なんだろうこの感覚…まるで身体をまさぐられているかのような嫌な感覚が走る。
今まで経験したことのないようなその気色悪い感覚の中、アタシが声のした方を睨みつけていると暗闇の中から人種、年齢、見た目が全くバラバラな男三人組がゆっくりとした足取りで姿を現した。
なんなのコイツらは…?
「いつまでも目を覚まさないから心配したよ」
30代前半くらいの東洋人男性で黄土色のTシャツと灰色のたぼだぼのスウェットを履いたデブがそう言った。ストレートの長すぎず短すぎないその髪をふさふさと揺らし、その脂っこい顔からは汗が滴っていた。
「やっぱり起きていないと反応を楽しめないから仕方ないさ」
30代後半くらいのヒョロガリノッポの白人男性がデブにそう返した。まるで骸骨の模型に灰色のウェーブのかかったロングのカツラを被せ、さらに服を着させて動かしているかのようなその男は笑みを浮かべていたが、「彼は死神だよ」と説明されれば信じてしまうくらいその顔からは血の気が感じられなかった。
「さあ、早くデータを取ろう。永久保存する準備は整っているからな」
20代後半くらいの黒人が最後にそう言った。黒いパーカーとブラウンのチノパンを履いた黒人は何やらPCを操作しながら、かけていた黒ぶち眼鏡のレンズを画面の光で反射させていた。
共通点の全くないその三人組はゆっくりとアタシの方に近づいてきた。
「な、なによアンタたちは…!」
三人を目でそれぞれ牽制しながら、恐怖を感じていることを相手に悟られないように力強くアタシはそう言った。
「僕らは別に誰だっていいじゃないか」
「これからお兄さんたちと楽しいことをするだけさ」
「君はただじっとしているだけでいいんだ…」
三人の表情はニヤニヤしていたが、それに反して目だけは笑っていなかった。
ハァハァと興奮したように荒い吐息を漏らしながら、ゆっくりとした足取りでアタシに近づいてくる。
コイツらまさか動けないアタシを弄ぼうとしているんじゃッ!?
「そ、それ以上近づいたら…た、ただじゃ置かないわよッ!!」
「その強気な表情たまらないね…」
「屈服した時の顔が早く見たいね…」
「ほんとにくっころするのか楽しみだな…」
アタシは身体を揺すって拘束から逃れようとしたが、流石に鎖を引きちぎるほどの力は無く、ケダモノ三人はゆっくりと近づいてくる。
こうなったらッ!
アタシは三人を前に目を閉じ集中力を高め、奴らがアタシに触れた瞬間を狙って神の加護を発動させようとしていた。
「なッ!?」
電気がたまらない…!?
「おっと、言い忘れていたがその鎖は我らヨルムンガンドで開発された特殊な鎖でね、神の加護を抑える効果がある優れものなんだ…」
黒人のチビがかけた黒ぶち眼鏡をくいッと上げながら決め顔でそう言ってきた。
「そういうことだからさ…」
「観念したほうがいいよ…」
東洋人のデブと白人のノッポがさらに近づいてくる。
「い、いやッ…!」
アタシはそれでも懸命に身体を動かしたが鎖は切れなかった。
そうしている間にも男たちはゆっくりと近づいてくる。
3m、2m、1m
気が付けば男たちは手を伸ばせばすぐアタシに触れられるくらいの位置まで近寄ってきていた。
舐めまわすような男たちの視線に体中に鳥肌が立ち、言い知れぬ恐怖がアタシを支配していく。
「「「それじゃあ、いただきまーす!!」」
男たちが一斉にそう言いながらアタシに向かって飛びつこうとしてくる。
アタシはその光景に耐えきれず唇を噛み締めながら顔を背けて目を伏せた。
その瞬間、鈍い衝撃音が三つほぼ同時に鳴り響いた。
「ッツ!!」
なにも起きない…
アタシは目を閉じたまま全身をできる限り縮こませて耐えようとしていたのだが、何も起きなかった。
10秒以上時間が経過してもなにも起きなかったので、アタシは勇気を振り絞って目を開けると
「これは…!?」
さっきの男たち三人が後頭部から何やら細い煙を立てながらうつ伏せの状態で地面に倒れていた。
「全く、俺が寝ている間に何やってんだお前らは…!」
聞いたことのある声のした方にアタシが目を向けるとそこには紫髪で紫眼のバイカーのような男が握りこぶしを作って立っていた。
「ベルゼ・ラング!?」
「おう、気分はどうだいお嬢ちゃん?」
ベルゼは戦ってた時とだいぶ印象の違う、最初に出会った時のような爽やかな笑みを浮かべながらフレンドリーな感じで話しかけてきた。
「これが最高の気分に見えるのかしら?」
「へッへッへッへッ!まあそう言うなって。あと少しすれば多分ヤツも来る、そうすれば多少は眺めも良くなるさ」
アタシが嫌みたっぷりにそう返してあげるとベルゼはケラケラと笑いながらどこか含みのあるような返しをしてきてから。
「つーかてめーらはいつまで寝てんだ!!」
アタシがその言葉のことを聞くよりも先にベルゼは倒れた三人を蹴りながら怒鳴り散らした。
「酷いっすよッ!アニキ!」
「俺らさっきまでアイツのことを休みなしで監視していたのに」
「まあ九割以上僕のドローンが働いてたんだけどね…」
三人は何事もなかったかのように俊敏に立ち上がり、東洋人のデブと白人のノッポはベルゼに詰め寄りながらそれぞれが抗議し、黒人のチビは何やらPCを操作して工場の照明をつけた。
「やかましいわ!!その分の報酬は毎回払ってるだろ!大体、誰が人質に触れて良いなんて言った?」
「だってこんなカワイイ子味わうチャンスなんて…」
「もう二度と無いかもしれないんすよ!!」
「この時間だけを楽しみにしていたのに…」
こめかみのあたりを震わせながらベルゼが怒鳴るようにそう言うと三人はたちまちシュンと縮こまりボソボソと呟くように口答えする。
「うるせえ!下らねえことして俺様の株を下げんじゃねえよ!それに、俺はもしフォルテがコイツを見捨てここに姿を現さなかった場合は好きにしていいと言ったはずだ!誰がその前に触れて良いなんて言った!?」
「ちょっと待ちなさい、アンタもしかしてアタシを餌にフォルテをおびき出そうとしているの?」
ベルゼの言葉に思わずアタシが質問した。
「そうだが?もうじきここに来る予定だが…」
「残念だけど、多分アイツはここには来ないわよ…」
アタシの言葉にベルゼは眉を顰めた。
「なんでそう言い切れる?」
「電話でも言ったけど、アタシたちにはもう協力関係はないわ。フォルテがアタシを助ける義理なんてないから絶対来ないわよ」
「あーそれってマジなのか…確かフォルテも電話で同じようなこと言ってたから嘘じゃねえんだろうな」
ベルゼの言葉にアタシは少しだけホッとする。
任務に失敗して一人で死ぬならまだ我慢できるが、アタシのせいで他の人を巻き込んでしまうのは流石に我慢できない。それが例えアイツでも。
「だがそれでもアイツはここに来る。昔っからお節介が過ぎる偽善者野郎だからな。例えお前のことを全く知らなかったとしても多分アイツは助けに来るぜ…」
謎の自信たっぷりにそう言ったベルゼに今度はアタシが眉を顰めた。
「どうしてそう言い切れるの?アンタはフォルテの何を知っているというの?」
「そういうお嬢ちゃんはアイツの何を知っているんだ?」
質問に質問を返してきたベルゼの言葉にアタシは思わず言葉を詰まらせた。
確かにアタシはフォルテのことをほとんど知らない。
知っているのはせいぜい見た目や言動くらいで好きなことや嫌いなこと、過去に何があったのかとかそういった細かいところはまるで知らない。
「アタシはフォルテの…」
「知らないだろ?俺もそこまで詳しいわけじゃねえからあんまデカい顔はできねえけどよ」
ベルゼはポケットからWESTのメンソール煙草を取り出して咥える。
「少なくともアイツがどういった奴かってことくらいはお前より知ってる自身はあるぜ…」
東洋人のデブがジッポライターでそれに火をつけ、ベルゼは煙を頭上に吐き出した。
「それはその魔眼が関係しているの?」
ベルゼが戦闘中に言っていた「ゼーレの瞳」「黙示録の瞳」それはフォルテと同じ系統の魔眼とベルゼは言っていた。
気になっていたことを質問したアタシに対してベルゼはキョトンとして「なんだそんなことも知らねえのか?」と言ってから、「そうだなぁ…」と独り言を呟きながら何かを悩んでいた。
「よしッ!お前達、この工場下の一本道でフォルテを足止めしてこい!」
ベルゼは唐突に両手を一回合わせてパチンと鳴らすと部下の三人にそう言った。
「ええ…」
「なんでそんなこと…」
「なんか意味あるんですか?」
三人は口々にやる気なさそうに返答した。
「もし、約束の21時まで足止めできてたらコイツをいくらでも好きにしていいぞ」
「ちょッ!?」
ベルゼの言葉にアタシが抗議しようとしたが、アタシのそんな姿には目もくれず三人は小さい円を作ってぶつぶつと話し合いを始めた。
「よし、作戦を1分で決めよう。ノッポ、何持ってきている?」
「C4とセムテックス、あとPBXも一応持ってきてるぞ」
「ありったけ持っていこう、僕も今出しているドローンと予備の二機も同時に出撃させる」
1分どころか30秒で話し合いを終えると三人は個々に分かれてせかせかとした様子で準備を始める。
まるで特殊部隊の出撃前みたいだわ……
そのままあっという間に戦闘態勢を整えた三人はベルゼの前でそれぞれの国を思わせる綺麗な敬礼をした。
中国、ロシア、最後はえーと確かナイジェリアだったかしら?
アタシは記憶の糸を辿りながらなんとなくそれらがどこの国の敬礼かを思い出していた。
「準備整いました!」
「いつでもいけます!」
「頭、オーダーを!」
三人はさっきまでのなよなよとした態度からは想像できないくらいきりッと引き締まった表情で力強くそう言った。
さっきの敬礼といい、今の態度といい軍人なのかしら?
アタシはそんな様子の彼らを見て何となくそう思った。
ベルゼは敬礼した部下の前で大きく息を吸い込んでから大声で指示を出す。
「ザイア!モルテガ!ナッシュ!フォルテ・S・エルフィーに待ち伏せ攻撃を仕掛け、できる限り足止めしてこい!」
「「「了解!」」」
ベルゼは東洋人のデブ、白人のノッポ、黒人のチビの順に名前を呼んでから指示を出した。それに返事をした三人はそのまま廃工場の入り口に向かって走っていく。
「いいか!絶対に死守するぞ!」
「たかが10分!俺達なら楽勝だ!」
「よーし!状況開始だ!」
そう叫びながら三人は廃工場から出て行ってしまった。
事情を知らない人から見れば仲間同士で協力して敵に立ち向かう友情物語のように見えるかもしれないが、今の彼らの原動力がなにか知っているアタシからすればその印象は
「さいッッていだわ…」
彼らのウキウキとした後ろ姿にゴミを見るような目で睨みつけながらアタシは吐き捨てる。
「大丈夫、大丈夫、アイツら三人じゃあフォルテを足止めできないからよ」
アタシの態度にケラケラと笑いながら煙草を吸っていたベルゼが煙を吐き出しながらそう呟く。
「ちょっとッ!アンタも何勝手なこと言ってるのよ!」
アタシはそんなベルゼを睨みつけた。
「でもこれで多少の時間はできただろ?」
「なんでそんなことを?」
「なんでってちょっと教えてやろうと思っただけだよ、さっきお嬢ちゃんが聞いてきた魔眼についてさ」
ベルゼの言葉にアタシは少し驚いた。
「アタシはアンタの敵よ?そんなこと話して大丈夫なの?」
するとベルゼはアタシの言葉に数秒間固まった後、耐え切れなくなったように噴き出した。
「な、なにがおかしいの!?」
「クックックックッだってよ~そんな格好の奴が心配することか?全く真面目な奴だなお嬢ちゃんは、あの三馬鹿に見習ってほしいぜ全くよ…まあ安心しろ、別に大した話しじゃねえからお嬢ちゃんが知ったところで別に俺に害はねーよ」
ベルゼは右手を口に押し当てて笑いを堪えながら、左手でアタシを指さしてそう言った。
その瞬間廃工場の外、アタシがここに来るときに通ってきた山道の方角から爆発音が聞こえだした。
その音に驚くアタシを前にベルゼは小さく「始まったか…」と呟きながら短くなった煙草を捨てた。
「さて時間もあまりねーみたいだし手短に教えてやるよ」
ポケットから新しい煙草を咥え、取り出したジッポライターで火をつけたベルゼが言った。
「まあせいぜいコイツが吸い終わるまでの暇つぶしくらいにはなるだろ」
眩しい光に眉を顰めながらアタシは目を覚ました。
天井からスポットライトのような直径約5~6m程ある円形状の強い光がアタシを中心に地面を照らしていた。光で照らされてない他の空間は先が見えない真っ暗闇が広がっていた。
「ッ!?」
自分は何をしていたのか少し記憶が曖昧になっていたアタシは身体を動かそうとしたが、その円形状の光の中心から動くことができなかった。
よく見ると身体の後ろに鉄の廃材を溶接して作った十字型の造形物が立っていた。右肩辺りが三本線に引き裂かれた黒いワンピースを着ていてアタシはその十字型の造形物に両手両足を固定され、右肩には包帯がぐるぐる巻きにされていた。その姿はさながらイエス・キリストの磔のようだった。
実際と違って四肢を固定してあるのは杭ではなく鎖で、さらに足は地面についている分まだマシだったが、まさかカトリック信者であるアタシがキリストの磔刑を受けるとはね…
そこでようやくアタシはベルゼに敗れて廃工場に囚われているという状況であることを理解した。
アタシは最後まで神の加護を奥の手として取っていたつもりだったが、どうやらそれはベルゼの方が一枚上手だったらしい。最後に使ったアイツの能力は何か分からなかったが、おそらくアタシと同じ系統の電撃を操る魔術か、それとも紫電の瞳の応用かもしれない。
戦闘に敗北し、さらに自分の無様な格好を見たアタシは顔を伏せて思わず唇を噛んだ。
「ようやく目を覚ましたか?」
アタシの正面の暗闇の中から英語で聞いたことのない男性の声がして顔を上げた。
「ホントお人形さんみたいだね…」
「うん、まるで画面の向こうから出てきたみたいだな」
最初に聞こえた声の両脇辺りから同じく英語で別の男性二人の声が聞こえてきた。
姿は見えないが、なんだろうこの感覚…まるで身体をまさぐられているかのような嫌な感覚が走る。
今まで経験したことのないようなその気色悪い感覚の中、アタシが声のした方を睨みつけていると暗闇の中から人種、年齢、見た目が全くバラバラな男三人組がゆっくりとした足取りで姿を現した。
なんなのコイツらは…?
「いつまでも目を覚まさないから心配したよ」
30代前半くらいの東洋人男性で黄土色のTシャツと灰色のたぼだぼのスウェットを履いたデブがそう言った。ストレートの長すぎず短すぎないその髪をふさふさと揺らし、その脂っこい顔からは汗が滴っていた。
「やっぱり起きていないと反応を楽しめないから仕方ないさ」
30代後半くらいのヒョロガリノッポの白人男性がデブにそう返した。まるで骸骨の模型に灰色のウェーブのかかったロングのカツラを被せ、さらに服を着させて動かしているかのようなその男は笑みを浮かべていたが、「彼は死神だよ」と説明されれば信じてしまうくらいその顔からは血の気が感じられなかった。
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20代後半くらいの黒人が最後にそう言った。黒いパーカーとブラウンのチノパンを履いた黒人は何やらPCを操作しながら、かけていた黒ぶち眼鏡のレンズを画面の光で反射させていた。
共通点の全くないその三人組はゆっくりとアタシの方に近づいてきた。
「な、なによアンタたちは…!」
三人を目でそれぞれ牽制しながら、恐怖を感じていることを相手に悟られないように力強くアタシはそう言った。
「僕らは別に誰だっていいじゃないか」
「これからお兄さんたちと楽しいことをするだけさ」
「君はただじっとしているだけでいいんだ…」
三人の表情はニヤニヤしていたが、それに反して目だけは笑っていなかった。
ハァハァと興奮したように荒い吐息を漏らしながら、ゆっくりとした足取りでアタシに近づいてくる。
コイツらまさか動けないアタシを弄ぼうとしているんじゃッ!?
「そ、それ以上近づいたら…た、ただじゃ置かないわよッ!!」
「その強気な表情たまらないね…」
「屈服した時の顔が早く見たいね…」
「ほんとにくっころするのか楽しみだな…」
アタシは身体を揺すって拘束から逃れようとしたが、流石に鎖を引きちぎるほどの力は無く、ケダモノ三人はゆっくりと近づいてくる。
こうなったらッ!
アタシは三人を前に目を閉じ集中力を高め、奴らがアタシに触れた瞬間を狙って神の加護を発動させようとしていた。
「なッ!?」
電気がたまらない…!?
「おっと、言い忘れていたがその鎖は我らヨルムンガンドで開発された特殊な鎖でね、神の加護を抑える効果がある優れものなんだ…」
黒人のチビがかけた黒ぶち眼鏡をくいッと上げながら決め顔でそう言ってきた。
「そういうことだからさ…」
「観念したほうがいいよ…」
東洋人のデブと白人のノッポがさらに近づいてくる。
「い、いやッ…!」
アタシはそれでも懸命に身体を動かしたが鎖は切れなかった。
そうしている間にも男たちはゆっくりと近づいてくる。
3m、2m、1m
気が付けば男たちは手を伸ばせばすぐアタシに触れられるくらいの位置まで近寄ってきていた。
舐めまわすような男たちの視線に体中に鳥肌が立ち、言い知れぬ恐怖がアタシを支配していく。
「「「それじゃあ、いただきまーす!!」」
男たちが一斉にそう言いながらアタシに向かって飛びつこうとしてくる。
アタシはその光景に耐えきれず唇を噛み締めながら顔を背けて目を伏せた。
その瞬間、鈍い衝撃音が三つほぼ同時に鳴り響いた。
「ッツ!!」
なにも起きない…
アタシは目を閉じたまま全身をできる限り縮こませて耐えようとしていたのだが、何も起きなかった。
10秒以上時間が経過してもなにも起きなかったので、アタシは勇気を振り絞って目を開けると
「これは…!?」
さっきの男たち三人が後頭部から何やら細い煙を立てながらうつ伏せの状態で地面に倒れていた。
「全く、俺が寝ている間に何やってんだお前らは…!」
聞いたことのある声のした方にアタシが目を向けるとそこには紫髪で紫眼のバイカーのような男が握りこぶしを作って立っていた。
「ベルゼ・ラング!?」
「おう、気分はどうだいお嬢ちゃん?」
ベルゼは戦ってた時とだいぶ印象の違う、最初に出会った時のような爽やかな笑みを浮かべながらフレンドリーな感じで話しかけてきた。
「これが最高の気分に見えるのかしら?」
「へッへッへッへッ!まあそう言うなって。あと少しすれば多分ヤツも来る、そうすれば多少は眺めも良くなるさ」
アタシが嫌みたっぷりにそう返してあげるとベルゼはケラケラと笑いながらどこか含みのあるような返しをしてきてから。
「つーかてめーらはいつまで寝てんだ!!」
アタシがその言葉のことを聞くよりも先にベルゼは倒れた三人を蹴りながら怒鳴り散らした。
「酷いっすよッ!アニキ!」
「俺らさっきまでアイツのことを休みなしで監視していたのに」
「まあ九割以上僕のドローンが働いてたんだけどね…」
三人は何事もなかったかのように俊敏に立ち上がり、東洋人のデブと白人のノッポはベルゼに詰め寄りながらそれぞれが抗議し、黒人のチビは何やらPCを操作して工場の照明をつけた。
「やかましいわ!!その分の報酬は毎回払ってるだろ!大体、誰が人質に触れて良いなんて言った?」
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「もう二度と無いかもしれないんすよ!!」
「この時間だけを楽しみにしていたのに…」
こめかみのあたりを震わせながらベルゼが怒鳴るようにそう言うと三人はたちまちシュンと縮こまりボソボソと呟くように口答えする。
「うるせえ!下らねえことして俺様の株を下げんじゃねえよ!それに、俺はもしフォルテがコイツを見捨てここに姿を現さなかった場合は好きにしていいと言ったはずだ!誰がその前に触れて良いなんて言った!?」
「ちょっと待ちなさい、アンタもしかしてアタシを餌にフォルテをおびき出そうとしているの?」
ベルゼの言葉に思わずアタシが質問した。
「そうだが?もうじきここに来る予定だが…」
「残念だけど、多分アイツはここには来ないわよ…」
アタシの言葉にベルゼは眉を顰めた。
「なんでそう言い切れる?」
「電話でも言ったけど、アタシたちにはもう協力関係はないわ。フォルテがアタシを助ける義理なんてないから絶対来ないわよ」
「あーそれってマジなのか…確かフォルテも電話で同じようなこと言ってたから嘘じゃねえんだろうな」
ベルゼの言葉にアタシは少しだけホッとする。
任務に失敗して一人で死ぬならまだ我慢できるが、アタシのせいで他の人を巻き込んでしまうのは流石に我慢できない。それが例えアイツでも。
「だがそれでもアイツはここに来る。昔っからお節介が過ぎる偽善者野郎だからな。例えお前のことを全く知らなかったとしても多分アイツは助けに来るぜ…」
謎の自信たっぷりにそう言ったベルゼに今度はアタシが眉を顰めた。
「どうしてそう言い切れるの?アンタはフォルテの何を知っているというの?」
「そういうお嬢ちゃんはアイツの何を知っているんだ?」
質問に質問を返してきたベルゼの言葉にアタシは思わず言葉を詰まらせた。
確かにアタシはフォルテのことをほとんど知らない。
知っているのはせいぜい見た目や言動くらいで好きなことや嫌いなこと、過去に何があったのかとかそういった細かいところはまるで知らない。
「アタシはフォルテの…」
「知らないだろ?俺もそこまで詳しいわけじゃねえからあんまデカい顔はできねえけどよ」
ベルゼはポケットからWESTのメンソール煙草を取り出して咥える。
「少なくともアイツがどういった奴かってことくらいはお前より知ってる自身はあるぜ…」
東洋人のデブがジッポライターでそれに火をつけ、ベルゼは煙を頭上に吐き出した。
「それはその魔眼が関係しているの?」
ベルゼが戦闘中に言っていた「ゼーレの瞳」「黙示録の瞳」それはフォルテと同じ系統の魔眼とベルゼは言っていた。
気になっていたことを質問したアタシに対してベルゼはキョトンとして「なんだそんなことも知らねえのか?」と言ってから、「そうだなぁ…」と独り言を呟きながら何かを悩んでいた。
「よしッ!お前達、この工場下の一本道でフォルテを足止めしてこい!」
ベルゼは唐突に両手を一回合わせてパチンと鳴らすと部下の三人にそう言った。
「ええ…」
「なんでそんなこと…」
「なんか意味あるんですか?」
三人は口々にやる気なさそうに返答した。
「もし、約束の21時まで足止めできてたらコイツをいくらでも好きにしていいぞ」
「ちょッ!?」
ベルゼの言葉にアタシが抗議しようとしたが、アタシのそんな姿には目もくれず三人は小さい円を作ってぶつぶつと話し合いを始めた。
「よし、作戦を1分で決めよう。ノッポ、何持ってきている?」
「C4とセムテックス、あとPBXも一応持ってきてるぞ」
「ありったけ持っていこう、僕も今出しているドローンと予備の二機も同時に出撃させる」
1分どころか30秒で話し合いを終えると三人は個々に分かれてせかせかとした様子で準備を始める。
まるで特殊部隊の出撃前みたいだわ……
そのままあっという間に戦闘態勢を整えた三人はベルゼの前でそれぞれの国を思わせる綺麗な敬礼をした。
中国、ロシア、最後はえーと確かナイジェリアだったかしら?
アタシは記憶の糸を辿りながらなんとなくそれらがどこの国の敬礼かを思い出していた。
「準備整いました!」
「いつでもいけます!」
「頭、オーダーを!」
三人はさっきまでのなよなよとした態度からは想像できないくらいきりッと引き締まった表情で力強くそう言った。
さっきの敬礼といい、今の態度といい軍人なのかしら?
アタシはそんな様子の彼らを見て何となくそう思った。
ベルゼは敬礼した部下の前で大きく息を吸い込んでから大声で指示を出す。
「ザイア!モルテガ!ナッシュ!フォルテ・S・エルフィーに待ち伏せ攻撃を仕掛け、できる限り足止めしてこい!」
「「「了解!」」」
ベルゼは東洋人のデブ、白人のノッポ、黒人のチビの順に名前を呼んでから指示を出した。それに返事をした三人はそのまま廃工場の入り口に向かって走っていく。
「いいか!絶対に死守するぞ!」
「たかが10分!俺達なら楽勝だ!」
「よーし!状況開始だ!」
そう叫びながら三人は廃工場から出て行ってしまった。
事情を知らない人から見れば仲間同士で協力して敵に立ち向かう友情物語のように見えるかもしれないが、今の彼らの原動力がなにか知っているアタシからすればその印象は
「さいッッていだわ…」
彼らのウキウキとした後ろ姿にゴミを見るような目で睨みつけながらアタシは吐き捨てる。
「大丈夫、大丈夫、アイツら三人じゃあフォルテを足止めできないからよ」
アタシの態度にケラケラと笑いながら煙草を吸っていたベルゼが煙を吐き出しながらそう呟く。
「ちょっとッ!アンタも何勝手なこと言ってるのよ!」
アタシはそんなベルゼを睨みつけた。
「でもこれで多少の時間はできただろ?」
「なんでそんなことを?」
「なんでってちょっと教えてやろうと思っただけだよ、さっきお嬢ちゃんが聞いてきた魔眼についてさ」
ベルゼの言葉にアタシは少し驚いた。
「アタシはアンタの敵よ?そんなこと話して大丈夫なの?」
するとベルゼはアタシの言葉に数秒間固まった後、耐え切れなくなったように噴き出した。
「な、なにがおかしいの!?」
「クックックックッだってよ~そんな格好の奴が心配することか?全く真面目な奴だなお嬢ちゃんは、あの三馬鹿に見習ってほしいぜ全くよ…まあ安心しろ、別に大した話しじゃねえからお嬢ちゃんが知ったところで別に俺に害はねーよ」
ベルゼは右手を口に押し当てて笑いを堪えながら、左手でアタシを指さしてそう言った。
その瞬間廃工場の外、アタシがここに来るときに通ってきた山道の方角から爆発音が聞こえだした。
その音に驚くアタシを前にベルゼは小さく「始まったか…」と呟きながら短くなった煙草を捨てた。
「さて時間もあまりねーみたいだし手短に教えてやるよ」
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「まあせいぜいコイツが吸い終わるまでの暇つぶしくらいにはなるだろ」
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だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。
暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。
よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!?
……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい!
そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。
赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。
「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」
そう、他人事のように見送った俺だったが……。
直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。
「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」
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この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
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