SEVEN TRIGGER

匿名BB

文字の大きさ
51 / 361
揺れる二つの銀尾《ダブルパーソナリティー》

揺れる二つの銀尾《ダブルパーソナリティー》3

しおりを挟む
 だが。
 俺はさっきの微笑ましい出来事を思い出してた思考を止めて、視界を上部のLED照明から目の前にある射撃レーン戻すとそこには。
 バンッ!!バンッ!!バンッ!!バンッ!!
 聞きなれた.45ACP弾の訓練用弾フランジブルを撃つセイナの姿がそこにはあった。
 集中した表情で次々にターゲットに銃弾を当てていくその姿は、とてもアイスクリームをペロペロと美味しそうに食べていた少女とは思えないほど鋭く、凛々しい印象を与えられる。
 そんな姿を見た俺は大きなため息をつきながら再び天井のLED照明に眼を向けた。
 なんでこんなに不機嫌なのかって?
 俺は青いベンチに預けた首を右に捻って壁にかかった時計の方を見た。
 時刻は16時を過ぎていた。
 射撃場に来たのは12時過ぎ。セイナが銃を撃ち始めてかれこれもう4時間も経っているのだ。
 女性の買い物(今回は買ってはいないが)は長くなるってことをすっかり忘れてたぜ。
 ここは地下だから見えないが、外はいまごろ太陽が沈みかけて夕日にでもなっているころだろう。こりゃあ家の修繕は明日になりそうだな。
 まあここまで購入した資材を一緒に運んでくれたし、これくらいで済むなら安いもんだから別にいいんだけどさ。
 再び俺は射撃レーンで銃を撃っていたセイナの方に視線を向けた。
 反動で揺れる黒のプリーツスカート、そこからのぞく同じく黒のニーソックスと太腿部分の絶対領域とそこに巻かれた二本のレッグホルスターのベルトがいやらしく見え隠れし、金髪のポニーテールも反動のたびにゆさゆさと揺れていた。顔も口を引き結んだ凛々しい表情になっていて、こんな見た目の少女が普段は50口径をぶっ放していると思うとほんと恐ろしいなと感じる。
 そう思いながらセイナの後ろ姿を凝視していた視線を、今度は横にあった両腕を広げたくらいのサイズのテーブル上に移した。
 そこには世界中の様々なハンドガンやリボルバーがずらりと置いてあった。
 SIGシグ SAUERザウエル P226とP227
 GLOCKグロック 18Cと21
 M9ベレッタSOCOMソーコム MK23
 さらにはSスミス&MウェッソンM2944マグナムMATEBAマテバ Modello 6モデロシックス Unicaウニカ
 などなどこの4時間の間にセイナが撃った俺の私物の銃たちだ。
 そもそも何故こんなに時間が要しているかいうと……
「なにそんなアホ面下げてんのよ」
 横のテーブルに顔を向けていた俺の前方から中学生くらいの幼い少女声が聞こえてきた。
 左奥を見ていた顔を前方に戻すと、そこにはセイナが立っていた。
 さっきまで目の前で銃を撃っていたこともあり、普段と違って頭には外した防弾性の透明ゴーグルが乗っていて、同じく肩にも外した防音ヘッドフォンを乗せていた。よく見ると首筋にはほんのりと汗が一筋流れており、セイナはそれを片手で髪と一緒に払った。金髪のポニーテールがパサァと広がり、女性フェロモンと香水の水仙スイセンが混じったいい香りが俺の鼻腔をくすぐった。
 その幼い見た目でやる大人のような色っぽい仕草のギャップに俺は思わず顔が赤くなるのを感じた。
「別に、お前は日本人でもないのに真面目だなって思ってただけさ」
 顔が赤くなったことがセイナにバレないように顔を背けたまま俺は適当に返答した。
「そう言うアンタは見た目は日本人の癖に真面目ではないわよね」
 別にセイナは俺に嫌みのつもりとかでそう言った感じではなく、単にコイツの中で日本人=真面目という印象が強かったのだろう。少し首を傾げながらそう言ったセイナに俺は苦笑まじりに返答した。
「全ての日本人が真面目ってわけではないのさ。それに俺は一応両親も日本人で生まれも日本の生粋の日本人ではあるけど、アメリカで過ごしていた方がおそらく長いから、中身はそっちに近いのかもしれないな」
 と俺は少し自嘲気味にそう言うと、セイナは少し驚いたように表情をしてからこう聞いてきた。
「えッ?そうなの?じゃあ今の名前は?」
「昔ある人から貰ったんだ、最初は確かに日本人の名前だったんだろうけど、訳あってそれを思い出せなくてな。それで今はフォルテって名乗っているんだ」
「ふぅん……そうなんだ。そう言えば前から気になってはいたんだけど、アンタの名前の「S」ってなんて言うの?」
「んー秘密」
「なにそれ?」
 セイナは首を傾げてこちらを見た。
 俺はそれ以上「S」のことについて聞かれたくなかったので。
「で、そいつの調子はどうだ?」
 と無理矢理話題を切り替えるようにセイナに問いかけた。
「んー悪くはないんだけど…なんか違うのよね…」
 セイナは右手に持った45口径ハンドガンのM1911コルト・ガバメントを見ながら唸り声をあげていた。
「んー困ったな。ハンドガン系でなにか他に銃はあったかな……」
 俺は両腕を頭の後ろに回そうとしたところで今は左腕義手が無いことを思い出し、少しバツが悪くなってワシャワシャと自分の黒髪の後頭部を掻いた。
 そんな俺にセイナはよくやる片足体重で腰に手を当てる格好になりながらため息まじりにこう言った。
「でも、なんでこんなに銃があるのにアンタは50口径だけは持っていないのよ……?」
 そう、これが4時間もここで銃を撃つことになった原因なのである。
「当たり前だろ…ここにあるのは俺が使う銃ともらった銃を保管している倉庫みたいなもんだ。50口径なんて俺は使わないし、使うやつも知り合いにいないから無くて当然だろ」
 いくら日本で銃が認可されているとは言え、大口径の銃の手続きは結構面倒なのである。だから市販の店で取り寄せるにはそれなりの手続きが必要になるので時間がかかる。それも含めて俺の私物の中から代わりの銃を探していたのだが、なかなかいい銃が見つからないのだ。
 最初に超無難なSIGシグ SAUERザウエル P226とM9ベレッタGLOCKグロック 18Cを渡して撃たせると。
9m弾パラは軽すぎて嫌」
 というのでGLOCKグロック21 .45ACP弾を撃つタイプを持ってくると。
「そもそもGLOCKグロックはフレームがプラスチックポリマー2で剛性が低いのと、リロードした時にたまにスライドが戻り切らなくて後ろから一回叩かないといけないのが嫌いなのよね」
 というので.45ACP弾を撃てるSIGシグ SAUERザウエルP227を持ってくると。
「これはちょっとしっくりこないわね」
 というのでダメもとでSOCOMソーコム MK23を持ってきたがこれが意外に当たりだったらしいが、どうもライトとサプレッサーが付いた状態でないと感覚が悪くなるらしく。
「デカすぎてホルスターに収まらないから嫌だ」
 というのでもうヤケクソ気味にSスミス&MウェッソンM2944マグナムMATEBAマテバ Modello 6モデロシックス Unicaウニカを持ってきた。
「いいか、この銃はM2944マグナムといって世界で最強の銃だ」
 と実は俺も影響されてアメリカにいた時に買ったM2944マグナムを言いたかったお決まりのセリフでセイナに渡してやると
「最強は.50AE弾よ、それにアタシリボルバー苦手なのよね」
 とマジレスしながらも、慣れた手つきで弾を込めて銃を撃っていたがやはりこれも違うかったらしい。言うまでもないがMATEBAマテバ Modello 6モデロシックス Unicaウニカ通称オートマチックリボルバーの方は論外だったとのこと。
 ここまで探しても見つからないなら、最悪港町の裏市場で中古品を探せないこともないのだが、Desertデザート Eagleイーグルはパーツの組み合わせが荒い部分が多いので、セイナが使っているようなしっかり手入れされたものはまず手に入らないだろう。
 色々と悩みに悩んだ末、最後にこのM1911コルト・ガバメントを撃たせてダメなら別の手段を考えようと思っていたのだが、意外に反応は悪くなかったので。
「どう違うんだ?」
 と聞いてみると。セイナは自分の右手に持ったM1911コルト・ガバメント色々な角度から眺めながら。
M1911フォーティーファイブが悪いというより、この今アタシが持っている銃自体が悪いような感じなのよね……ノーマル過ぎちゃって多分アタシの手になじんでないんだと思う……多少改造してあれば話しは別なんでしょうけどね」
 と唸るようにそう言ったセイナの言葉に、俺は一つ可能性を見つけてこう聞き返した。
「てことは多少使いやすいようにカスタムされていればいいんだな?」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?

あとりえむ
ファンタジー
【5話ごとのサクッと読める構成です!】全60話 完結しました。読者の皆様ありがとうございます! 世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。 「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。 ・神話級ドラゴン  ⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺) ・深淵の邪神  ⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決) ・次元の裂け目  ⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い) 「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」 本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……? 「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー! 【免責事項】 この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された5人の勇者。彼等は同じ高校のクラスメイト同士であり、彼等を召喚したのはバルトロス帝国の3代目の国王だった。彼の話によると現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が世界各地に出現し、数多くの人々に被害を与えている事を伝える。そんな魔王軍に対抗するために帝国に代々伝わる召喚魔法によって異世界から勇者になれる素質を持つ人間を呼びだしたらしいが、たった一人だけ巻き込まれて召喚された人間がいた。 召喚された勇者の中でも小柄であり、他の4人には存在するはずの「女神の加護」と呼ばれる恩恵が存在しなかった。他の勇者に巻き込まれて召喚された「一般人」と判断された彼は魔王軍に対抗できないと見下され、召喚を実行したはずの帝国の人間から追い出される。彼は普通の魔術師ではなく、攻撃魔法は覚えられない「付与魔術師」の職業だったため、この職業の人間は他者を支援するような魔法しか覚えられず、強力な魔法を扱えないため、最初から戦力外と判断されてしまった。 しかし、彼は付与魔術師の本当の力を見抜き、付与魔法を極めて独自の戦闘方法を見出す。後に「聖天魔導士」と名付けられる「霧崎レナ」の物語が始まる―― ※今月は毎日10時に投稿します。

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜

るあか
ファンタジー
 僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。  でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。  どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。  そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。  家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

処理中です...