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揺れる二つの銀尾《ダブルパーソナリティー》
揺れる二つの銀尾《ダブルパーソナリティー》4
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「ええ、でもそんな都合のいい銃なんて────」
「セイナ、ちょっと右手を出してみろ」
セイナがしゃべっている最中に俺がそう促すと、少し訝しげな表情を浮かべながらも「こう?」と言いながら、ベンチに腰掛けた俺の目の前に手を差し伸べるような形でセイナは右手を出した。
「ひゃッ!?」
俺がその手を無造作に右手で握り、握手のような形でセイナの手や指の感触を確かめていく。
とても軍人のそれには見えない繊細で滑らかな細い指の一本一本を確かめるように触ると意外に手のヒラはしっかりしていることに気が付いた。普段からきっとマメやタコを手入れすることで女性らしい綺麗な手を保っているのだろう。常に身だしなみに気を付ける姿勢は流石王女様ってところか。
よし、このサイズなら問題なさそうだな。
と俺よりも一回りも二回りも小さいそのセイナの手を色々と観察し、状態を確かめたところでその少し湿った手(多分射撃中に汗を掻いたんだろうな)を離した。
よくよく考えれば俺よりもでかい銃をセイナが扱っていることを考えれば調べる必要も皆無だったような気もするが、まあ一応な。
「急に何するのよ!?」
離した手を反対の手で握るようにして後ろに数歩下がったセイナは顔を真っ赤にしてそう聞いてきたので。
「何って指の太さや長さを確かめ────」
「それにしても、もうちょっと確かめ方ってもんがあるでしょう!?この変態ッ!!」
そう言われても今の俺は片腕しかないし、そもそも左腕があったとしても触感は感じることができないので結局は右手で確かめるしかないのに……何でそんな怒っているんだ?
ほぼ白目のような三白眼に口を広げた表情、まるで猫がシャーッ!と威嚇するときにするような顔で怒っているセイナにそんなこと言ったら、また俺のことを電撃で追い回しかねないので、喉まで出かかったその言葉を引っ込めながら体内で分解してから変換し、怒ったセイナを何とか宥めるように「まあまあ」などと言いながら俺は青いベンチから立ち上がって、射撃レーン横の銃を保管してある部屋の前まで行き扉を開けた。
部屋の中にずらりと並んだクローゼットのような形や小型の冷蔵庫のような形の銃保管庫を端から開けながら目的のものを探していく。
確かこの辺にあったはずなんだけどな……
と数個の銃保管庫を開けたところで目的の物が入ったジュラルミンケースを見つけた。
「あったあった」と言いながらそれを取り出してから軽く埃を払うとケースの下部にあった「S.T TRIGGER1」の文字が浮かび上がった。
それを持って射撃レーンに戻ると、さっきの件で少しヘソを曲げていたセイナが足組腕組みした状態で青いベンチに腰かけたまま、横目でこちらを一瞥してから。
「なにそれ」
と聞いてきた。
「開けてみな」
片手で開けることができない俺はケースをセイナに渡してそう促すと、セイナはケースを膝の上に置いてからパチンッパチンッと二つの留め具を外して中身を確認した。
「これは……?」
ケースの中に入っていたその銃を見たセイナは目を丸くした。
全体を艶消しされた黒で塗装されたその銃は、3ホール型マッチトリガーの光沢のある銀色と、グリップ部分に祈りを捧げる天使の横顔が描かれたメダリオンのくすみがかった金色の部分が天井のLED照明に照らせて猛々しく光り輝いていた。
セイナはその銃を両手で取り出してから細部の作りや作動を確認していく。
「なにこれ……?ベースはM1911だけど、これほどカスタムされたやつは見たことないわ」
「M1911コルト・ガバメントカスタム。俺はそれのことを略して「コルトカスタム」って呼んでたけど、まあ、一般的にはM.E.U.PISTOLって呼ばれている銃だ。アメリカ海兵隊が1985年、当時軍で制式拳銃としていたM1911をM9に変更した時に、9㎜拳銃のような軟なものではなく、一発で相手を仕留めることのできる.45ACP弾が撃てるM1911を、議会に修理部品と偽ってまで銃の付属品を集めてカスタムし、現在まで使い続けられている銃の名前だ」
「なんだろう……それを聞いた途端に急にこの銃が急に憎くなってきたんだけど……」
おいおい、確かにイギリス陸軍特殊空挺部隊所属のセイナからしたら、海兵隊のことを嫌うのはよく分かるけどよ……
つーかそんなこと言ったら俺だって元アメリカ陸軍だし……
「まあまあ、そう言わずとりあえず撃ってみろよ。ああ、マガジンはさっき使ってたM1911のやつが使えるから」
セイナは少し嫌そうな顔をしながらも、防音ヘッドフォンと防弾ゴーグルを付けなおしながらテキパキとマガジンをコルトカスタムに装填し、スライドを引いてからセーフティーを親指で解除した。
そのあと銃を構えてから、普通のM1911と違う点に気づいて一瞬グリップ部を覗いてから、それに納得したように軽く頷き、そのままセイナは10~20mの間にあるターゲットを端から撃ち始めた。
バンッ!!バンッ!!という.45ACP弾の発射音と合わせて、キーンッ!キーンッ!という金属のターゲットに弾が命中する小気味いい音が射撃レーンに響いた。
撃った7発の銃弾全てが狙ったターゲットの中央に命中してコルトカスタムはホールドオープンの状態になる。
カランッカランッ────と薬莢が落ちる音だけが射撃レーンに木霊した。
「悪くないわね」
7発の轟音のあとに元の静寂に戻りつつあった射撃場でセイナが呟いた。
「当たり前だ、フレーム以外のパーツ全てを新規の物をカスタムした傑作拳銃だからな。強化スライドに両手操作可能なサムセーフティーとスライドリリースレバー。グリップセーフティーはさっきセイナも撃つ前に気づいたと思うけど機能を殺して取り除き、ハンマーも軽量化のために三角穴式のリングハンマーに切り替えてある。他にもサイトは狙いやすいように3ドットタイプに切り替え、トリガーも3ホール型のマッチトリガーに切り替えて指を掛けやすくし、さらにストロークは短く、引きしろも軽くなるよう調整。グリップも握りやすいようにフィンガーチャンネルのついた金属製のタイプのもの切り替えてある。他にもフィーディングランプやパーツ同士の噛み合わせ、ネジの一本一本に至るまで全てを俺がS.T時代に自分でカスタムして使ってたやつだからな。コイツだったら狙う時間さえあれば30ヤード、いや33ヤードくらいまでならワンホールショットが狙える代物さ」
俺が得意気にそう語るとヘッドセットやゴーグルを外しながらそれを聞いていたセイナは銃のスライドを戻し、セーフティーを掛けながらこう質問してきた。
「なんでこんないい銃を持っているのにフォルテは普段この銃じゃなくてわざわざノーマルカスタムのHK45を使っているの?」
その言葉に俺は一瞬言葉が詰まってしまった。というのもわざわざHK45を使っている理由は特にないのだ。強いて理由を上げるとすればそうだな────
「さっきも言った通り、その銃は俺がS.T時代に使ってた銃だ。そして今の俺はもうS.Tの隊員でも隊長でもない。だからどうもそいつを使う気になれなくてな」
「そう……でも、仮に使わないにしてもそんな大切な銃アタシに貸してくれて本当にいいの?」
普通こんな使いやすい銃を渡したら誰でも喜んで自分のものしたがるだろうに、真面目なセイナは律義にそんなことを聞いてきたので俺は苦笑混じりにこう言った。
「ああ、もちろん、思い出が無いと言ったら嘘になるけど所詮は道具。壊れたところで別に何も問題ない。それよりも安い銃を渡して撃ち損じでセイナが死ぬほうが問題だからな。道具は替えが利くけど人間はそうはいかないからな」
「分かったわ。持ち主がそう言うならDesert Eagleが戻るまでこの銃を借りることにするわ」
セイナはそう言ってから、まるでサンタからプレゼントをもらった子供のように色々な角度からコルトカスタムを眺めたり構えたりと、随分と気に入ってくれた様子だった。
良かった……これでようやく家に────
「コルトカスタムならアタシでもフォルテに勝てそうだわ」
「なんだって?」
帰れると思った瞬間、聞き捨てならないことをセイナが口走り、買った荷物のところに行こうとしていた俺は反射的に振り返った。
「アンタにも勝てるって言ったのよ?」
セイナは口元を嗜虐的な感じに歪めながらそう言ってきた。
これは多分誘っているのだろう。
俺を挑発して今貰ったコルトカスタムの性能を試したいといったところか?
「言うじゃねえか?じゃあなにか勝負するか?」
帰りたいと思っていた俺はその言葉にまんまと乗せられてそんなことを口走っていた。
セイナのことをいつも負けず嫌いといつも思ってはいたが俺も大概だな。
「じゃあ折角同じ45口径の銃を持つことになったのだから早打ちで勝負しましょう」
「良いぜ、ルールはどうするよ?」
「そうね……じゃあそこの7m離れたターゲットにどちらが早く当てれるかタイムで勝負よ!」
「いいぜ、負けたほうは何を掛ける?」
「んーじゃあ勝った方にさっきのソフトクリームを買ってくるでどうかしら?」
またソフトクリームかよッ!?興味ないとか言ってたくせにがっつりはまってるじゃねーか。
「俺はソフトクリームよりさっき見たタコ焼きが食いたいな」
「良いわよそれでも、先攻後攻は?」
「じゃあ、俺が先に手本を見せてやるからよく見てな」
そう言ってから俺は立ち上がって右手でマガジンを口に挟んでHK45に器用に装填していく。
「アタシ前から思ってたけど、アンタってハンドガンの名手S.T隊長と言われてたくせに全然銃を使っている印象を受けないのよね~」
とセイナが小悪魔的笑みで後ろから動揺を誘うようにヤジを飛ばしてきた。
「う、うるせえッ!俺は元々刀の方が得意なの!!ただ俺は天才だからハンドガンも極めちゃうことができるんだよね~」
と、実は結構痛いところを付かれたことを悟らせないように余裕な表情でそう言うと「言い方気持ち悪い」と素の声で言っているのが聞こえてきた。おい。
「よし、いつでも行けるぜッ!」
HK45を右のレッグホルスターにしまってから両手を広げた状態で頭の両脇で構える。
「じゃあ行くわよ。レディー……」
セイナの声の後に鳴ったブザー音とほぼ同時に放たれた一発の銃弾が、カーンッ!と甲高い金属音を射撃レーンに響かせた。
「セイナ、ちょっと右手を出してみろ」
セイナがしゃべっている最中に俺がそう促すと、少し訝しげな表情を浮かべながらも「こう?」と言いながら、ベンチに腰掛けた俺の目の前に手を差し伸べるような形でセイナは右手を出した。
「ひゃッ!?」
俺がその手を無造作に右手で握り、握手のような形でセイナの手や指の感触を確かめていく。
とても軍人のそれには見えない繊細で滑らかな細い指の一本一本を確かめるように触ると意外に手のヒラはしっかりしていることに気が付いた。普段からきっとマメやタコを手入れすることで女性らしい綺麗な手を保っているのだろう。常に身だしなみに気を付ける姿勢は流石王女様ってところか。
よし、このサイズなら問題なさそうだな。
と俺よりも一回りも二回りも小さいそのセイナの手を色々と観察し、状態を確かめたところでその少し湿った手(多分射撃中に汗を掻いたんだろうな)を離した。
よくよく考えれば俺よりもでかい銃をセイナが扱っていることを考えれば調べる必要も皆無だったような気もするが、まあ一応な。
「急に何するのよ!?」
離した手を反対の手で握るようにして後ろに数歩下がったセイナは顔を真っ赤にしてそう聞いてきたので。
「何って指の太さや長さを確かめ────」
「それにしても、もうちょっと確かめ方ってもんがあるでしょう!?この変態ッ!!」
そう言われても今の俺は片腕しかないし、そもそも左腕があったとしても触感は感じることができないので結局は右手で確かめるしかないのに……何でそんな怒っているんだ?
ほぼ白目のような三白眼に口を広げた表情、まるで猫がシャーッ!と威嚇するときにするような顔で怒っているセイナにそんなこと言ったら、また俺のことを電撃で追い回しかねないので、喉まで出かかったその言葉を引っ込めながら体内で分解してから変換し、怒ったセイナを何とか宥めるように「まあまあ」などと言いながら俺は青いベンチから立ち上がって、射撃レーン横の銃を保管してある部屋の前まで行き扉を開けた。
部屋の中にずらりと並んだクローゼットのような形や小型の冷蔵庫のような形の銃保管庫を端から開けながら目的のものを探していく。
確かこの辺にあったはずなんだけどな……
と数個の銃保管庫を開けたところで目的の物が入ったジュラルミンケースを見つけた。
「あったあった」と言いながらそれを取り出してから軽く埃を払うとケースの下部にあった「S.T TRIGGER1」の文字が浮かび上がった。
それを持って射撃レーンに戻ると、さっきの件で少しヘソを曲げていたセイナが足組腕組みした状態で青いベンチに腰かけたまま、横目でこちらを一瞥してから。
「なにそれ」
と聞いてきた。
「開けてみな」
片手で開けることができない俺はケースをセイナに渡してそう促すと、セイナはケースを膝の上に置いてからパチンッパチンッと二つの留め具を外して中身を確認した。
「これは……?」
ケースの中に入っていたその銃を見たセイナは目を丸くした。
全体を艶消しされた黒で塗装されたその銃は、3ホール型マッチトリガーの光沢のある銀色と、グリップ部分に祈りを捧げる天使の横顔が描かれたメダリオンのくすみがかった金色の部分が天井のLED照明に照らせて猛々しく光り輝いていた。
セイナはその銃を両手で取り出してから細部の作りや作動を確認していく。
「なにこれ……?ベースはM1911だけど、これほどカスタムされたやつは見たことないわ」
「M1911コルト・ガバメントカスタム。俺はそれのことを略して「コルトカスタム」って呼んでたけど、まあ、一般的にはM.E.U.PISTOLって呼ばれている銃だ。アメリカ海兵隊が1985年、当時軍で制式拳銃としていたM1911をM9に変更した時に、9㎜拳銃のような軟なものではなく、一発で相手を仕留めることのできる.45ACP弾が撃てるM1911を、議会に修理部品と偽ってまで銃の付属品を集めてカスタムし、現在まで使い続けられている銃の名前だ」
「なんだろう……それを聞いた途端に急にこの銃が急に憎くなってきたんだけど……」
おいおい、確かにイギリス陸軍特殊空挺部隊所属のセイナからしたら、海兵隊のことを嫌うのはよく分かるけどよ……
つーかそんなこと言ったら俺だって元アメリカ陸軍だし……
「まあまあ、そう言わずとりあえず撃ってみろよ。ああ、マガジンはさっき使ってたM1911のやつが使えるから」
セイナは少し嫌そうな顔をしながらも、防音ヘッドフォンと防弾ゴーグルを付けなおしながらテキパキとマガジンをコルトカスタムに装填し、スライドを引いてからセーフティーを親指で解除した。
そのあと銃を構えてから、普通のM1911と違う点に気づいて一瞬グリップ部を覗いてから、それに納得したように軽く頷き、そのままセイナは10~20mの間にあるターゲットを端から撃ち始めた。
バンッ!!バンッ!!という.45ACP弾の発射音と合わせて、キーンッ!キーンッ!という金属のターゲットに弾が命中する小気味いい音が射撃レーンに響いた。
撃った7発の銃弾全てが狙ったターゲットの中央に命中してコルトカスタムはホールドオープンの状態になる。
カランッカランッ────と薬莢が落ちる音だけが射撃レーンに木霊した。
「悪くないわね」
7発の轟音のあとに元の静寂に戻りつつあった射撃場でセイナが呟いた。
「当たり前だ、フレーム以外のパーツ全てを新規の物をカスタムした傑作拳銃だからな。強化スライドに両手操作可能なサムセーフティーとスライドリリースレバー。グリップセーフティーはさっきセイナも撃つ前に気づいたと思うけど機能を殺して取り除き、ハンマーも軽量化のために三角穴式のリングハンマーに切り替えてある。他にもサイトは狙いやすいように3ドットタイプに切り替え、トリガーも3ホール型のマッチトリガーに切り替えて指を掛けやすくし、さらにストロークは短く、引きしろも軽くなるよう調整。グリップも握りやすいようにフィンガーチャンネルのついた金属製のタイプのもの切り替えてある。他にもフィーディングランプやパーツ同士の噛み合わせ、ネジの一本一本に至るまで全てを俺がS.T時代に自分でカスタムして使ってたやつだからな。コイツだったら狙う時間さえあれば30ヤード、いや33ヤードくらいまでならワンホールショットが狙える代物さ」
俺が得意気にそう語るとヘッドセットやゴーグルを外しながらそれを聞いていたセイナは銃のスライドを戻し、セーフティーを掛けながらこう質問してきた。
「なんでこんないい銃を持っているのにフォルテは普段この銃じゃなくてわざわざノーマルカスタムのHK45を使っているの?」
その言葉に俺は一瞬言葉が詰まってしまった。というのもわざわざHK45を使っている理由は特にないのだ。強いて理由を上げるとすればそうだな────
「さっきも言った通り、その銃は俺がS.T時代に使ってた銃だ。そして今の俺はもうS.Tの隊員でも隊長でもない。だからどうもそいつを使う気になれなくてな」
「そう……でも、仮に使わないにしてもそんな大切な銃アタシに貸してくれて本当にいいの?」
普通こんな使いやすい銃を渡したら誰でも喜んで自分のものしたがるだろうに、真面目なセイナは律義にそんなことを聞いてきたので俺は苦笑混じりにこう言った。
「ああ、もちろん、思い出が無いと言ったら嘘になるけど所詮は道具。壊れたところで別に何も問題ない。それよりも安い銃を渡して撃ち損じでセイナが死ぬほうが問題だからな。道具は替えが利くけど人間はそうはいかないからな」
「分かったわ。持ち主がそう言うならDesert Eagleが戻るまでこの銃を借りることにするわ」
セイナはそう言ってから、まるでサンタからプレゼントをもらった子供のように色々な角度からコルトカスタムを眺めたり構えたりと、随分と気に入ってくれた様子だった。
良かった……これでようやく家に────
「コルトカスタムならアタシでもフォルテに勝てそうだわ」
「なんだって?」
帰れると思った瞬間、聞き捨てならないことをセイナが口走り、買った荷物のところに行こうとしていた俺は反射的に振り返った。
「アンタにも勝てるって言ったのよ?」
セイナは口元を嗜虐的な感じに歪めながらそう言ってきた。
これは多分誘っているのだろう。
俺を挑発して今貰ったコルトカスタムの性能を試したいといったところか?
「言うじゃねえか?じゃあなにか勝負するか?」
帰りたいと思っていた俺はその言葉にまんまと乗せられてそんなことを口走っていた。
セイナのことをいつも負けず嫌いといつも思ってはいたが俺も大概だな。
「じゃあ折角同じ45口径の銃を持つことになったのだから早打ちで勝負しましょう」
「良いぜ、ルールはどうするよ?」
「そうね……じゃあそこの7m離れたターゲットにどちらが早く当てれるかタイムで勝負よ!」
「いいぜ、負けたほうは何を掛ける?」
「んーじゃあ勝った方にさっきのソフトクリームを買ってくるでどうかしら?」
またソフトクリームかよッ!?興味ないとか言ってたくせにがっつりはまってるじゃねーか。
「俺はソフトクリームよりさっき見たタコ焼きが食いたいな」
「良いわよそれでも、先攻後攻は?」
「じゃあ、俺が先に手本を見せてやるからよく見てな」
そう言ってから俺は立ち上がって右手でマガジンを口に挟んでHK45に器用に装填していく。
「アタシ前から思ってたけど、アンタってハンドガンの名手S.T隊長と言われてたくせに全然銃を使っている印象を受けないのよね~」
とセイナが小悪魔的笑みで後ろから動揺を誘うようにヤジを飛ばしてきた。
「う、うるせえッ!俺は元々刀の方が得意なの!!ただ俺は天才だからハンドガンも極めちゃうことができるんだよね~」
と、実は結構痛いところを付かれたことを悟らせないように余裕な表情でそう言うと「言い方気持ち悪い」と素の声で言っているのが聞こえてきた。おい。
「よし、いつでも行けるぜッ!」
HK45を右のレッグホルスターにしまってから両手を広げた状態で頭の両脇で構える。
「じゃあ行くわよ。レディー……」
セイナの声の後に鳴ったブザー音とほぼ同時に放たれた一発の銃弾が、カーンッ!と甲高い金属音を射撃レーンに響かせた。
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