SEVEN TRIGGER

匿名BB

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揺れる二つの銀尾《ダブルパーソナリティー》

揺れる二つの銀尾《ダブルパーソナリティー》51

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「ふぁ……はぁ……」
 木漏れ日を浴びながら、俺は大きな欠伸と両腕を上げて伸びをしながら、港町の外れにある木々のトンネルを歩いていく。
「散々寝てたくせに、少したるんでるんじゃない?」
 横を歩くセイナが俺の怠け姿をジト目で睨みつけ、ビシッと指摘してくる。飛行機の時に確かに礼儀だの色々叩き込むとは言ってはいたが、全く教育熱心なことで……
「仕方ないだろ?まさか新幹線で帰る途中で一時間以上も止まるなんて思ってなかったからな……おかげでもう16時過ぎだぞ?」
 空港を降りた俺達は、港町に帰るために新幹線に乗ったのだが、何かの要因で途中停車するというトラブルに遭遇していた。
 本当なら14時くらいには自宅に着く予定だったんだけどな。
「そんなこと言ったって仕方ないでしょ?鉄道会社の人も別に意図的に遅らせてるわけじゃないし……」
この前のワシントンメトロの件を含めたような言い方でセイナが呟く。
電車ジャック後も線路の残骸や、事後処理などで色々迷惑をかけてしまったらしく、復旧には時間を要していたらしい。俺達のせいではないにしろ、申し訳なく思う。
「そうだな、日本は他の国と比べたらまだマシな方だしな……」
 そんなことを話しながら山道を抜け、自宅のある丘にたどり着く。
「にしても、とんだアメリカ旅行だったわね」
「退屈はしなかったけどな」
終始戦ってばっか、まるでハリウッドのアクション映画一本でも撮影してきた気分だな。
「その……俺のせいで、迷惑かけた部分も多かった、悪かったな」
「ううん……無事に帰ってきたし、それに成果もあったわ。迷惑じゃないわよ」
「そうか」
 謝るのがどうも恥ずかしくて歯切れ悪くなってしまったが、セイナも少し気恥ずかしそうに首を振ってから歯切れ悪くそう返してくる。
「……」
「……」
山道では普通に話していたのに、今の会話で互いに話が途切れてしまい。どこか気まずい空気が流れ出す。
「ねぇ……」
「ん?」
 自宅の扉まできた俺の後ろからセイナが沈黙を破るよう唐突に声を掛けてきた。
 振り返ると、何故か少し頬を赤らめたセイナが顔を背けて腕組をしていた。
「そ、その……もし迷惑じゃなかったら……でいいんだけど……」
「おう」
 さっきよりも歯切れ悪くなりながら、何かを言おうとしているセイナ。
 急にどうしたんだ?
「もし全部片付いたら、その……アタシをまたアメリカに連れてってよ……今回はゆっくりできなかったから、そ、その……教えなさいよ!街のその……歴史とか、観光名所とか……」
「別に構わねーけど?」
「ホ、ホント!?」
 急にひまわりのようにパァッと表情を明るくするセイナ。
 相変わらず喜怒哀楽の激しい奴だな。
 セイナ、お前歴史に趣味なんてあったっけ?
「ああ、全部終わったらいくらでも付き合ってやるよ」
「うん……!」
 と、そんなやり取りをしたあと、俺達が扉開けて自宅に入ると……
「……なんだこれ?」
 玄関に置かれた段ボール箱。
 それも一つや二つじゃない……通路のあちこちに置かれた段ボール。
 アメリカに行く前に家の掃除はしたはずなのだが……見知らぬ段ボールとその中に入ったいたと思われる荷物、書類にPC機材に、これは……女性物の衣類か?
「ワシントンD.C.からの荷物って書いてあるわよ?」
 セイナが適当に置いてあった段ボールの一つを手に取り「ほら」と俺に見せてくる。
「どれどれ……ホントだ」
 確かに貼ってあったラベルにはワシントンD.C.ぺルシルべニア大通り1600と書かれていた。
 ────ん……?
「ぺルシルべニア大通り1600……って!まさか!?」
 その瞬間、ここにある全ての情報、ピースが繋がり、その意味に気づいた俺は急いで靴を脱いで家に入る。
「ど、どうしたのフォルテ!?」
 俺の大慌てな様子にセイナも驚いたのだろう。持っていた段ボールを元の場所に戻し、履いていたブーツを脱ごうとして苦戦していた。
 だけどそんなこと待っていられない。
 玄関を抜け、段ボール箱で溢れかえっていたリビングを見渡す。
 いない、他にいるとしたら……二階の空き部屋か!?
「ちょ、ちょっと!?急にどうしたのよ!?」
 セイナが追い付いてきたところで俺は這うようにして二階へと続く階段を駆け上がっていく。
 そもそも最初からおかしかったんだ。なんで鍵をかけたはずの家の内部に段ボール箱があるのか?合鍵はセイナしか持っていないのでそれ以外の人が開けることは不可能……一瞬強盗も考えたが。鍵はこじ開けられた様子もなく、家の中を荒らされた形跡もないところからその線は薄いだろう……
 じゃあ誰がこの家の鍵を開けたのか?
 それは段ボール箱の中身とその差出人ですぐに分かった。
 ぺルシルべニア大通り1600────それは……ホワイトハウスの住所だ。
そしてその中に入った女性物の服。女性物の服はセイナの物ではないとすぐに気づいた。理由は簡単。だって胸の部分が全てアメリカンサイズの服しかなかったからな。
 二階に上がると、空き部屋の一つから人の気配がする────
 俺はその扉をバンッ!と思いっきり開けて部屋に入ると……
「あ、帰ってきたんだ!ダーリン!」
 まだ明るい時間帯にも関わらず、閉め切ったカーテンの薄暗がりの中、照明で白銀に輝くツインテールをゆさゆさ動かしながら作業していた少女がこっちを向く。
銀のツインテールをアメジスト色のリボン型の髪留めで止め、肌は日焼けがほとんどないためセイナよりも白く、綺麗な形の胸やお尻はボインッ!と効果音が鳴りそうな程突き出している。だがそれでもって腰などの細い部分はキュッと引き締まり、身長が小さいことを除けばナイスバディと言えるだろう。服装は相変わらずラフな黒い丈の短いキャミソール。白いショートパンツの下には同色のニーソックスを履き、ムチッとした太ももと、チラチラ見えるおへそが色っぽく強調されていた。
「ここで何してんだロナ……?」
 機嫌がいい時によく言ってくるダーリンにはツッコミを入れず、予想通りの人物を前に俺はため息をついた。
「何って片付けだよ?」
「そうじゃねーよ、何でここにいるのかって聞いているんだよ……?」
 猫目のハニーイエローの瞳をパチパチさせて首を傾げる。
 セイナの場合、無意識にそういった仕草をやることで、無垢な感じと合わさって可愛さ倍増なのだが、コイツの場合それが可愛い仕草だということを理解してやっている節がある。確かにはたから見ればぶりっ子と見られるかもしれないが、だがそうと分かってても可愛いと感じてしまう辺り、男ってやつはホント単純だなと自虐的な気分になる。
「────ロ、ロナ!?何でここにアンタがいるのよ!?」
 タタタタ────!と俺の後を追いかけて来たセイナが空き部屋の扉から顔だけを覗かせ、中にいたロナ・バーナードと目が合う。
「おっすー!数日ぶりだねセイナ!」
「アンタ、アメリカの自室で仕事してたんじゃないの!?」
 俺の言葉を代弁するようにして質問するセイナ。嬉しさ半分驚き半分といった様子だった。
 すると────数日前とは違っていつもの調子に戻っていたロナがとんでもないことを口にした。

「ロナちゃんクビになっちゃったからここで雇ってよ、ダ~リン!」
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