鈍感なオメガは3兄弟に溺愛される

キルキ

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昔から、どんくさいオメガが嫌いだ、と蓮は口癖のように言っていた。
それは俺以外の他のオメガに向けられた言葉のはずなのに、なぜかいつも、俺のすぐ横で吐き捨てられていた。

迂闊にもアルファに項を咬まれてしまうような俺は、なるほど、その「嫌い」の見本市みたいな存在だ。

紘一への罪悪感は、時間が経つほど重くなる。
それでも彼の優しさに寄りかかって、考えないほうへ、楽なほうへ流れてきた。そのツケが、今まとめて回ってきた気がした。

じわりと涙が上がってくるのを手の甲で隠し、せっかく取りに来た食料も置き去りにしてその場から逃げようとする。

泣き顔を、蓮にだけは見られたくなかった。
嘲られたら、きっと最後の理性が切れる。そうなった時の自分が、何を口に出してしまうかがわからない。これ以上、事を荒だてたくない。

すれ違おうとした瞬間、肩を掴まれる。思った以上に強い力で、逃げ道ごと塞がれた。

距離を詰められる。言葉より先に、ぬるい熱だけが落ちてきた。

「———ん!」

息が絡め取られて、頭が白くなる。

な、なんで俺、蓮にキスされてるの

先程まで暴言を吐いていた口が、俺のものと重なっていた。ぬるりと唇を舐められ、あっという間に深いところまで征服されていく。息を奪われて、苦しさに目を細めると、一筋の涙がこぼれ落ちた。

突然のことに混乱して、手が震えて、抵抗もままならない。そんな俺を見た蓮は、両手首を一纏めに掴むと、更に身体を密着させられる。

紘一よりは細身だが、程よく鍛えられた筋肉の凹凸が服の上からでもわかった。

こんな激しいキス、紘一ともしたことないのに

「ん、んんんーっ」

舌の裏から上顎まで全部を舐められて、噎せそうなくらいのところまで蹂躙されて、唾液を混ぜられる。息継ぎする間もなくて、酸素を奪われて苦しい。2人分の唾液で口元が汚れていく。

「んん、ふ……っ」

ふと、蓮が膝を股間に押しつけてきた。ぐり、と押し上げられて甘い痺れが腰に走り、がくんと膝が崩れた。

膝をつきそうになるのを阻止するように、腕を引っ張られる。縋り付くように蓮の胸に寄りかかるしかなくなった。

頭が熱くて、くらくらして、上下がどっちかもわからないくらい身体が熱くて、どことなく既視感のある身体の火照りに焦りが生まれる。まさかこれって

「あ……ま、って、なんかおかし……ヒート、が」
「おさまってたのがまた来たって?っはは、キスだけでぐしょぐしょになってる」
「ちょ、勝手に、みるなって……」

スウェットのゴムに指をかけられ、下半身を覗かれる。薄暗い中でも、勃起した陰茎が下着に染みを作り出しているのが見えた。

まじまじと醜態を見られて恥ずかしいのに、揶揄されているのに、蓮の声を聞くたびに、下半身が重くなっていく。

「く、薬飲めばなおるから……はなれて、よ」
「そんなもん飲まなくったって、俺が代わりに相手してやるよ。ちょうどストレス発散したいところだったからな。運がいいなぁお前」
「はぁ?……っ、お前、俺のことが嫌いなんじゃないの。そんな相手とヤれるの?」

ぎりぎり残った理性で抵抗する。身体はもう既に言うことを聞いてくれなくて、蓮に誘導されるがままにふらふらと蹌踉いていた。

馬鹿にするように鼻で笑われる。

「散々兄貴に甘やかされてそうだよな、お前。家に住まわせてもらって、送り迎えしてもらって、ヒート中はシモの世話から飯までおんぶに抱っこなんだろ」
「…………紘一は、番としての役目を果たそうとしてくれてるだけだって」
「あんなに甲斐甲斐しく世話焼かれてる癖に?あいつがお前に対する義務感で動いてるだけって言いたいのかよ?……っはは、お前のそういうところが、ムカつく」

ソファに突き飛ばされ、クッションに転がる。横たわる俺の腰の上に性急に乗り上がってきた蓮に見下ろされる。

「いつか、ぐちゃぐちゃにしてやりたいって思ってたんだよ。お前のその、呑気な顔を見てると、ぶっ壊したくなる」
「な……っ」
「お前みたいな、馬鹿でのろまで鈍感で、どんくせぇオメガが大嫌いなんだよ俺は。でもな?だからこそ、犯して、泣かせて……めちゃくちゃにしてぇ」

いつの間にか蓮の股間もテントを作っている。荒々しい息が顔にかかった。乱暴な手が俺の顎をつかみ、無理矢理目を合わせさせられる。蓮の爪が肌に食い込んで、ちくりと痛みが走った。

普段の馬鹿にしてくる態度とは打って変わった、ギラギラとしたアルファの目が、俺の一挙一動を見逃すまいとしていた。

こいつ、興奮すると、こんな顔をするんだ

本能のままのアルファの興奮した姿をまともに食らって、身体が緊張して強張ってしまう。恐ろしい獣を前にして、逃げることすらもできない弱い獲物になっていた。

顎を掴んでいた手が離れていく。そのまま服の裾から中に侵入してきて、腹をゆっくり撫でられる。へその窪みを、丁寧になぞられる。その動きがやけに官能的で、その先を想像したくないのに想像してしまう自分が嫌になる。

「今からすんのはこれまで迷惑かけられた分の仕返しってことで。途中でへばったら殺すからな」

物騒な口調に、ごくりと生唾をのむ。とんでもないことを言われているのに、どこか期待してる自分がいた。

「あ……っ」

服の中の手が乳首を抓った。同時に首筋に埋まってきた蓮が、強く肌に吸い付いてきた。腰がビクンと痙攣して、心臓がどくどく高鳴っている。

理性ががらがらと崩れていく。

番がいるのに、紘一がいるのに、こんな事をしたらいけないのに。快感を期待した身体が、目の前のアルファを求めている。

飢えて飢えて仕方がないオメガの性が、目の前のご馳走が欲しいと叫んでいて。俺はとうとう、自分から手を伸ばしてしまった。
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