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Story1 -slavely- ヨダカのはじまり
Ⅱ
しおりを挟む壁面に突如として開いた入口。
そこから大きな男が3人連れ立って現れ、再び音もなく扉は閉まった。
取っ手やノブもなく、コンクリートの継ぎ目と重なり、既にどこが扉だったか分からない。
男達は皆体格がよく、身長は2メートル近くあり、見上げるほど高い。
揃って真っ黒な覆面を被っているため顔は見えないが、雰囲気や歩き方、独特の匂いで、彼らが日本人ではないことは分かった。
黒い迷彩の作業着に、ワークブーツを鳴らし、歩くたびに腰から下がったチェーンががちゃりと重い音を立てた。
男達は、雄貴に向かって、一歩一歩近付いてくる。
怖い。怖過ぎる。
でも、閉じこめられているため、逃げる場所もない。
じりじりと後退り、とうとう部屋の角に追い詰められた。
「…だれですか、ここはどこですか、」
男達は喋らない。日本語が分からないのかも知れない、英語なら、と思ったが、どうやら英語も通じない。
中東系のようたが、アラブ語など雄貴は知らない。どうしようもなく、さらに声を掛ける。
「あの、帰りたいんですが…、」
一言も答えない男達、雄貴は引き攣った笑みを張り付けて彼らを見上げ、息をのむ。
一人の男の手に、ぎらりと光る裁ちバサミを見たからだ。
真っ青な顔で逃げようとする雄貴を捕まえ、2人がかりで羽交い締めにすると、一人が裁ちバサミの刃を開く。
「離せ!やめろよっ!」
真っ青になり逃げようともがく雄貴のシャツの裾を中央から躊躇いなくばっさりと切り裂く。同じくハーフパンツにもジャキジャキとハサミを入れていく。
平らな胸板と、縮こまった性器が露わになり、その刃が肌にあたると、冷たい感触に背筋が凍った。
ビリビリに切り裂かれた服の残骸は床に落ちてゴミになり、雄貴は。丸裸で床にへたり込んだ。
いよいよ意味が分からず、手や太腿で股間を隠し、怒りと恥ずかしさに震えながら、雄貴は大声で叫ぶ。
「何してんだよ!」
「…………………………」
「早くここから出せよ!」
雄貴の叫びなんか聞こえていないのか、男達は見向きもせず、黙々と作業に取り掛かる。
部屋の中央の床にある金具を確認し、それを囲むように3つのボウルを置いた。石とアルミ、ガラスの素材のボウル。それらを金具で固定していく。
それが一体何なのかは分からないが、そんなことは、この際どうでもいい。
俺の声を聞いてくれよ!
一言も発することなく、こちらを見もしない男達に苛立った雄貴は、しゃがんで作業する男達の背中を思いきり蹴り、頭をポカポカと殴る。暴力など振るったこともない雄貴の精一杯の反撃だった。
しかし、男達は、それを待っていたかのように、にやりと笑ったかと思うと、雄貴を一瞬で取り押さえ、泣き叫ぶ雄貴を赤子の手を捻るように拘束し、猿轡を捩じ込んだ。
全裸で手足をまとめられ、局部をぽろんと出したまま雄貴は床でのたうち回った。
もはや恥も外聞もない。
あるのは恐怖だけだ。
必死に拘束から逃れようとするが、その姿はあまりに滑稽で、男達が嘲るように笑う。
雄貴が嫌がって暴れれば暴れるほど面白がって、ブーツの爪先で身体を交互に蹴られる。
ゴロゴロと床を転がり、性器を戯れに踏まれ、頭に足を乗せられて、まるで玩具のように弄ぶ。
痛みよりも、得体の知れない恐怖のなか、何がなんだか分からないまま、悪夢を見ているような、現実離れした時間が過ぎていく。
「何をしている」
3人とは違う方向から、別の男の低い声が響いた。
すると、散々いたぶっていた男達が揃ってその場で片膝を付いて頭を下げた。
コツコツと靴音が近付いてくる。
雄貴は靴跡だらけの身体を捩り、助けを求めるようにそちらを見遣った。
「早速洗礼を受けたか。まあ、許せ」
逆光のなか、スーツ姿の男がこちらを見下ろしていた。
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