deep trap ―awakening―

あおい

文字の大きさ
32 / 97
Story1 -slavely- 翻弄

しおりを挟む

 シノブは、床に膝をついてシノブの股間に顔を埋め、夢中でフェラチオをするヨダカの髪を優しく撫でた。
 この健気で可愛く、どこまでも性欲に忠実な生き物を愛で、そして虐めたい欲に駆られる。
 
 ミツキは、この前珍しく掛けてきた電話口で興奮した声で言った。
 
 先生が新しい奴隷を躾けている。そのコが恐ろしく可愛いのだと。
 それをシノブにも見せたい、と言う。
 
「顔の造作がどうのってことじゃないよ、笑顔よりも鳴き顔を見たい、絶望した顔を見たい、辱めたい、ギリギリまで我慢させたい!ってそんな感じ。
 嫌がっても、恥ずかしがっても、めちゃくちゃ可愛い。
 声も仕草も、健気さも、奴隷としてあんな完璧なコ、見たことない。
 優しくて甘ーいあんただって、きっとそう思うよ」と。
 
 人が傷つく顔、怒る顔、苦痛に歪む顔…
 人のネガティブな感情に敏感過ぎて、心を病んで医師を辞めたシノブには理解しがたい“可愛さ”だ。

 奴隷として完璧、なんて、傲慢で、ただ可哀想なだけじゃないか、と。

 でも、今ならミツキの話した意味が分かる。
 
 口では、嫌だ、と言いながら、無自覚に相手を煽り、無理矢理させられている風を装いながら、相手を常に優位に立たせて淫らに誘う。
 
 純粋無垢な顔で恥じらうが、口淫も大好き。
 
 声や仕草、身体の感度も抜群だ。
 
 だからといって、計算ずくの言動にも見えないのが不思議だ。
 本音と建前が、複雑に入り交じっている。
 
 不条理に虐げられて抑圧され、でも本能に逆らえずに押し流されて理性が壊れ、淫魔のごとき姿を晒す様は、実に可哀想だ。
 
 そして、とてつもなく可愛い。
 

 未だかつて、これほど支配欲を煽られたことはない。この男を、縋り付いて泣かせてみたい。
 
 
 
「ヨダカくんに挿れてもいいのかな」
 
 十分な硬さで上を向いたペニスを握り、潤んだ目でシノブを見上げたヨダカは、暫く逡巡したが、唇を噛んで僅かに首を振る。
 
「そっか、残念。君としたかったな」
 シノブはそう言うと、まあ仕方ないねと笑う。

 
 奴隷相手なのに、ヤラせろよ!と押してこないシノブに、ヨダカは逆に困惑する。
 
 でも、考えてみればそうだ。
 ミツキの依頼を渋々受けたに違いないのに、俺なんかとは…、奴隷ごときとは、やっぱりヤりたくないだろう。
 
 当たり前だ。
 誰でも彼でもヤりまくっているような奴なんて、誰だって普通、嫌に決まっている。
 
 ましてや、シノブは多分、超絶男前だ。

 マスクをしていても分かる涼しい目元、溢れる色気、鍛えられた身体、落ち着いた言動。

 男も女も、誰だって選び放題だろう。

 何が悲しくて、俺みたいな奴を相手にしなきゃいけないというのか。
 
 いや、……………………頭では分かっている。
 
 そもそも、ヤリたい、と言われたのに断ったのは自分で、シノブはそれを文句1つなく承諾した、それだけ。
 
 卑屈なのは自分だ。
 分かってる。
 ……………分かっている。
 
 でも、今日は自分が必死に我慢しているだけに、じゃあいいや!とあっさり言われて、何だか無性に悲しかった。
 
 こんなにヤリたいのは自分だけで、誰も自分を強く求めてくれないことが悲しい。
 
 でも、そんな勝手なこと、言えるわけがない。
 
「申し訳、ありません…」
今日はまだ…、準備が……その、……クチでなら、っ
 
 謝りつつ、クチで奉仕したいと提案するヨダカに、シノブは笑って首を振る。

 首から下げたゴールドの華奢なネックレスがキラキラ輝いた。
 
「我慢出来なくなっちゃうよ、俺。俺は客じゃないし、自分で処理するよ。フェラすごく上手だった、ありがとう」
 
「申し訳、ありません………」
 
 ヨダカが名残惜しそうにシノブのペニスから手を離すと、かわりに、シノブの大きな手が、立派に屹立した自らを撫でる。
 
 ヨダカは、それを眼前で見せつけられ、口内にじゅるじゅると溢れ出てくる唾を、ごくりと飲み込んだ。
 
 シノブが亀頭を掌でぐりぐりと撫でて先端を絞る。透明な粘液が、こぷこぷと溢れ出していく。

 茎を扱くシノブの悩ましい声が頭上から聞こえた。

 ぷるんと笠の張った亀頭、血管がバキバキに浮いた陰茎、それを握る褐色の手、肌を滑る汗、膨らんだ睾丸。扱くほどに滴る先走りが、シノブが自慰する指を濡らす。
 
 ああ、なんて気持ちよさそうなんだろう。
 
 見上げるヨダカは目が離せない。
 シノブの息が次第に荒くなり、クッと唇を噛む…白い歯が覗く。
 
 ああ、いきそうかな、
 もう出ちゃうかな、ああぁッ、
 
「あっ、ああ、……」
 思わず口走って、胸が苦しくなる。
 
 出さないで欲しい、イかないで欲しい、
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

あの部屋でまだ待ってる

名雪
BL
アパートの一室。 どんなに遅くなっても、帰りを待つ習慣だけが残っている。 始まりは、ほんの気まぐれ。 終わる理由もないまま、十年が過ぎた。 与え続けることも、受け取るだけでいることも、いつしか当たり前になっていく。 ――あの部屋で、まだ待ってる。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

敗戦国の王子を犯して拐う

月歌(ツキウタ)
BL
祖国の王に家族を殺された男は一人隣国に逃れた。時が満ち、男は隣国の兵となり祖国に攻め込む。そして男は陥落した城に辿り着く。

処理中です...