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かすみ
全部、嘘
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私の鼻をすする音だけが、狭い部屋に虚しく響いていた。それが間隔を開け小さくなったのを見計らって、悠馬が口を開く。
「別れたくない、嫌われたくないから、付き合いたくないって。言ってる意味全然わかんねえ」
わかってくれなくていい。自分だって自分がどうしたいのかわからないのだから、悠馬にわかるはずがない。
「だって、かすみは俺のこと、好きなんだろ?」
確信を持った悠馬の一言。
恥ずかしくて、怖くて、惨めで、涙が止まらなくて、一層顔が上げられなくなる。
そうだ。バレてしまった。見られてしまった。
別れた当時そのまんまの、悠馬との思い出に溢れている私の部屋を。悠馬に未練たらたらだっていうのが全面に押し出された私の部屋を。
絶対に知られたくなかった。だから適当に嘘をついて、悠馬の家からたった一駅の距離だというのに、私の部屋には来させないようにしていた。
「かすみが何か隠してるっていうの、なんとなくわかってた。でもそれがなんなのかイマイチ確証が得られなくって。かすみの反応を伺って、強引に本音を引き出す様なことした。家も、やたらはぐらかすから絶対なんかあるんだって。それで今日、バレない様に追ってきたら、家変わってないし。それでピンときた。秘密を無理矢理暴くようなことして、ごめん。でも俺も引き下がりたくなかった。隠したかったのは、俺への気持ち?」
悠馬を忘れるために、前に進むために、全部捨てるって決めた。
手始めに、付き合う前に友達経由で聞いていた悠馬が好きだというストレートロングヘアをばっさり切った。はさ、はさと床に落ちていく毛束を見ていると、心がすっと軽くなった様な気がした。パーマもかけると、鏡にはまるで別人の自分がいた。
でも、それだけだった。結局それから先、私は何一つ捨てることが出来なかった。
誕生日にくれたお財布も、二人で買ったマグカップも食器も、ゲーセンで取ってくれたぬいぐるみも、悠馬の為に買った枕も、悠馬の置いていったTシャツも。全部、笑っちゃうくらいに全部。捨てようとして、手が震えて、力が入らなくなって、動けなくなって、捨てることを諦めた。
どうしたって、捨てたい気持ちよりも捨てたくない気持ちの方が強かった。
悠馬の察してる通り、再会だって偶然じゃない。自分の期待する偶然なんてもの、そう簡単に起こらない。起こらないから、偶然って言うんじゃん。偶然よりももっともっと起こらないのは、奇跡。その奇跡が必然的に起こったとしたら、それは運命になる。
「俺もかすみが好きだ。それじゃあ、だめなのか?」
「やめて、やめてよ!そんなの嘘に決まってる。そんなの、聞きたくない」
「嘘でこんなこと言わない。本当にかすみのことが好ー」
「だから!……それが嘘なの!」
今、悠馬が恋愛感情を抱いているのは、嘘の私だ。
悠馬に対して恋愛感情を抱いていない、趣味の合う、セックスもできる、一緒にいて気を使う必要のない、悠馬にとって都合のいい私だ。
悠馬のことが病的に大好きでどうしようもなく恋愛脳な、本当の私じゃない。本当の私はずっとヘラヘラ笑うことなんてできない。週に一回のメールやセックスで満足できるような女じゃない。
本当の私は、いちいち悠馬の行く所やること交友関係全部が気になって過剰に束縛して理不尽な不満をぶつけるような、どうしようもなく重くて面倒臭い女だ。
「悠馬が好きになった私は、全部、嘘。悠馬に嫌われたくなくて、そう演じてた私だよ」
悠馬が好きになったのは、悠馬に好かれるために作った嘘の私。
もう、そういうのはやめたかった。そんなことを続けるのが、虚しくなった。
本当の、ありのままの自分になりたかった……!!
※ ※
変わりたいって思うのにどうしても踏み出せなくて。意志の弱すぎる自分では、自分に終止符を打つことができなくて。
だから、悠馬にどうにかして欲しかった。
もう一度、悠馬に直接振ってほしかった。私の居場所なんてもうないんだって、きっぱり拒絶してほしかった。
会えなければ会えないで良かった。
悠馬は同じ所に住んでるかもしれないし、とっくに引っ越したかもしれない。職場だってそう。別れてから私達は一切連絡を取っていないし、共通の友人とも疎遠になった。SNSなんてものも悠馬はしていないから、近況を知る術は何もなかった。
でも、悠馬はまだ同じところに住んでいて、同じ職場で頑張ってるような気がしていた。別れてもなお未練たらたらな元カノの、単なる勘と言ってしまえばそれまでなんだけど。でも何となく、そうだという確信があった。
定時で退社して、目的の場所へと急ぐ。何の偶然か、その日は私たちが別れた日だった。
駅に隣接しているカフェに入り、ロータリーが見渡せる窓際の席につく。バッグから文庫本を取り出し、文章を読んでいるフリをして外を見る。
会えなければ会えないで全然構わなかった。
それならメッセージを送ってもいいし、疎遠になった友人にわざわざ連絡を取ってもいい。どうとでもなる。
今日一日こうしてみて、会えなければ会えないで、全然いい。
ううん。多分、会えない方がいい。これで会えてしまったら、それこそ私の恋愛脳が歓喜してしまう。偶然を通り越して、奇跡だ、運命だとこじつけてしまう。
会えない方が、いい。
だったらこんなとこにいないで帰ればいいのに、ロータリーに行き交う人達から目が離せない。今日だけだからと、今日会えなかったら諦めるからと、自分自身に言い訳して。
会えない方がいい。会えない方が絶対に、いい。会えない方がーー
※ ※
「……悠馬が好きになったのは、嘘の私。別れて三年も経つのに悠馬との思い出を何一つ捨てられなくてずっとずっと悠馬のことを忘れられない未練がましい重い女が、本当の私。そういうこと。見て、わかったでしょ?」
私の部屋を目の当たりにして、私の気持ちを知って。
悠馬は何を思っただろう。
ドン引きしてる。気持ち悪いと思ってる。私の行き過ぎた思いを怖いと、身の危険を感じているかもしれない。勘違いで浮ついていた感情も急速に冷え込んで、もう二度と私とは関わりたくないと思っている。
絶対そうに、決まってる。
ーーあの日、会えてしまったのがいけなかった。
人混みの中に悠馬の姿が見えた瞬間、当初の目的も何もかも全部忘れて、カフェを飛び出していた。
何を話したとか、全然覚えてない。
ただ、偶然に見えるように、普通に見えるように。笑え。笑って、全てを隠せ。そう何度も何度も自分に言い聞かせたことだけ覚えている。
悠馬を視界に捉えた瞬間から、私の胸の内は色の違う様々な感情で激しく吹き荒れ、混沌と化した。
会えて嬉しいと抱きつきたかった。ずっと寂しかったと泣いてしまいたかった。ふざけるなと怒りをぶつけたかった。
でも、私に名前を呼ばれ振り返った悠馬が私を認識したときに見せた顔。その若干マイナス寄りの表情が、ぎりぎりの所で私の頭を冷静にさせた。
悠馬は私のことを好きじゃない。それが分かったから、平静でいられた。
悠馬にきっぱりと振ってほしかった。お前なんてもう好きじゃない。お前のことなんてすっかり忘れていたし思い出したくもないって、面と向かって言い放ってほしかった。それで全部、終わらせて欲しかった。
なのに会った瞬間から、あともう少し、あともう少しだけって、往生際悪く欲張りな自分が顔を見せて、気が付けば少しでも長く悠馬と一緒にいられるにはどうしたらいいかを、必死になって模索していた。
無意識のうちに、悠馬に嫌われないようにって、本当の自分を隠していた。
会った時に、全部悠馬にぶつけていればよかったんだ。
泣きながら悠馬を罵倒してぎゅうぎゅうに抱きついて、縋って。
そうしたら、いきなり現れた元カノの異常な行動に、悠馬はドン引きして恐怖すら抱いて、その場でばっさりと切り捨てられていたはずだ。
あの時、欲を出したのがいけなかったんだ。
だから私は今も、変われない。悠馬といると、変われない。
「別れたくない、嫌われたくないから、付き合いたくないって。言ってる意味全然わかんねえ」
わかってくれなくていい。自分だって自分がどうしたいのかわからないのだから、悠馬にわかるはずがない。
「だって、かすみは俺のこと、好きなんだろ?」
確信を持った悠馬の一言。
恥ずかしくて、怖くて、惨めで、涙が止まらなくて、一層顔が上げられなくなる。
そうだ。バレてしまった。見られてしまった。
別れた当時そのまんまの、悠馬との思い出に溢れている私の部屋を。悠馬に未練たらたらだっていうのが全面に押し出された私の部屋を。
絶対に知られたくなかった。だから適当に嘘をついて、悠馬の家からたった一駅の距離だというのに、私の部屋には来させないようにしていた。
「かすみが何か隠してるっていうの、なんとなくわかってた。でもそれがなんなのかイマイチ確証が得られなくって。かすみの反応を伺って、強引に本音を引き出す様なことした。家も、やたらはぐらかすから絶対なんかあるんだって。それで今日、バレない様に追ってきたら、家変わってないし。それでピンときた。秘密を無理矢理暴くようなことして、ごめん。でも俺も引き下がりたくなかった。隠したかったのは、俺への気持ち?」
悠馬を忘れるために、前に進むために、全部捨てるって決めた。
手始めに、付き合う前に友達経由で聞いていた悠馬が好きだというストレートロングヘアをばっさり切った。はさ、はさと床に落ちていく毛束を見ていると、心がすっと軽くなった様な気がした。パーマもかけると、鏡にはまるで別人の自分がいた。
でも、それだけだった。結局それから先、私は何一つ捨てることが出来なかった。
誕生日にくれたお財布も、二人で買ったマグカップも食器も、ゲーセンで取ってくれたぬいぐるみも、悠馬の為に買った枕も、悠馬の置いていったTシャツも。全部、笑っちゃうくらいに全部。捨てようとして、手が震えて、力が入らなくなって、動けなくなって、捨てることを諦めた。
どうしたって、捨てたい気持ちよりも捨てたくない気持ちの方が強かった。
悠馬の察してる通り、再会だって偶然じゃない。自分の期待する偶然なんてもの、そう簡単に起こらない。起こらないから、偶然って言うんじゃん。偶然よりももっともっと起こらないのは、奇跡。その奇跡が必然的に起こったとしたら、それは運命になる。
「俺もかすみが好きだ。それじゃあ、だめなのか?」
「やめて、やめてよ!そんなの嘘に決まってる。そんなの、聞きたくない」
「嘘でこんなこと言わない。本当にかすみのことが好ー」
「だから!……それが嘘なの!」
今、悠馬が恋愛感情を抱いているのは、嘘の私だ。
悠馬に対して恋愛感情を抱いていない、趣味の合う、セックスもできる、一緒にいて気を使う必要のない、悠馬にとって都合のいい私だ。
悠馬のことが病的に大好きでどうしようもなく恋愛脳な、本当の私じゃない。本当の私はずっとヘラヘラ笑うことなんてできない。週に一回のメールやセックスで満足できるような女じゃない。
本当の私は、いちいち悠馬の行く所やること交友関係全部が気になって過剰に束縛して理不尽な不満をぶつけるような、どうしようもなく重くて面倒臭い女だ。
「悠馬が好きになった私は、全部、嘘。悠馬に嫌われたくなくて、そう演じてた私だよ」
悠馬が好きになったのは、悠馬に好かれるために作った嘘の私。
もう、そういうのはやめたかった。そんなことを続けるのが、虚しくなった。
本当の、ありのままの自分になりたかった……!!
※ ※
変わりたいって思うのにどうしても踏み出せなくて。意志の弱すぎる自分では、自分に終止符を打つことができなくて。
だから、悠馬にどうにかして欲しかった。
もう一度、悠馬に直接振ってほしかった。私の居場所なんてもうないんだって、きっぱり拒絶してほしかった。
会えなければ会えないで良かった。
悠馬は同じ所に住んでるかもしれないし、とっくに引っ越したかもしれない。職場だってそう。別れてから私達は一切連絡を取っていないし、共通の友人とも疎遠になった。SNSなんてものも悠馬はしていないから、近況を知る術は何もなかった。
でも、悠馬はまだ同じところに住んでいて、同じ職場で頑張ってるような気がしていた。別れてもなお未練たらたらな元カノの、単なる勘と言ってしまえばそれまでなんだけど。でも何となく、そうだという確信があった。
定時で退社して、目的の場所へと急ぐ。何の偶然か、その日は私たちが別れた日だった。
駅に隣接しているカフェに入り、ロータリーが見渡せる窓際の席につく。バッグから文庫本を取り出し、文章を読んでいるフリをして外を見る。
会えなければ会えないで全然構わなかった。
それならメッセージを送ってもいいし、疎遠になった友人にわざわざ連絡を取ってもいい。どうとでもなる。
今日一日こうしてみて、会えなければ会えないで、全然いい。
ううん。多分、会えない方がいい。これで会えてしまったら、それこそ私の恋愛脳が歓喜してしまう。偶然を通り越して、奇跡だ、運命だとこじつけてしまう。
会えない方が、いい。
だったらこんなとこにいないで帰ればいいのに、ロータリーに行き交う人達から目が離せない。今日だけだからと、今日会えなかったら諦めるからと、自分自身に言い訳して。
会えない方がいい。会えない方が絶対に、いい。会えない方がーー
※ ※
「……悠馬が好きになったのは、嘘の私。別れて三年も経つのに悠馬との思い出を何一つ捨てられなくてずっとずっと悠馬のことを忘れられない未練がましい重い女が、本当の私。そういうこと。見て、わかったでしょ?」
私の部屋を目の当たりにして、私の気持ちを知って。
悠馬は何を思っただろう。
ドン引きしてる。気持ち悪いと思ってる。私の行き過ぎた思いを怖いと、身の危険を感じているかもしれない。勘違いで浮ついていた感情も急速に冷え込んで、もう二度と私とは関わりたくないと思っている。
絶対そうに、決まってる。
ーーあの日、会えてしまったのがいけなかった。
人混みの中に悠馬の姿が見えた瞬間、当初の目的も何もかも全部忘れて、カフェを飛び出していた。
何を話したとか、全然覚えてない。
ただ、偶然に見えるように、普通に見えるように。笑え。笑って、全てを隠せ。そう何度も何度も自分に言い聞かせたことだけ覚えている。
悠馬を視界に捉えた瞬間から、私の胸の内は色の違う様々な感情で激しく吹き荒れ、混沌と化した。
会えて嬉しいと抱きつきたかった。ずっと寂しかったと泣いてしまいたかった。ふざけるなと怒りをぶつけたかった。
でも、私に名前を呼ばれ振り返った悠馬が私を認識したときに見せた顔。その若干マイナス寄りの表情が、ぎりぎりの所で私の頭を冷静にさせた。
悠馬は私のことを好きじゃない。それが分かったから、平静でいられた。
悠馬にきっぱりと振ってほしかった。お前なんてもう好きじゃない。お前のことなんてすっかり忘れていたし思い出したくもないって、面と向かって言い放ってほしかった。それで全部、終わらせて欲しかった。
なのに会った瞬間から、あともう少し、あともう少しだけって、往生際悪く欲張りな自分が顔を見せて、気が付けば少しでも長く悠馬と一緒にいられるにはどうしたらいいかを、必死になって模索していた。
無意識のうちに、悠馬に嫌われないようにって、本当の自分を隠していた。
会った時に、全部悠馬にぶつけていればよかったんだ。
泣きながら悠馬を罵倒してぎゅうぎゅうに抱きついて、縋って。
そうしたら、いきなり現れた元カノの異常な行動に、悠馬はドン引きして恐怖すら抱いて、その場でばっさりと切り捨てられていたはずだ。
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だから私は今も、変われない。悠馬といると、変われない。
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