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大好きな幼馴染が勇者になったので

アン(4)

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「ヒューゴ!お願い!私も連れてって!」

 準備を整えそろそろ出立しようとするヒューゴの腰に、力一杯抱きついた。

「おい、離せよ。馬鹿言ってんじゃねーよ。そこら辺に遠足に行くんじゃねーんだぞ!?お前なんてすぐに魔物に食われちまう。大人しく村にいろよ」

 ヒューゴが引き剥がそうと頭をぐっと掴んでくるけど、抱きついた腕にさらに力を込め必死に抵抗する。絶対に、意地でも、死んでも離してやるものか。

「お願い!絶対に邪魔しないから!魔物が来たら逃げるし!絶対迷惑かけないから!」

「いや、そんなん言っても無理なんもんは無理だから。諦めろ」

「嫌!絶対嫌!ヒューゴと離れたくない!!お願い!荷物持ちでも雑用でも何でもする!!私、ヒューゴについていきたい、側にいたい!ヒューゴがいないと私死んじゃう!」

「んな大袈裟な、たかが2年くらいだろ」

 ヒューゴが呆れたように息を吐く。
 ヒューゴにとってはたかが2年でも、私にとっては気が遠くないそうなほど、死んじゃいそうなほどに2年は長い。
 1年でも、1ヶ月でも、1週間だって長い。

「……ふーん、でも、なんでもする、ねぇ」

 私を引き剥がそうとするヒューゴの手がフッと緩んだ。

「……じゃあ、性欲処理係としてなら連れてってやるよ」

 その言葉にガバッと顔を上げ、下から真っ直ぐにヒューゴを見つめる。

 ヒューゴはニヤニヤと目を細めていて、不遜な笑みを浮かべている。完全に私を揶揄ってる顔だ。
 そんなことは出来ないと、私が言うと思っているんだろう。私を諦めさせる為に、そんな試すような事を言ってるのだろう。

ーーでも。

「ありがとう!!私足手まといにならないように頑張るね!!」

 満面の笑みを浮かべてそう言うと、ヒューゴは目を見開いたまま固まった。

 甘い!甘すぎる!!
 私がヒューゴのことをどれ程好きだと思っているのだ。そんなものただのご褒美じゃん!喜んで、尻尾振って、ヒューゴの性欲処理係になりますとも!
 内心してやったり!とガッツポーズを決める。

 ヒューゴが発言を撤回する前に、事前に用意していたリュックサックを背負って、私はヒューゴと供に村を出た。


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