放浪戦記

アブナイ羊

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幼少期 盗賊団時代

魔術に対する考え方

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「おらあああああああ!!邪魔だどけぇ!!あー、きもちいー!!!」

うるさい。耳がガンガンする。原因は隣でさわぐアルトのせい。

今日は魔術の練習を始めてから数えて初めての仕事の日。アルトもわたしも1つも魔術を習得出来ていなかった。
魔術の習得は、目標物の藁の束に手を向けて、ひたすら手から火が発射されるイメージをし続けるだけの内容だ。ただし、習得するまでずっとそれを続けなければならない。朝から晩まで一日中集中し続けるのだから、夜にはもうへとへとだし、次の朝もそれをやるのだから気が滅入る。
一つ魔術を覚えられればあとはそれを応用するだけだからあとは楽なのだが、そこまでいくのが本当に辛い。
そんな理由でたまったストレスをわたしたちは仕事にぶつけていた。

「あぁ~!!最ッッッ高!ひゃっほー!!」

うるさいなぁ。って、あれ?この声、アルトじゃない。

「ひゃっはー!!」

またこの声………あ、これわたしだ。無意識のうちに、アルトと同じことしてたんだ。
先輩たちにもあたたかい目で見られてるし。…恥ずかし。

振り下ろされた剣を避け、懐に飛び込んで恥ずかしさを誤魔化すように剣を振るう。決して殺してはいけない。殺すと衛兵が本腰をいれて盗賊団を潰しに来るから。
ぶしゅ、と斬りつけた腕から血が飛んだ。







「俺もそんな無茶なことしたなぁ」

無茶のせいで怪我をした部分に包帯を巻いてくれている先輩が懐かしむように言った。私だって、いつもだったらわざわざ敵のど真ん中に突っ込んで「ひゃっはー!!」なんてしない。…嘘じゃないって、ほんとほんと。それもそれも、言うことを聞かない魔素のせいだ。

「俺じっとしてるのが苦手でよ?練習中すげーイライラしてて仕事で今日のお前らみたいにイライラを仕事にぶつけたことがあったんだ。ずっと動かない魔術の練習なんてやってられるか!ってな。
そしたら、力加減間違えてぶっ殺しちまったんだよ。いやー、今でもあれは爽快だったと思うが、その後始末が大変だったんだ。ま、そんな俺と比べればお前らは上出来だよ。あんま気にすんなや」

そんな話を聞くと、今日の失態もたいした失態でない気もしてきた。いや、実際たいしたことないのかもしれない。うん、大丈夫だろう。
ちなみに、私の目の前で私の足の切り傷に包帯を巻いてくれている先輩は魔術を一つも使えない。魔素を感じることまでは出来たものの、習得のところでつまづいたらしい。

「わたしも魔術くらい使えなくてもいいかなぁ?」

そう言うと、先輩は少し考え込んだ。

「う~ん、場合によるなぁ。俺は風属性でな、風属性の魔術ったら、ほとんど攻撃にしか使えんのよ。いや、風属性の魔術が無能って訳じゃないぞ。俺の場合はこの剣があるからな。俺にはそんなに必要ないって判断しただけだ。
だけど、お前は火属性だろ?火属性の魔術は範囲攻撃に優れているが、攻撃魔術だけじゃない。薪に火をつけるのはもちろん、湯を直接沸かしたり、暗闇に明かりを灯したりできる。つまり、火打ち石やランタンを持ち歩かなくて済むんだ。」

でもそれって本当なのかな?盗賊団で火をつけるときっていったらアジトに居る時だけだし、アジトには火打ち石もランタンもある。魔術を習得しても、攻撃にしか使わないんじゃあ?
と、ここまで考えてふと脳裏をよぎったものがある。盗賊団に所属していない人を基準に話しているんだこの人は、と。そうだ、旅をしている人だったら、火打ち石やランタンを持ち歩かなくてはいけない。つまり、わたしはいつか旅をすることを示唆している?
…いや、まさか。私の考えすぎか。

「よし!これで治療は終わりだ。動いてもいいが、あんまり激しく動くんじゃないぞ。」
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