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幼少期 盗賊団時代
ハンナ④
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ハンナ視点です。
近接戦闘のことを全く知らないハンナの情景をどう表現したらいいか分からず、下手な描写になっていると思います(笑)。すみません
ーーーーーーーー
私は幼い頃、ラヴィさんに大きくなったら剣を持って戦うんだと言われました。剣を持って戦ったら、ドジな私は絶対怪我をするに決まっています。
そこで、どうしたら痛い思いをしなくて済むかを考えました。そうだ、後ろから魔術を撃っていればいいんだ、と。
それから私は、夜にみんなに隠れてこっそり魔術の練習をしていました。なにも知らなかった私はがむしゃらに魔術のイメージをし続けるだけだったのですが、ある日突然成功したんです。
次の日にリーダーのケルヴィンさんに特技を見せにいくと、とても驚かれたのを今でも覚えています。
そして農作業の手伝いはもうしなくていいよと言われ、かわりに一日中魔術の練習をさせられました。
これだけしていれば辛い農作業はしなくて済むし、なにより魔術を使いこなせば仕事で怪我もしなくて済むと思えば何も苦に感じませんでした。
ある日、魔術の練習も兼ねて料理で使う野菜を風の刃で切っていたとき。操作を誤って自分の指を切ってしまったことがありました。
風の刃は鋭く、人差し指の骨が見えるくらい深く切れていました。血がドパドパとでて、とても怖かった。とても痛かった。
それから私は、この風の刃で切られた人のことを考えてしまうようになりました。
とても痛いんじゃないか。たくさん血が出て、怖いんじゃないか。仕事のときは指なんかじゃなく、腕や足を切るはず。そしたら、もっともっと痛いんじゃないか。
そんな考えが寝ても覚めても頭から離れなかったのです。
そして私は今、アルトさんと斧を持った怖そうな人が戦っているのを見ています。ラヴィさんが後ろから抱きつくようにして私の腕を掴んでいます。
「逃がさないぞ」と言われているようで、正直怖いです。
私の役目はあの斧を持った人を攻撃すること。それはわかってます。でも、やっぱり怪我をしたら痛いんです。
ガイィィン!!
大きな金属音がしてアルトさんの剣が上にはね上がった時、ラヴィさんが私に指示をしました。
「今!撃って!」
ドクン、と心臓がはね上がる音が聞こえました。あの人を、傷つけるんだ。痛い思いをさせるんだ。かわいそう。私には無理だ。
そう思って、ラヴィさんに「できない」と伝えようとしたのですが、混乱した私の口からは意味のない音の羅列しか出ませんでした。
「あ、えと、え…」
直後、ガン!!という音をたてて剣と斧がぶつかった。アルトさんがお腹めがけて振られた斧を剣で止めたんです。
そして私が指示に従わなかったからか「チッ」と小さく舌打ちが聞こえました。今までラヴィさんの悪感情なんか見たことなかった私は罪悪感にかられました。
次は、魔術を撃たなきゃ。ラヴィさんに嫌われちゃう。
そんな強迫観念にも近い感情を持っていた。
何回か剣と斧がぶつかりアルトさんが大きく横に剣を振った時、ラヴィさんがまた指示を出しました。
「撃って!!」
さっきよりも強い口調。私の口からは思わず悲鳴が漏れ出たが、ラヴィさんに聞こえていないことを祈る。
今度はちゃんと魔術を撃てました。
よかった…と安堵したのもつかの間、放った風の刃が斧を持った人の足に向かっていることに気付きました。大声にビックリして多めに魔素を込めてしまったから、きっと威力もあがっている。もしかしたら、足がまるごと切断されてしまうかも。
そうなったらきっと、あの人は仕事を失って。いずれ貯金も尽きる。周りの人には見放され。一人寂しく死んでいく?
そんなの、私だったら絶対に嫌!ラヴィさん、ごめんなさい。私はまた失敗します。どうか、怒らないで。
私は飛んでいく風の刃を操作して、左手に持っている盾にぶつけました。盾は刃の形にえぐれていますが、あの人には怪我はなさそう。
と安堵していると、斧を持った人にたくさん攻撃されているアルトさんの必死に助けを求める声が聞こえた。
わ、私の…せい?……私の、せいだ。
そうだ。剣のことなんて知らない私でも、なんとなく分かる。アルトさんが剣を横に大きくぶん回したのはきっと、私が魔術を当てられるよう、あの斧を持った人に隙を作るためだ。
だって普通、あんな重い剣をおもいっきり振り回したりしたら、剣に振り回されてまともに動けなくなるに決まってる。
そんな愚行をわざわざやったのは、私のためだ。それを私は……私は…。
なんて馬鹿なことをしたんだろう。
ああ神様。こんな馬鹿な私は、もう生きる価値なんてありません。どうか一思いに殺してください。
そう願いながら、私は杖を抱き抱えて固く目を閉じた。願わくば、次に目を開けるときは天国にいますように。
近接戦闘のことを全く知らないハンナの情景をどう表現したらいいか分からず、下手な描写になっていると思います(笑)。すみません
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私は幼い頃、ラヴィさんに大きくなったら剣を持って戦うんだと言われました。剣を持って戦ったら、ドジな私は絶対怪我をするに決まっています。
そこで、どうしたら痛い思いをしなくて済むかを考えました。そうだ、後ろから魔術を撃っていればいいんだ、と。
それから私は、夜にみんなに隠れてこっそり魔術の練習をしていました。なにも知らなかった私はがむしゃらに魔術のイメージをし続けるだけだったのですが、ある日突然成功したんです。
次の日にリーダーのケルヴィンさんに特技を見せにいくと、とても驚かれたのを今でも覚えています。
そして農作業の手伝いはもうしなくていいよと言われ、かわりに一日中魔術の練習をさせられました。
これだけしていれば辛い農作業はしなくて済むし、なにより魔術を使いこなせば仕事で怪我もしなくて済むと思えば何も苦に感じませんでした。
ある日、魔術の練習も兼ねて料理で使う野菜を風の刃で切っていたとき。操作を誤って自分の指を切ってしまったことがありました。
風の刃は鋭く、人差し指の骨が見えるくらい深く切れていました。血がドパドパとでて、とても怖かった。とても痛かった。
それから私は、この風の刃で切られた人のことを考えてしまうようになりました。
とても痛いんじゃないか。たくさん血が出て、怖いんじゃないか。仕事のときは指なんかじゃなく、腕や足を切るはず。そしたら、もっともっと痛いんじゃないか。
そんな考えが寝ても覚めても頭から離れなかったのです。
そして私は今、アルトさんと斧を持った怖そうな人が戦っているのを見ています。ラヴィさんが後ろから抱きつくようにして私の腕を掴んでいます。
「逃がさないぞ」と言われているようで、正直怖いです。
私の役目はあの斧を持った人を攻撃すること。それはわかってます。でも、やっぱり怪我をしたら痛いんです。
ガイィィン!!
大きな金属音がしてアルトさんの剣が上にはね上がった時、ラヴィさんが私に指示をしました。
「今!撃って!」
ドクン、と心臓がはね上がる音が聞こえました。あの人を、傷つけるんだ。痛い思いをさせるんだ。かわいそう。私には無理だ。
そう思って、ラヴィさんに「できない」と伝えようとしたのですが、混乱した私の口からは意味のない音の羅列しか出ませんでした。
「あ、えと、え…」
直後、ガン!!という音をたてて剣と斧がぶつかった。アルトさんがお腹めがけて振られた斧を剣で止めたんです。
そして私が指示に従わなかったからか「チッ」と小さく舌打ちが聞こえました。今までラヴィさんの悪感情なんか見たことなかった私は罪悪感にかられました。
次は、魔術を撃たなきゃ。ラヴィさんに嫌われちゃう。
そんな強迫観念にも近い感情を持っていた。
何回か剣と斧がぶつかりアルトさんが大きく横に剣を振った時、ラヴィさんがまた指示を出しました。
「撃って!!」
さっきよりも強い口調。私の口からは思わず悲鳴が漏れ出たが、ラヴィさんに聞こえていないことを祈る。
今度はちゃんと魔術を撃てました。
よかった…と安堵したのもつかの間、放った風の刃が斧を持った人の足に向かっていることに気付きました。大声にビックリして多めに魔素を込めてしまったから、きっと威力もあがっている。もしかしたら、足がまるごと切断されてしまうかも。
そうなったらきっと、あの人は仕事を失って。いずれ貯金も尽きる。周りの人には見放され。一人寂しく死んでいく?
そんなの、私だったら絶対に嫌!ラヴィさん、ごめんなさい。私はまた失敗します。どうか、怒らないで。
私は飛んでいく風の刃を操作して、左手に持っている盾にぶつけました。盾は刃の形にえぐれていますが、あの人には怪我はなさそう。
と安堵していると、斧を持った人にたくさん攻撃されているアルトさんの必死に助けを求める声が聞こえた。
わ、私の…せい?……私の、せいだ。
そうだ。剣のことなんて知らない私でも、なんとなく分かる。アルトさんが剣を横に大きくぶん回したのはきっと、私が魔術を当てられるよう、あの斧を持った人に隙を作るためだ。
だって普通、あんな重い剣をおもいっきり振り回したりしたら、剣に振り回されてまともに動けなくなるに決まってる。
そんな愚行をわざわざやったのは、私のためだ。それを私は……私は…。
なんて馬鹿なことをしたんだろう。
ああ神様。こんな馬鹿な私は、もう生きる価値なんてありません。どうか一思いに殺してください。
そう願いながら、私は杖を抱き抱えて固く目を閉じた。願わくば、次に目を開けるときは天国にいますように。
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