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2 おじ専
しおりを挟む「結局1週間お見合い無かったなぁ~・・・」
自室でベットに腰を掛け、クッションを持ってため息を吐いた。
「(あー・・・、ここの世界のおじさま達みんなカッコいいんだよ~っっっ!!結婚するなら最低でも40歳以上が良いよーっっ!!!あーっっっっ!!!私のお爺さまもカッコいいんだよね~・・・。60歳までかなぁ・・・この世界の寿命も日本と同じくらいみたいだし、30年は一緒に生きれるよね?あー・・・カッコいいおじさまと恋に落ちたい・・・。)」
エミリヤは再びため息を吐いた。
そう、エミリヤは本当のオジ専であった。前世の記憶丸っと引き継いでおり、その時のおじさま萌えも見事に引き継いでしまった。前世ではオジ専故に近い年齢の男性と付き合わず、仕事で会ったお得意様のおじさまで付き合っている妄想をしたりしていた。しかし、世の中のイケオジは既婚者である。オジ専だが不倫は絶対ダメ!な道徳的である彼女は結局前世では誰とも付き合った事は無かった。
(この世界は貴族が愛人を囲うのは政略結婚を円満にする為に良しとされている。確かに好きでない人間と結婚させられたら、愛人を持つのは仕方ないとエミリヤは納得している。)
前世は乙女ゲームや漫画の脇役のイケオジに妄想を膨らませ生きていた。
27歳で仕事帰りの暗がりの道で暴漢に襲われてナイフで刺され亡くなったのだが、その時にすぐ気が付き大声を上げてくれ、警察と救急車を呼び来るまでずっと手を握り励まし続けてくれた人がいた。
彼女のドストライクの紳士な雰囲気の渋い顔立ちにイケメンのおじさまだった。励ましてくれる声も彼女的に『耳が幸せ』な声質であった。
「(死ぬ前にイケオジが来てくれたのは、前世の唯一の春だったわ~。あのおじさまが私の王子様だった・・・。あのおじさまに愛されたい人生だった・・・。ーーまぁ、既婚者だっただろうし、あの別れで良かったんだろうね。報われない恋ツライもんね)」
残念系美少女エミリヤは済んだ過去には楽観的思考である。
エミリヤは死ぬ前に嗅いだおじさんの香水の香りが忘れられず、様々な香水店に行ったがこの世界には無かった。そして、その執念は今や前世の知識で香水を作る様になり父親が商会と提携して販売し王都では爆発的人気を得ている。
「(あの香り作ったらベッドにかけて毎日抱かれている様な気分味わえるのにっっっ!!)」
ひとしきりベッドの上で身悶えていたエミリヤは、思い出した様に父親が作ってくれたオイル研究部屋に向かって行った。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢
オイル研究部屋で黙々と調合を続けるエミリヤ。今日の天気は快晴であるがエミリヤは香水の事以外であまり外出はしない。たまに出る時はイケオジがいる可能性の高い夕方以降の劇場位である。
お茶会は誘われてもカッコいい父親かカッコいい執事長が居るか居ないかで決めている。大抵お茶会の時間家の主人は仕事で居ないし、執事長は茶会の給仕をしない。そのため招待を受けた家に主人がその日休みでいるかを事前に調べている。
その為、エミリヤをお茶会に招待して来た家は繁栄するという訳の分からないジンクスが生まれてしまった。
しかし、意外と事実でありエミリヤがお茶会に行った家はその後事業がうまく行ったり、ギクシャクしていた家族が円満になったりとするのである。
それもその筈、家の主人がいた場合あまりにもお近付きになりたいエミリヤが話す口実にその家の事業について語り合い、前世のヒントを出す為あっという間に事業が軌道に乗るのだ。円満になるのはエミリヤの幸運の噂を知り会ってみたいと、普段休日も仕事をする者や家に居づらくて外出する者がエミリヤに会う為に家に留まり家族と交流する様になる為、自然と会話が増えてわだかまりがなくなり円満になるのである。
家格で絶対来いといったニュアンスを含ませた招待状が届く事もあるが、ハブられても生きていけるエミリヤは我関せずであった。
その親が圧力を掛けて万が一家に不幸があっては堪らぬと断られて娘が癇癪起こそうが、その親は完全無視を決め込む為今までエミリヤの父親に迷惑が掛かった事はない。
父親も妻が身体を壊してからあまり社交の場には縁がなく、エミリヤが「え?別に行かなくても(生きていけるから)問題ないよ?」と言われれば「そういうものなのか」と気にしない様な上昇志向の無い父親であった。
父親の専属執事は何度かエミリヤの茶会に関して意見した事があったが、執事の奥さんにあげて欲しいとエミリヤ特製貴族で流行りの一番良い香水を贈ったら見事買収されてしまい口を閉じた。
そして奥さんとは今まで以上に幸せな毎日を過ごしているらしい。
そのエミリヤの恩恵を得た家はエミリヤとその後も交流を持つが、エミリヤがイケオジと結ばれる事はない。
「あー・・・。どっかにカッコいいおじさま落ちてないかな~・・・。」
無意味な事を呟き今日も香水の調合を行い続ける。
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