【一章完結】宝箱に転生してしまった!!・・・愛犬が。ーーえ?俺は転移して来たただの一般人です。

カイナルミ

文字の大きさ
5 / 31
第1章 冒険者になってシロをもふもふに戻したい!

5 俺、雑魚過ぎじゃね?

しおりを挟む






取り敢えず2人は魔力が少なくなっているらしいので矛牛テイルの死骸を処理したら休憩後、上の出口から外に出る事になった。
シロが吐き出した俺の武器は壁に刺さっていたが、アクスの手を借りてなんとか抜くことが出来た。矛牛テイルの死骸は討伐証明部位以外も高く売れるらしいので、無一文の俺は少しでも金になる物を持って帰ろうと、シロの口に入る大きさにしてどんどんシロの中に入れていった。



 「すげーな・・・矛牛テイル持って帰る冒険者は基本、大人数で討伐するからみんなでバラして個々に持って帰るから持てるんだけど・・・まさかシロが収納バックと同じ性能持っているとはなぁ~・・・相当楽だな」


アクスも手伝ってくれ、だいぶん早く片付きそうだ。ミラは討伐部位のツノを撫で回している。矛の様になっていた尻尾は千切れていてどこに行ったのか分からない。


 「最初シロの中を見た時は全くそんな感じじゃなかったんだけどなぁ」
 「宝箱だけどレベルアップしてスキル獲得したとかか?」
 「そういや、この包丁みたいな武器シロと協力してゴブリンみたいなのを倒した時に手に入れたんだが、その時レベル1上がってたな。その後トカゲみたいなのを倒したからその時上がってスキル獲得したのかも?」

 「ゴブリンが何か分かんないですけど、その武器持っているのは断魔ツマですねぇー。魔法が効かないので一般市民が倒せるとか凄いですよ!!後は闇トカゲですね!闇トカゲは光から逃げる習性があるので、照明魔法が使えれば戦わないで済むんです!!でも、油断していると背後から舌で首をぎゅーっとやられちゃうんで気をつけてくださいね♪」


いきなりミラが話に加わって来た。どうやらミラは勉強は出来るらしい。


 「なるほどな。説明ありがとな」
 「えへへへっ♪どういたしましてっ、またいつでも魔物のこと聞いてください!!」


頼られることが普段少ないのだろう、やたら嬉しそうにニヤニヤしている。うん、教本的な事は全部コイツに聞いて常識はアクスに聞こうと思う。


 「アクス、ここ初心者ダンジョンって話だったけど結構強くね?」
 「あー・・・まぁ1階~5階辺りをパーティー5人位でうろついて経験値稼いでしばらくして、5階~10階に降りるって感じだな。1階~5階の魔物はレベル1~5の魔物しか出ないんだ。ここの足跡ダンジョンだけは他のダンジョンと違ってその階層と同程度のレベルの魔物しかでねぇ。ここは16階だから大体レベル16位の魔物だな。」
 「え?じゃあ、その断魔ツマってやつや闇トカゲってのもレベル16位なのか!?」
 「そうだ。両方とも初心者抜け出した辺りに戦う魔物だからな。一般市民のセイが生き残れたのは運が良かったってこった」
 「でも、断魔ツマ倒してもシロのレベル2だったぞ?経験値強い割に少なくね?」
 「ーーシロのレベルって元々1だったのか!?1上がったって言うからてっきりシロのレベル13位かと勝手に思ってたわ・・・。セイ本当に運が良かったな・・・。普通なら絶対死んでんぞ」
 「やっぱ、レベル1のやつが断魔ツマ倒したらもっと上がるのか?」
 「そうだな・・・2人で戦っても大体レベル8になる位経験値あるんじゃねーか?まぁレベルが上がる必要経験値も人それぞれだからな・・・。シロはレベル上がりにくいんだろ。ちなみに今どれ位か分かるか?」

矛牛テイルの回収が終わり、アクス達が持っていた干物と水を貰って休憩を取る。アクスに聞かれたのでシロを膝に乗せどうやって確認すれば良いのか考えていると文字が浮かんだ。俺が見たいと思ったらシロのステータスは見える様である。


       【シロ】セイの愛宝箱
       【木の宝箱】レベル9
       【術】
        ・噛み付き
        ・捨て身タックル
        ・オウム返し
        ・吐き出し
       【スキル】
        ・異空間収納
      New・宝箱


宝箱というよく分からないスキルが気になるが、調べるのは追々にする事にした。


 「あ、やっぱ闇トカゲ倒した時にスキル手に入れてたみたいでレベルは9だってさ。矛牛テイル倒してレベル9ってめちゃくちゃ効率悪いじゃん・・・相変わらず体力とかは分かんないみたいだなぁ」

 「そういやどうやって倒したかまだ聞いていなかったな。今後の為に教えてくれねーか?」

 「それ気になってるやつぅ~!!」
 
 「あー・・・多分なんだけどシロの術に『吐き出し』ってのがいつの間にか増えてんだけど、アクスが一回俺たちに攻撃しただろ?あれ、シロが体内に攻撃回収していたんだろうな。なんか吸い込まれた感若干あったけどまさか本当に吸い込んでいるとは思わなかったな。2人が矛牛テイルのタックルで気絶してて俺も動けないから預けていた武器を投げて貰おうと思って、口から出す様に言ったんだ。そしたら尻尾咥えたまま開いている隙間から、矛牛テイルに向かってアクスから回収した電撃と俺の武器を一気に吐き出してシロが倒したみたい。シロ凄くね?お利口さんじゃね?」

 「やべぇな・・・。シロが人間ならもうBランクの冒険者にはなってんだろーな」
 「そういえばセイさんのレベルっていくつなんですか?ちなみに私は矛牛テイル倒して5つ上がって丁度20です」
 「あ、ちなみに俺はさっき3つ上がって35だ」

アクスがレベル35という事に驚いた。苦労人が祟って結果が出せていないのが手にとる様に分かって身震いした。ミラに限っては『だろうな』感しかしない。まぁ回復魔法は中級が使えるのでどんどん効率良く鍛えれば替えの効かないヒーラーになれるだろう。そこまで行くのにどれだけのアクスのフォローぎせいが必要なのだろうか・・・。

自分のレベルはどうやって調べるのかシロの様にステータスウィンドウが出るのかさえ分からない。

 「レベルの見方分かんねーのか?指先に少し魔力を込めて人差し指と親指を合わせる。んで、反対の腕とか身体の一部の上でその合わせた指を開くと出るぞ」

魔力がイマイチ分からんが何となく、言われた通りやってみると自分のステータスウィンドウが現れた。


      【セイ】シロの飼い主
        体力 75  魔力 50   力 20
      【一般市民】レベル5
      【術】ー
      【スキル】
       ・シロへの意思伝達
       ・シロの躾
       


 「おおっっ!!出たっっっ!!アクス出たぞ!!・・・え?」
 「ははは♪良かったじゃねぇか!!で、どうよ?」
 「レベルいくついくつ??」

2人の期待の眼差しに居た堪れない気分にしかならない。シロのステータスウインドウに出てなかった体力と魔力、力が載っている。体力と魔力、力の悲惨さはこの世界の基準が分からない俺でも少ないのが分かる。これは見なかった事にしてレベルだけを伝えよう。

 「・・・・・・5」
 「「え?」」

 「だから・・・レベル5なんだって。うぁぁぁぁっっっっっっ!!!なんで宝箱のシロより効率悪いんだよーーーーーーっっっっっ!!しかも別に今回のレベルアップでスキル獲得したわけじゃないみたいじゃんっっっ!!」

 「ーー2番目に書いてあるのは職業に当たるんだけど、何て書いてる?」
 「・・・一般市民」
 「あー・・・なるほどな。セイ、職業が一般市民の場合レベルが上がる必要経験値がかなり必要なんだ。冒険者になりゃレベル上がりやすくなるだろうから心配すんな」
 「一般市民でレベル5なら技もねーだろ?」
 「・・・あぁ」
 「スキルは何があるの??」
 「『シロへの意思伝達』と『シロの躾』」
 「わぁ~シロちゃん関連なんですね~♪飼い主の鑑です!!」
 「いや~♪♪そうかなぁ~♪♪」
 「勿論ですよっっ!!シロちゃんも良い飼い主さんで良かったですねぇ?」

ミラがシロを撫でると、シロは蓋をぱこんぱこんと開閉させ身体を嬉しそうに揺さぶる。シロは宝箱でも可愛い。

 「そういや報酬どうすんよ」
 「均等に3分割ですよね!!」
 「ーーあ゛ぁん?矛牛テイルの肉もセイが持ってくれるんだぞ?てめぇ・・・セイが何も知らね~からってふざけてんじゃねぇぞ、コラ」
 「ひぃ~っっっ!!ごめんなさいっっっ!!!」

アクスはヤンキーはヤンキーでも正統派ヤンキーかよ!!やっぱコイツ苦労人だわ!!マジでカッコ良い!!男は正統派ヤンキーに一度は憧れるよな~・・・。弱気を助け強気を挫く・・・かぁ~!!心までイケメンたぁ恐れ入るぜ!!まさか自分達の利益より俺の不利益を怒ってくれるなんてな。
アクスの事をこれから兄貴と呼ぼうと心に決めた。


 「アクスの事はこれから兄貴って呼ばせて貰います!!」
 「え?あ、そうか・・・?ははっ、なんか恥ずかしいな」
 「私の事はお姉ちゃんって呼んでね!!」

 「ーー報酬は均等で良いよ。お詫びのご飯もご馳走になるしな」
 「ーーそうか。お前いい奴だな・・・お前に一つ詫びなきゃなんねー事があるんだ。出会った時セイの事変質者だと思って警戒してたんだ。悪かった」

出会った辺りの自分の行動を思い出してみる。ん?宝箱のシロに頬擦りして無かったか?しかもめちゃくちゃ泣きながら・・・しかもその後包丁持って追い回したな・・・。あれ?これ変質者どころじゃなくね?・・・きっとこの世界じゃ変質者レベルだな、うん。

 「・・・宝箱持って号泣していたら変質者だわな・・・気にしないでくれ」
 「ありがとなっ!!じゃあ報酬と変質者の報告の為に帰るぞ」
 「おうっっ!!」ーーぱこん!!

背後で何かお姉ちゃんがどうとか喋りかけて来るが、無視してダンジョンを脱出した。








しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。

棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

処理中です...