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第1章 冒険者になってシロをもふもふに戻したい!
16 普通の人間ってなんなんだろうな?どうやら俺は変人らしい
しおりを挟む「ん、んん・・・」
ーーぱこん・・・ぱこん
「んん・・・シロ?んーーーん?え?」
横を向いたら美人が眠っている。全裸で。あー・・・変態ユリアナか。昨日はもうこっちに移ることにしたんだったな。
セイはまた勝手に入ってきていたユリアナを放置し、起こさないように静かにベッドを抜けた。昨日買い出しついでに防具や道具・ダンジョン内で食べる軽食などを買ったのでその防具を装着する。マリアが必要な物は経費で買って良いと言っていたが、まだパーティーメンバーとして活動していないから次から経費で買わせて貰おうと思う。ミラがやたら「なんで~?なんで~?」と経費落とさない事をしつこく聞いて来たが、アクスに頭を強く鷲掴みにされ大人しくなった。ミラは本当の姿は獣か何か人外なのかもしれない・・・。
それはさておき、今日からレベルアップとパーティーランクを上げるために連携取れる様に頑張るぞ!!弱い俺とシロだけでレベル上げするのは実際問題厳しいと思ってたんだよな~。
何気にみんなかなり強かったし、足跡ダンジョンならボスまで余裕で倒せそうだな。異世界チートは全くなかったけど、周りがチートっぽい感じだしその点はラッキーだったな。
シロを抱き抱えリビングに向かうと、アクスだけが居て朝食を用意してくれた。
「おはよー兄貴、みんなは?」
「おぅ!!セイ早いな!まだみんなは降りてきてねーよ。大体いつもこんな感じだから俺が朝食用意してんだ。ミラは起きてんじゃねぇか?もしかしたら散歩しているかもな」
「朝食ありがとうっ!!いただきまーす♪
ーーミラが散歩って意外だな・・・」
「早起きして酔っ払いが金落としていないか、早朝に散歩によく出てるぜ?」
「あぁ・・・なるほどな」
お祭りの後に小銭が落ちてる事があるけど、きっとそんな感じなんだろう。まぁ、この世界緩そうだし小銭とか拾得物横領罪とか無さそうだしな。元の世界っていうか日本で落とし物帰ってくる確率高いから、気を引き締めないとな。どの国ぐらいの犯罪発生率なのか分からないうちは、スリ・置き引き・強盗・クスリ辺りを気をつければ良いか?
「いつ行くんだ?出来れば早く行ってみたいんだけど・・・」
アクスも席につき一緒に朝食を食べ始めた。シロは隣の椅子の上で大人しくしている。
「じゃあ、ミラが朝食食べる頃に2人は降りて来なかったら3人で行くか?」
「いいのか!?」
「あぁ。いつまでもこのままダラダラやってく訳にも行かねーからな。それで文句言われても初めてセイとシロを加えてダンジョンに潜る日に寝坊する奴が悪ぃ」
「ただいまーーーーっっっ!!!あーーーーっっっ!!2人で先にご飯食べてるぅ!!酷いーーーーっっ!!先輩私の私のっっ!!」
朝から異常な位元気よくミラが帰ってきた。やはり小銭を探しに出かけていた様である。アクスが呆れながらもミラに朝食を用意して3人で食べ始めた。
「まだ2人起きて来ねーから、俺らで一回腕鳴らしに潜るぞ」
「そうなの?私はいつでも行けるよー!!」
「決定だな」
「やった!!楽しみだよ」
結局ミラが朝食を食べ終わるまで降りて来なかったので、書き置きをして拠点を出た。腕鳴らしなので、ギルドの依頼を受けずに直接ダンジョンに向かう。
昨日の受付の女が居たらムカつくし、昨日の今日でアイツらにも会いたく無かったから良かったと一安心した。
午前中のダンジョン内もやはり暗く壁にある光る石が頼りだ。
「一階は出ないから、さっさと二階に降りるぞ」
「分かった。一階は出ないってレベル1の魔物居ないのか?」
「そうだよー流石にレベル1の魔物は他の魔物に食べられちゃうから居ないんだよぅ」
「切ない理由だった!!」
「はははっ!だから5階位まで潜ってからじゃ無いと訓練もしにくいんだぜ?」
「では、5階まで一気に降りますかぁ♪」
アクス達はもう道を覚えているのであっという間に地下5階まで降りた。途中スライムみたいな奴とかムカデみたいな奴が居たけどスルーしたら、ぽかんとしたスライムらしき魔物や威嚇したのにスルーされて何か言いたげな魔物が面白かった。
5階に着いて早々頭蓋骨が這ってきた。かなりビビったわ!!足もないのにカタカタ走ってくるんだからそりゃ、魔物が出るって分かっててもビビるよ?俺だけじゃないと思うよ??絶対他の奴が異世界転移してもビビるって!!本当まじで。
俺、誰に言い訳してるんだ・・・。虚しい・・・。
ーーぱこんっっ!!ガタ!!ガタガタッッッ!!!ぱこんっっ!!
「お?シロが骸トリに威嚇し始めたぞ?こういうの見るとやっぱ犬なんだなって思うな」
アクスが腕を組んでシロの威嚇する姿を孫を見るような目で見ている。骸トリもシロに驚いた様で怯み、右往左往して頭蓋骨を揺らす。
「こわっ!!・・・兄貴、この頭蓋骨の下は鳥なのか?」
「ん?飛べない鳥で敵を欺くために冒険者の死体から頭蓋骨を奪って身を隠してんだ。事前に存在に気づきゃあ弱いがクチバシは肉を引きちぎる程鋭いから捕まえようとはすんじゃねーぞ?」
「わ、わかった。教えてくれてありがとう兄貴」
お礼を言われることに慣れていないのかアクスは照れながら頬を掻いている。アクスといると青春感あるんだよなぁ~。年齢関係なくこういう青春み溢れる感じ嫌いじゃないんだよなぁ~。
「シロ!!前に口の中に入れた瓦礫をソイツに向かって一塊吐き出すんだっ!!」
ーーガタガタ!!・・・ぱかっ!!!
ーーーーーぼごぉーーーーーんっっっ!!!
某ゲームがアニメ化した主人公の少年の様な口調でシロに指示を出したのは良いが、過分な力だった様で砂煙が瓦礫を当てた衝撃でダンジョン内に充満する。
「・・・ゲホゲホッ!!!」
「い゛っだん・・・うえにっ!!」
「ーーーう゛ん」
取り敢えず一旦4階に避難した。シロは見つけるのが困難だったので置いてきた。あの強さならやられる事は無いだろうが、収まったらすぐに迎えに行かねば。しかし、可愛かったシロはギャップ萌えの言葉で片付けられないほどに破壊神になってしまった気がする・・・。気のせいか、うん!!気のせいだ!!
アクスとミラは砂埃を叩いたり、魔法で出した水で顔を洗ったりしている。魔法が使える人間は生活魔法は誰でも使えるらしい。ーーー『羨ましく無い』なんて強がれない程羨ましいっス。この少ない魔力で是非とも生活魔法を使える様に是が非でもなりたい。
アクスから水を出して貰い顔と口を濯ぐ事が出来たので少しスッキリした。
「そろそろ、5階どうなったか見てみっか!!」
アクスが先頭に立ち降りて行く。先程いたと思われる場所にはシロが、瓦礫を再び回収しながら通路を片付けている姿だけしか無かった。
自分が散らかした物を片付けるとは・・・シロは天才で良い子だ!!天使の心を持って生まれた神の御使かも知れん・・・。みんなシロにひれ伏すべきだと思うんだよマジで。シロが元の姿に戻れなかったら新興宗教でも作るか?いや、金貯めまくって町でも作ってその町のシンボル的存在として銅像とか建てても良いかも??
「セイさんって私たちの事変人を見る様な目で見ますけど、十分セイさんも変人ですよー?」
「・・・こう言っちゃあなんだが、俺もミラの言う通りだと・・・」
「え?ーーそんな馬鹿な!!!俺は学校じゃ目立たず成績も運動も中間の成績しか出せないし、3年間同じクラスメイトだった女子から『あの人誰だっけ?』と言われるくらい影薄いんだぞ!?変人ならみんなに覚えられてるだろ!!」
瓦礫を片付けたシロを抱え撫でながら反論するものの、悟った顔をされなんか腹立つな。俺考えている事口に出さないから変なんて思われるはず無いんだからな!!・・・ん?
「もしかして、さっきのシロの宗教とか喋って・・・た?」
2人は何も言わず頷いた。
そりゃ口に出してたら変人扱いされるわぁぁぁぁっっっっ!!!2人に変人に認められ始めたのがまだ納得できず悶々としたまま訓練を再開した。
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