【一章完結】宝箱に転生してしまった!!・・・愛犬が。ーーえ?俺は転移して来たただの一般人です。

カイナルミ

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第1章 冒険者になってシロをもふもふに戻したい!

19 結局陽動された大衆の悪意なんてそんなもん

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この後不定期になります。土曜か日曜に更新します。

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ほとんどの町の人は逃げ遅れ、食われたり大怪我を負ったりして身動きが取れない為に逃げる事ができない。アクスには町にいる魔物の討伐を頼み、ミラには町の怪我をした人達の怪我を治す様に頼んだ。ミラは若干嫌そうな雰囲気を出したが、了承してくれたので俺とシロは拠点に急いだ。


瓦礫をシロに回収させ道を広くする。もしかしたら瓦礫に埋まっている人がいるかも知れないと、声が聞こえないか気をつけながらも目的地を目指す。途中で埋まっていた人が居たので助け出すと食堂の奥さんだった。


 「・・・あんた無事だったのかい・・・!!助けてくれて、ありがとうねっ・・・あんただけでも早くお逃げ、ここはもう駄目だよ・・・」

 「心配してくれてありがとうございます!でも俺は仲間捜さないといけないから。仲間の回復師が今町の人たち怪我を治療して回っています。そこで怪我を治してくださいね。片付いたらまた美味しいご飯作ってください!じゃ俺行きます!!」



 「・・・仲間の回復師って事は無慈悲なる運命さだめのメンバーじゃないか・・・。あの子も私ら町の人間を治療するのは嫌だろうにねぇ・・・私らも変わらなきゃいけない時が来たんだろうね・・・」

セイが居なくなった後、食堂の奥さんの小さく呟いた言葉は喧騒に消えた。




♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎




アクスは町の広場へ向かった。

冒険者が魔飛竜と戦っているが、その周りには爪で引っ掻かれ麻痺して動けなくなっている冒険者や町の人が転がっている。逃げたいけれど逃げられず、必死の形相をしている。

 「くそっくそっ!!ギルド長がいない時狙いやがってっっっ!!」

剣を振り回す冒険者は空を飛んでいる飛竜から逃げられ、ただ体力を消費していくのみである。体力の限界が近づき剣に振り回され態勢を崩すと、一気に魔飛竜は冒険者に向かって行った。


 「喰らえっっ!!」

ーーーバリバリバリ・・・ドォォォォォーーンッッッ!!!


魔飛竜は雷魔法が弱点なので空中で停止した後、力なく地面に落ちた。


 「ーーーあんた無慈悲なる運命さだめのアクスじゃねーか・・・。・・・・・・。助かった、感謝する・・・。まだ向こうにも戦っている冒険者がいるから行ってやってくれないか・・・?こんな事頼んでもあんたが頼みを聞く義理は無いってのは分かってる・・・それでも・・・すまない、頼むっ!!」

アクスは頭を下げているこの冒険者も倒れている冒険者や町の人も見た事があった。無慈悲なる運命さだめが嵌められた時周りで笑っていた奴や今まで無視して来た奴だ。


 「あん時あんたらが俺らを助けてくれなかった事、アイツらと一緒に笑ってた事今でも忘れてねーし許せねぇ。調子の良いこと言いやがって骨が折れるまでマジぶん殴りてぇ。ーーーけど、新しく仲間になった奴に町にいる魔物の討伐頼まれてっからちゃんと討伐はしてやる。セイに感謝するんだな」


今まで言いたかった事を言い終わると地面を蹴って、アクスは走り去った。


 「・・・・・・ありがとう・・・」


しばらく冒険者の男はアクスの去った方向に顔を下げたままだった。





♢♢♢♢♢♢♢




ミラは戦えない一般人の多くいる商店街の方に向かった。


案の定、大怪我を負って瀕死状態の町の人たちが多く壊れていない建物内に隠れていた。


 「皆さん、私は回復師です。今から命が危険な人から回復魔法をかけていきますね?」

 「あぁ・・・女神様っありがとうございますっっ!!」
 「・・・あんたこれで助かるよっ!!」
 「お願いしますっ!!うちの子を早くっ!!!」

みんな縋り付く様にミラに群がる。他の建物からも人が出てきて押し寄せてくる。

 「聞いてましたかぁ?全員を治す為には優先順位は私が決めますから、邪魔したら死んじゃいますよ~」

 「そんな事言って金のある奴治すんだろ!!あんた無慈悲なる運命さだめのミラだろ!?あんた金にがめついって聞いてるぞ!!」
 「そんなっ私お金、持ってないわ・・・」
 「これだけ今持っている!!これで優先させてくれ!!」

一旦引きかけた人たちが、男の言葉でさらに群がってきた。


 「もう!!私の言うこと聞かない人たちは【ぴーーーー】を【ぴーーーーー】して、むしり取って魔物の口に放り込んで、【ぴーーー】は【ぴーーーーー】してーーー殴打して粉砕するよ?」

可愛い外見と違い残虐な盗賊が言う様な事を言い、どす黒い笑みを見せたミラにみんな一気に退いた。その後テキパキと回復術と手術を行い全員の命を救う事に成功した。

 「ーーありがとうございますっっ!!!」
 「ミラ様ありがとうございますっっ!!」

口々に感謝を伝えられるミラは複雑な気分になっていた。自分達があれ程苦しく悲しく辛い思いを引きずって来ていたのに、悪意に乗っかって自分達を貶めていた人たちからの感謝の言葉。きっと彼らにとっては悪意に乗っかる事は私たちが無実であろうとなかろうと、関係なかったのだなと思い知った。
ミラは気持ちを無機質なものに切り替えて、淡々と治して行った。





♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎




なんとか形を保っている建物内に入り人がいないか探して行く。

ぼろぼろの部屋の隅で蹲る人影。


ーーミィーミィーミィー・・・


 「うぉっ!?マリアこんな所にいたのか!無事でよかったよ」

鳴き声が小猫の鳴き声だったので、小猫が助けを求めているのかと入った部屋にセイが捜していた人物マリアが泣きながら蹲っていたのだから驚きもする。

 「おい、大丈夫か!?怪我してんのか!?」

涙を流しながらも首を振るマリア。

 「マリアどうした?俺とシロが側にいるからおいで」

まだ蹲って泣いている。ぶっちゃけ外の事考えたら一刻の猶予も無いんだけど、マリアを強引に連れては行けない。ずっと塞がらなかった傷口がこの騒ぎで開いてしまったのかもしれない・・・。
取り敢えず横に座って背中を撫でる。

 「ーーごめんな?俺にできる事こんな事位しか無くて・・・でも、そのかわりお前が泣き止むまで側にいるからな」

ーーぱこん!!

シロも元気付ける様に反応する。しばらくミィーミィーと小猫の様に泣き続けたマリアは顔を上げた。

 「・・・ごめんなさいっセイさん・・・ここも危ないんでしょ?セイさんは僕を置いて逃げて」

 「は?なんでマリア置いて行かなきゃならんの?」
 「だって僕、このままじゃみんなの足でまといになるし、僕なんかいなくてもみんなやっていけるでしょ?僕はいらない子だから・・・」
 「なんでいらない子なんだよ。お前は俺にとってもこのパーティーにとっても必要な人間じゃん。お前がいらないなら寧ろレベル7で冒険者らしからぬステータスの俺の方がいらんだろ・・・」
 「セイさんはこのパーティーにいる人だよ!!セイさん来てからみんなの雰囲気明るくなったんだっ!!僕知ってるんだよっ!!」
 「急に優しい言葉かけられて涙出そうだわ・・・。泣かせに来たよマリアさんが・・・。やっぱ、俺の癒しのマリアは必要だな!!誰がなんと言おうとな!!な?シロお前もそう思うよな?」

ーーぱこんぱこん!!!

跳ねながらご機嫌なシロは返事を返してくる。

 「さて、マリアが駄々こねても俺が攫っていくからな?ユリアナも捜さなきゃならんから抱っこするぞ?」

まだ有償の愛が切れていないのでマリアと側にあったぬいぐるみカルトを抱え上げ部屋を出る。耳を赤くしたマリアは恥ずかしいとぬいぐるみで顔を隠していたが時間が無いので無視して外に出た。
出た後吹っ飛ばされて来た魔飛竜が直撃して、建物は木っ端微塵に吹き飛んだ。
・・・・・・。アクス・・・ちょっとは吹っ飛ばす方向考えてくんないと・・・生き埋めになる所だったんだけど・・・?


 「ユリアナどこら辺にいるかマリア知らないか?」


 「・・・知ってるよ。ーーユリは女神様の御許へ行っちゃったんだよ」



 「ーーーは?」











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