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第1章 冒険者になってシロをもふもふに戻したい!
23 最新の掃除機買ったらどこまで綺麗になるのかいつも以上に掃除機かけてみるよね
しおりを挟む「・・・セイくん、キミ今・・・何をしたんだい?」
恐る恐ると言った感じでカックスギルド長が聞いてきた。その言葉でカックスギルド長にシロの異空間収納の収納力が大きいと言ってなかった事に気が付いた。そういやミラとアクスもダンジョンで驚いていたな・・・。
生きているものは回収出来ないって言ってたし異空間魔法は制約が多いのかも知れない。それに10t以上は吸い取ったと思う・・・。そんな大量の物回収する騒音はかなり煩かったよね・・・。それに民家や店が潰れているから火事場泥棒していると思われたのかも・・・?
これは釈明しなくては!!
「すみません!!シロの異空間魔法は大容量みたいで・・・言ってなかったからめちゃくちゃ煩くて驚かせちゃいましたよ・・・ね?ーーいや本当、皆様のやり取り邪魔するつもりは無かったんですよ?あ、火事場泥棒してないですから・・・本当ですよ?・・・次からは静かに回収する様に気をつけます、はい。」
腰を低くしながら首を傾けてへへっと愛想笑いで誤魔化す。
三下雑魚的な媚びへつらう感じで有耶無耶にすることにした。こんな事で商業ギルド長に目をつけられたくないからね!俺は弱いから某ガキ大将の横でゴマするボンボンみたいな立ち位置で、身の安全を確保するしか生きる術が残されていないんだからな!!あぁ、媚びなくて生きていける程強くなりたい・・・。
何か言いたげなカックスギルド長より早くフィレックスが口を開いた。
「最近冒険者になった雑魚だと思っていたが、貴様から消さねばならん様だな」
何故か俺に矛先が向いた様だ。ひどい・・・何もしてないのに!!
フィレックスはセイの側に転移すると至近距離で火炎魔法を放ってきた。
こちらには魔法使いや剣士が居ないので距離が近いと攻撃を防ぐ職業の人間がいないという事。
つまりセイは向かってくる火炎魔法を避けきれない。
驚いたセイは反射的に持っていたシロを盾にしてしまった。自分の前にシロを出した瞬間反射的とはいえ、自分自身も「やっちまった!!」と思ったセイは驚きすぎてシロを地面に落としてしまう。
ーーーボウッッッッ!!!
「うわちっ!?あちっっ!!!シッ、シロ!!!火を火を消してくれ!!!」
「シロちゃんっっ!!」
「シロ!!」
身につけていた防具の腰に巻いた布で、燃え上がるシロの火を消そうと布を叩き続ける。
中々消えない火はどんどんとシロの木製の体を焼いて黒くなっていく。
「これで貴様は何も出来んな」
背後からフィレックスが近付き、真っ黒焦げになったシロの前に両膝を突いたセイを前に嘲笑う。
怒りと憎しみを隠しきれないセイはまだ熱いシロを優しく抱き上げると、フィレックスに向き直り黒焦げのシロを差し出した。
「ーー俺はあんたを許さない」
「何も出来ない雑魚が何をほざく」
セイは息を吸った。そしてーー
「シロ!!倍返しだ!!!」
ーーぱかっっ!!!
真っ黒い炭と化したシロの口が開いたのだ。
壊れてしまったと思っていた人間からすれば、そのもの自体がびっくり箱である。
「ーーーなっっっ!?」
ーーゴォォンンッッッッボォーーーーーーーンッッッッッ!!!
余りにも近くにいた事と驚きで術の発動が間に合わなかったフィレックスは、顔面に先程セイ達に放った倍の威力の火炎魔法を浴びた。ただでさえ威力の高かった火炎魔法は倍になり、最上位の火炎魔法となりフィレックスを襲ったのだ。
顔を押さえのたうち回り水流魔法で、なんとか火を消したフィレックスの顔は無残な事になっていた。
重度の火傷を負い髪はほとんど無くなっていた。
しかし、シロを真っ黒焦げにされたセイはやり過ぎたかな?といった同情等の心は既にシロが包まれた炎と共に燃えて無くなった。
「シロ今まで吸った瓦礫を2人と金ドラにぶつけろ!!!」
フィレックスは顔が火傷を負った直後で逃げられず何度も大きな瓦礫が直撃し瓦礫に埋もれた。
金ドラは火を吐こうとした瞬間の空いた口に、シロの中に収納していた断魔ツマからの戦利品の武器が目に映らない速さで消えていった。
金ドラは糸が切れた様に首がかくんと項垂れ轟音を響かせ倒れる。
そして変質者は逃げようと転移魔法を発動しようとしたが、カックスギルド長の妨害で叶わず今度は飛行魔法で逃げようとする。
変質者は飛んで来る瓦礫を素早く避けながら飛行し逃げて行く。
このままでは逃げられてしまうと思った時ーー
ーーーどぉぉぉん!!!
何かが瓦礫を避けながら飛行していた変質者に直撃しバランスを崩させた。
その直後シロの瓦礫がガンガンと連続で当たり地面に落下した。
『ーーー何故ダ!!!』
「アンタは瓦礫は見切ったみたいだけどな、俺の弾丸迄は見切れなかったみてぇだな?」
ーードガンドガンドガンッッッ!!!
変質者とアクスが会話をする中、セイは一切自重はしなかった。
さっきは会話を邪魔したかもと思い静かに回収すると、ギルド長に言った口の根も乾かぬ内に轟音を引き起こしている。
ーーー皆んなが引く程に。
『ウグゥッッ!!・・・報告ヲセ・・・ネバ・・・』
変質者は瓦礫が次々と当たり続け遂に息絶えた。
少しローブから覗いていたただでさえ血色の悪かった肌が灰色に変わっていた。
そしてそのまま砂の様に崩れていった。
「兄貴!!!今のは画像識別誘導ミサイルすっね!!流石です!!」
「えっ・・・あ、あぁっ!!本当便利な追尾攻撃だぜ」
「・・・セイさんってシロちゃん絡むと容赦ないですよね?」
「困ったな・・・。これどう説明しようかな・・・」
ギルド長は渋面で眉間に指を置き考え込んでいるが、アクスは既に先程のシロの異常さを心の隅に追いやりミラに至ってはシロが本当にセイは好きなんだね~とざっくりとした感想でまとめてしまった。
「え?もしかしたらフィレックス生きているかもしれないから、本人に説明させれば?」
「「「え?」」」
「ーーえ?」
「いや、生きてないだろう。あんなに瓦礫の直撃を浴びたのだから。変質者ですら死んだのだよ?」
ギルド長は流石にそれは無いといった感じで否定してきた。
ミラもアクスも冗談だろという表情を見せている。
「え?生きてる確率の方が高いですよ?そもそも強力な防御魔法かなんかをかけてなかったら、倍返しの魔法で死んでますよ?それを火傷を負うだけで耐えたんですから、恐らく生きてますよ。取り敢えず瓦礫回収してみましょう」
「すまないが、よろしく頼む」
「本当に生きてるのかなぁ??ハゲ散らかして心は死んでいると思うんだけど?」
ミラが身も蓋もない事を言っているが気にせず山積みの瓦礫をシロに回収させる。
「セイ、シロが生きているってなんで分かったんだ?」
セイの横で回収を眺めながらアクスが質問してきた。
「両膝突いてフィレックスに背中向けている時にシロのステータスウインドウ開けるかやってみたら、いつの間にかレベルも上がってるし木の宝箱が鉄の宝箱に変わってたから生きているんじゃないのかって思って」
「シロが生きているって信じてたのか。なるほどな、アイツもシロが死んだと思い込んでいたから、目の前で攻撃受けるっていう間抜けな事になっちまったんだよな」
「変質者とフィレックスから異様な魔力を感じたから、私死んじゃうって思っちゃった!!シロちゃんとセイさんのお陰で命拾いしちゃった⭐︎ありがとうっ!!」
セイはミラがありがとうと感謝するなら、俺の金を返して欲しいと切実に思った。
話をしているとシロがぱこんと合図してきたので見ると血塗れのフィレックスが出てきた。そこそこ整った顔だったが、見る影もない。これはミラの言う通り心は死んでるわと納得した。アクスがフィレックスに近付いて確かめると、息はあるとの事で魔法を封じる首輪をフィレックスの首に嵌めてワードスギルド長に引き渡すべく町の外の避難所に向かった。
「まさか領主の息子がとは・・・。領主の屋敷に兵団を向かわせよう。それから被疑者は王都の魔牢で取り調べを行ってもらう事にします。今回の事件は変質者が絡んでいましたから間違いなく【神を裁きし真なる教団】の犯行でしょうから、生易しい取り調べでは駄目でしょう」
ワードスギルド長の発言的に魔牢の取り調べは恐ろしいんだなと分かる。
まぁいつか機会があったら聞いてみたいところではある。それより【神を裁きし真なる教団】って名前めっちゃダサくね!?しかもテロリストですって言わんばかりの名前だしな・・・。
ワードスさん全く恥ずかしがらずに言っていたからやっぱこの世界、厨二病的ネーミングセンス気にしないのかな?俺がその教団に入っていたら恥ずかしくて名乗れんわ。
まぁ・・・今のパーティー名も名乗れんのですけどね・・・。
ワードスギルド長がセイ達に近寄って来た。
「君達には感謝の言葉も無い。Cランクのパーティーにこの様な危険な事を任せてしまい申し訳無かった。報酬とは別に謝礼金も与える事になるから、済まないが一緒に王都に来てもらう事になる。それからBランクにも昇格が決まったので王都でランク変更手続きを行います」
金は今すぐ欲しいが冒険者ギルドが大破しているので苦渋の色を浮かべつつも、王都に行くのはいた仕方ないと飲み込んだ。しかし、行くまでの費用は銅貨一枚だって払う気はない!!!王都か道中で今回の戦闘に使用した費用金貨5枚の話をギルド長にしないとな。だんだんミラみたいな守銭奴になっていきそう・・・。
・・・仕方ないじゃん、金ないんだから。
「マジかよっっ!?ギリギリCランクが一気にBランクかよ・・・」
「商業ギルド長の説明を聞く限りAランクにすら出来る実力があると判断していますが、CランクのパーティーがSランクの魔物を討伐した前例がないので1ランクのみとなってしまいました。力及ばず申し訳ない・・・。しかし、3人でここまで強くなったのなら5人の連携が上手くいけばすぐにAランクに上がれると思っていますので、頑張ってください」
準備が出来次第すぐに出発するとのことだったので、3人はマリアとユリアナの避難している場所に向かった。
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