理由なき悪意

keima

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序章

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――――この悪魔めっ!!

―――気味の悪い目をしやがって・・・とっととせろ!!

――死ねっ!!死んでしまえ!!


「兄さんっ!!兄さんってば!!」

乱暴に揺さぶられて目を開けると弟のヴァルトが不安そうに自分の顔をのぞき込んでいた。

「大丈夫かよ?だいぶ魘されてたけど。」

「ああ・・・うん。久しぶりにあのころの夢を見たからっ・・・つっ・・・!!」

身体を起こした瞬間、背中にまるで刃物で刺されたかのような痛みが走った。

「!!・・・兄さん、背中・・・痛むのか?」

「っ・・・すこしだけ・・・ほんの少し痛みが走っただけだから・・・」

「ほんの少しじゃないだろう・・・今、薬塗るから服脱いで。」

「迷惑かけてごめん。ヴァルト。」

「………別に迷惑だなんて思ってないし。」

フィッとそっぽを向いて薬を探し始めたヴァルトの背中を見つめながらアルフェンはクスッと
笑った。
ふと視線を横に移動させると、スヤスヤと眠っているリュークとレイリーンの寝顔に安堵した。

ーーリュークとレイリーンが熟睡していて良かった。を2人に…特にレイリーンには見せたくはないから……

服を脱いだアルフェンの背中はそこだけ肌の色が変色し、赤黒くただれた痛々しい火傷痕が刻まれていた。
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