ホドワールの兄弟 

keima

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クルルじいさんと縦ロール

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ねじまきの木のすぐそばに美容師のクルルが営む美容室がある。 
クルルは腕の良い美容師で 、カットだけでなく、シャンプーをすれば、その気持ち良さに気がつけば眠ってしまう小人ヒトがいるほどだ。  
「「こんにちは~!!」」
カランカランというベルの音と共にお客さんが入ってきた。
「いらっしゃい………ってルカとライリーじゃないか。」
クルルが振り返ると、ルカとライリーの双子の兄妹が店にやってきたのだ。
「どうしたんだい。この前ウチで髪を切りにきたばかりじゃないかい?」
「ううん、今日はクルルに頼みがあってきたの。」
「ワシに頼みかい?」
「うん。」
「こっ、こんにちわ。」
ひょこりとライリーの背中から現れたのは、栗色の髪を縦ロールにした大人しそうな少女だった。
「おや、2人のお友達かい?はじめましてワシはこの店の店主のクルルじゃ。」 
「キアーラです。はじめまして!!」

ブオンッ!!

「うおぅ!?」
キアーラが頭を下げた瞬間、彼女の縦ロールが大きく揺れた。
「クルルじいさん!?」
「大丈夫?」
突然のことに驚愕するクルルにライリーとルカが駆け寄った。
「だっ、大丈夫じゃよ。」
「ゴッ、ゴメンナサイ。。(ブオン)私の(ブオン)髪のせいで(ブオンブオン)」
「いやあ、大丈夫じゃよ・・・それにしてもキアーラちゃんだっけ?君のその髪型はスゴイのぉ・・・。」
「うっ・・・でも、コレのせいで、男の子たちからいつもからかわれて・・・凶器ドリルとか言われて・・本当はこの髪型すきじゃないんです・・・うわああああ~ん!!」

 ブオンブオンブオン 

キアーラの涙と共に縦ロールはまるで彼女に共鳴するかのように音を立てて揺れていく。
「・・・クルルじいさん、なんとかならない?」
「ふ~む、とりあえずキアーラちゃん。一度シャンプーするからこのシャンプー台の椅子に座ってくれないかい。」
「はっ、ハイ!!」
クルルに言われてシャンプー台に座ったキアーラの縦ロームを結ぶリボンをほどく。
「これは、髪のダメージが酷いねぇ。」
「「ええっ!?!?!?」  
「やっぱり……私、もともと癖っ毛で、髪の量も多くてそれがコンプレックスだったんです。」
「……けれど、キアーラちゃんのこの髪は量もあるし、強いクセはあるけれど、コレなら整髪剤とかで色々な髪型にアレンジできるぞ。」
「………クルルさん、お願いがあります。」 








 同じ頃、小人の子供達が通う小学校では、一人の男がものすごい勢いで職員室に向かって走っていた。
「エドワードォォぉォぉ~~~!!!!」 
バターンとドアが壊れ位の勢いで開かれて、燕尾服の男が現れた。
「・・・ドア壊さないでくださいよ。何の用ですかヴァーイ。」
男の名前はヴァーイ。キアーラの父親の秘書であり、キアーラの従者フットマンを勤めている。エドワードとは学生時代からの友人である。
「キアーラ様がぁ、キアーラお嬢様がいなくなったんだぁぁぁ!!」
「キアーラさんが!?」
自分の教え子がいなくなったと知り、さすがのエドワードも驚愕した。そんなとき、2人の話を聞いていた教師が声をかけた。 
「キアーラさんだったら、さっきルカくんとライリーさんと一緒にいるところを見ましたよ。」
「ルカとライリーが!?」
まさか弟と妹の名前が出てくるなんて思ってもみなかった。 
「どっ、どこにいきましたか!?」
「確か、ねじまきの木の近くにある美容室に行くって言ってましたよ。」
「ねじまきの木……クルルじいさんの美容室ですねって……あっ……。」
「おじょ~~~お~~~さまぁ~~~~!!!!」
キアーラの居場所を聞いてヴァーイは職員室を飛び出し、ものすごいスピードでねじまきの木に向かった。

ズダダダダ~~~~~!! 

「お嬢様!!!!!」
ねじまきの木の下にあるクルルの美容室に着くなりヴァーイは勢いよく、店のドアを開いた。 
「あっ、ヴァーイさん。」
「びっくりしたぁ~、どうしてココに?」 
店のソファに座っていたルカとライリーは突然現れたヴァーイに 目を丸くした。
「…………ヴァーイ?」
「はっ、お嬢さ……ま……?」
鈴のような愛らしいキアーラの声に振り返ると、そこにいた少女はいつもの自慢の縦ロールではなく、栗色の髪を肩のあたりで切り揃えられていた。 
「わ~、キアーラちゃん可愛い~!!」
「本当だ。めちゃめちゃ似合ってるよ。」
「ほっ、本当?」
ルカとライリーに褒められて、エヘヘと恥ずかしそうに笑う。 
「ルカ、ライリー。」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえて振り返ると、兄のエドワードが息を切らしながら立っていた。 
「「エドワード兄さん!!」」
「まったく君たちは……聞きましたよ。キアーラさんが下級生の男子に髪型を揶揄われているのを見て止めに入ったこと。それでクルルじいさんのところに来たんですね。だからといって勝手に学校を出ていくのは感心しませんね。」
「は~い……」
「ごめんなさい。」
「キアーラさんもですよ。勝手にいなくなったからヴァーイが心配してましたよ。
「エドワード先生、ごめんなさい。」
「でも………その髪型、よく似合ってますよ。」
「本当ですか!!」
「フォッフォッフォ、そうじゃろう。」
床に散らばる髪の毛をちりとりでとりながら彼らの話を聞いていたクルルは満足げに笑った。 
「クルルさんありがとうございます。」
「フォッフォ、いいんじゃよ。その髪型気に入ったかい?」
「はいっ。」
「………そういえば、私より先にこちらに来たヴァーイはっ………うわっ!?」
見ると、店の隅っこで手を付いて項垂れているヴァーイの姿があった。
「天使が………私の……お嬢様が………」
「エドワード兄さん、ヴァーイさんどうしちゃったの?」 
「……さあ……?」
何故か落ち込んでブツブツと呟くヴァーイにエドワードら兄弟はドン引きするしかない。 
「ヴァーイ。」
ハッと顔をあげると、いつの間にかキアーラがヴァーイのすぐそばに来ていた。
「おっ、お嬢様……。」
「ねえヴァーイ。似合う?」
「うっ、にっ似合いま…………す………グスッ」
「ワアイ、良かった。」
その問いにキアーラはパアアと花が咲きほころぶように笑った。
「うっ………うわ~~~~ん、ボブのお嬢様も素敵だ~~~!!!!!!」
「あっ、ヴァーイ!?」
泣き叫びながら、そのままヴァーイは店を飛び出していったが、途中でピタリと足を止めクルリとUターンをして店に戻ってきた。 
「スミマセンがお会計はいくらですか。」


翌日。

「うわ~、キアーラちゃん可愛い~!!」
「今までの髪型よりもすっごい似合ってるよ。」
学校に行くと、髪を切りイメージチェンジしたキアーラに同級生たちが集まってキャアキャアとはしゃいでいる。
しかし……

「……エドワード兄さん。」
「はい、何ですか?」
「何でヴァーイさんはあんなに落ち込んでんの?」
「う~~ん……………」
キアーラの新しい髪型の評判が良い一方で、何故か体育座りで落ち込むヴァーイであった。

 
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